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1月21日(木)歌舞伎町未来会議開催 - 会議メモとして - [まちづくり]

2010年1月21日(木)、歌舞伎町未来会議が開催。この歌舞伎町未来会議というのは、以前歌舞伎町商店街振興組合には外部委員会として「よくしよう委員会」というのがあったわけだが、そのよくしよう委員会の委員長であった片桐基次氏が昨年商店街理事長に就任したことを受け、人事・組織を一新するときに発展的解消を行った。その後、商店街専務理事に就任した杉山元茂氏(とんかつすずやなど)を座長に再び組合執行部とは別に組合外部参加の会議帯としてこの未来会議が設立されたという経緯がある。

DSC_3476.JPG杉山元茂・歌舞伎町未来会議座長

1月16日(木)15時より、歌舞伎町商店街振興組合事務局会議室において、今年最初の未来会議が実施されたので、この会議の模様をご紹介する。まず、会議冒頭、片桐基次理事長から挨拶。

DSC_3482.JPG片桐基次理事長

「昨年はいろいろ、本当にいい歌舞伎町にしようということで、皆さんお考えいただきながら会議を重ねてまいりました。今年、歌舞伎町(商店街振興組合)の新年会では、そういう会議を踏まえて、今年は、どうしても、実行する年として、何かの形で、出来るものはどんどん実行していきたいと思ってます。

-観光の街・歌舞伎町-

1つには、以前から申し上げてますように、『観光の街・歌舞伎町』というのも、一つ手ではないかと。これだけ大勢の外国人の方たちがお見えになっていただいてますので、その方々に対して、おもてなしの心を持って街があたっていく、また、喜んでいただけるような形で、どういう風にしたらそういうものができるのか、街がやるということではなく、街と個店が、それぞれおもてなしを一緒になってやっていったら、それほど強いものはないと思います。その中で、何が実行できるかということを、やっていきたいと思いますし、新宿区のほうも、観光の街ということで、かなり興味は示していただいてます。これは、TMOを通じてまた具体的に何ができるかということをやらさせていただきたいと思います。

-秩序ある、眠らない街・歌舞伎町-

もうひとつは、今日、これから、我々歌舞伎町の舵取りをしていこうという経営企画会議というのがあるのですけど、今日、その中で、東宝さん、東急レクがおいでになっていただきまして、そういう形で、映画館街の再生をどういう風に、街が一緒になって出来るか、また、どういう形でやってもらえるのか、我々の要望、それから企業の方々のご要望、また、そのお手伝いがどうできるかという話をさせていただきますけど、その中で、歌舞伎町は、本来の歌舞伎町をどうやって取り戻すかということが、大事だと思ってます。その中で、昨年から言い始めさせていただいているのは、『秩序ある眠らない街・歌舞伎町』というものを、日本一、ひいては世界一の歓楽街となればいいなあ、と思いまして、都議会の先生、区議会の先生を交えて、我々、歌舞伎町商店街振興組合と各業界の人たち、歌舞伎町で御商売されている業界の方たちが参加していただきまして、皆さんで秩序ある眠らない街・歌舞伎町をどういうふうに創っていくか、この真剣な議論をこれからやっていきたいと思ってます。そういう中で、この未来会議を中心に、是非是非実行する未来会議として、私も参加させていただきますけど、杉山さん(座長)のもとに、どうか街のためにお手伝いよろしくお願いいたします。」

まず、杉山座長から連絡事項として、現在進行形の経過報告等。

・昨年12月より開始した歌舞伎町音楽イベント『歌舞伎町音楽祭』(仮称)について。この歌舞伎町音楽祭は振興組合とTMOとが経費を折半して運営している。このイベントのネーミングについて、TMOから「もう少し柔らかい名称にしては」的な話があり、名称をどうするか検討してほしいとのことで、いくつか議論があった。しかし、WEB上での参加者募集のPR上、検索上位にかかりやすい「音楽祭」というネーミングは残したいが、一方で、「歌舞伎町音楽フェス」「歌舞伎町・音フェス」といったサブタイトルも重ねてもいいかもしれないという話に。経費を折半しているTMOの意向も聞いて決定へ。また、現在歌舞伎町音楽祭について、ライブハウスのLOFTとの連携が提案もある。

・ストリートカルチャー(ダンス、ヒップホップなど)のコンテスト:シネシティ広場、大久保公園などを使ってやっていく案が出ている。マルイ・フィールドがサポートし、発表機会の少ないダンスやヒップホップのイベントが企画されつつある。

・新宿エイサーまつりは今年第9回目が7月最終土曜日に開催予定ということが、歌舞伎町を含めた新宿東口4商店街で話を進めている。

・東京マラソンが2月28日(日)開催。歌舞伎町でも恒例の東京六大学応援団連盟による応援イベントを実施予定。

・大久保公園の改修工事は今月末より5月末までの予定。その後は、オープニングセレモニーを予定。7月半ばから8月末までテント劇場を行う。今のところ東京ギンガ堂とよしもと興業に打診中。その後は半分をスポーツ公園、半分を公園として活用する計画。東京ギンガ堂とよしもとのイベントの間に期間が空いている関係で、イベントを募集している。

・2月20日(土)、新宿区役所食堂にて12時から18時まで、10年後の歌舞伎町を考える、『2020シンポジウム』というのが開催される。参加は一人500円。2010年2月20日(土)「歌舞伎町2020」Vision01を開催 【参加者申込受付中】

・3月1日から7日まで1週間、春の火災予防運動。新宿地区の消防演習を行う中で、歌舞伎町では3月4日(木)の午前9:30から10:00ごろをめどに開催予定。

など、memoφ...

さて、今回のメインの議題は外国人観光客誘致に関して。以下、ディスカッションの抜粋。

DSC_3490.JPG DSC_3487.JPG

中国や台湾・香港などで配布されているガイドマップなどを見ながら議論↑

外国人観光客誘致について

-2009年11月 訪日外客数データ(JNTO推計値)-2009年11月訪日外客数.jpg

主として歌舞伎町で多く見かけられる中国人系観光客の、いわゆる来街者とお店とのジョイントについてどういった方法が可能か、今すぐできることは何か、そういった議論が行われた。歌舞伎町商店街振興組合は、昨年よりこの未来会議からの発案で、三井住友VISAカードを手を組んで、同社が幹事する日本国内での銀聯カードの利用店舗拡大を地域ぐるみの普及活動に着手している。しかし、一方、中国観光客の傾向として、秋葉原などでは、中国人系の旅行会社が企画し、中国人系の経営する事業者を選んでそこでお金を落としてもらうといったいわゆる同胞で組むというビジネスモデルができてきており、そこをなんとか切り崩していける魅力のあるツアーであるとか、地域をくくって、なんとか寄ってもらおうという努力が必要になりつつある。
上記JNTO(日本政府観光局)の推計値のデータを見る範囲で、訪日外客数は中国以外軒並み下がってきており、かろうじて中国だけが-0.3%と、中国頼みの様相は見てとれる。歌舞伎町でも、たとえばメニューを外国語(中国語・韓国語)表記をする、店舗の看板に漢字を有効に使うなど経営努力が必要。また、そういう翻訳・制作を行うという会社も増えてきている。また、香港や台湾、あるいは中国内で配布されている媒体への広告出稿を行うなどを歌舞伎町商店街振興組合が音頭をとって行う場合どのようなことが可能かも検討していく。銀聯カードの街ぐるみの普及促進には、中国国内での銀聯カードのPR活動に乗った形での地域宣伝を意図している部分もある。
「外国から観光にいらっしゃる方々が700万、800万という現在、これを2,000万まで引き上げようという国の施策のなかで、個人旅行というのが大分増えてくるのではないかと考えている。我々歌舞伎町は、団体を受け入れるお客さんもありますけど、個人のお客様に対して魅力のある街をどう伝えていくかを考えていく。」(片桐理事長)

個々の店舗の看板に漢字を使うことを啓蒙-

DSC_3493.JPG委員として参加している李小牧氏、李小牧氏は言わずと知れた"歌舞伎町案内人"として、日本で最も有名な在日本中国人。「データをみると、訪日外客数の上位6位まですべてアジア。そして、その5カ国は漢字を使っている国です。
たとえば歌舞伎町一番街は漢字だから分かりやすい。さくら通りは分かりません。とんかつにいむら、『にいむら』はどういう意味だか分りません。だから、そういう意味で、なるべく漢字を使えるように、個人店舗だろうがなんであろうが、そのまま地図に載せれば、特別に広告を出さなくても、この店はどんなお店か、分かりやすいようにしてもらいたい。看板直す、それは大変かもしれないが、絶対必要です。うち(湖南菜館)も、レストランでは外国人は分からない。『料理店』だったら分かる。」これに対し、
片桐基次理事長も「観光の街・歌舞伎町というのを具体的にしていくためには、通り通りに、少なくとも3ヶ国語の表示をして、今ここにいるんだよということがわかるようなものをつくる、それとインフォメーションブースが作れれば一番いいんですけど、各お店さんに、たとえば今にいむらさんのお話がでたが、とんかつという言葉を中国語で書いた看板を掲げてもらうとい、入ってもらうための作業だと思うんですよね。何屋さんだかわからないというのを払拭していく、安心して来ていただける店構えをどう、我々街の人間が、皆でこうしようよというのを啓蒙していくのが大事だと思う。」

バイリンガル的従業員を置く、ホスピタリティの啓蒙、ヒューマンウェアの注入の重要性-

DSC_3495.JPG水田信彦氏(新宿カラオケ業防犯協力会・会長、株式会社ビアンドブイ常務)「前原さんが観光立国宣言をして、内需だけ、輸出だけと偏らないで今後の国づくりということで、民主党政権になってアピールがあった。04年、小泉政権から観光立国の法案も通っているんですよね。予算とか助成金とか、それぞれの観光資源に対してつくのではないか、というのを調べたいですよね。この不況下、超大手の会社はどうのりきっているのかと思ったら、研修助成金という便利な手法があったりしている。バイリンガル的な従業員を置く、そういう人たちにホスピタリティの啓蒙、ヒューマンウェアをとことん注入しないといけないだろう。この街は、一見の客に慣らされて、客を処理する、回す、みたいな発想が多すぎる。ここは謙虚に反省し、業界ごとに原点に立ち返る必要があるだろう。1回来たら2回来たい、また来たい、そういうヒューマンウェアを売りにできるようにしないと駄目だろう。

・・・それと、客引き、生きた顔としてのガイドをどうするのか?

東口商店街では、警察OBを4名程半年契約でお願いして、居酒屋、カラオケ、等々にかかわる客引きに対し、内容証明を出す、店長に対し始末書をとる、あるいは経営者と話し、場合によっては商店街振興組合としてその客引きであったり店舗を警察に告発する、こういうアクションを起こし、半年間やってきて、かなり成果が出ているようだ。歌舞伎町は、もう少し深いし、多様な闇もあるので、一挙に同じようにとは思いませんが、これは一つ、ヒントにならないか。強制力のない、夢物語にしてはいけない。ヒューマンウェアを街としてやりたいのでということで、助成金について研究していただきたい。それぞれ志のある業界や店舗にも、そういうのを落とせるようなことを工夫していきたい。」

歌舞伎町には数多くの客引きが違法に存在するが、さらに、外国人観光客にとっては、必ずしも煩わしい存在ではなく、むしろ客引き頼み的な重宝な存在にもなっている。このことを踏まえ、これをどうするつもりなのか?という投げかけを水田氏は投げかけたわけだ。客引きには多数の、そして多国籍の外国人客引きがいるわけで、それはそれで外国人観光客にとっては重宝なインフラという側面がある。しかし、これを"寛容"とはいかないし、むしろ公的には排除側である必要がある。とはいうものの、では、そういった部分、それこそヒューマンウェアでありホスピタリティ(おもてなし)の重要な部分であるとするなら、これを、以前議論された公式な街の案内人という位置づけ、いわゆる"歌舞伎町コンシェルジュ"というアイディアを進めたらいいのではないかという話。

「人が人を案内するということが、一番求められていることだと思うんですよね。客引きが客を引くというのじゃなくて、歌舞伎町商店街なりTMOなりのインフォメーションセンターが、セントラルロードの入り口なりどこかに、公式の案内人を雇うなり、あるいは皆でボランティアでやるなりしていく方法はどうか。個々の店のことは個々で努力してもらうにしても、(多国語表記の案内板と合わせて)この2つは街としては絶対やっていかなくちゃいけない。」と下村治生氏(歌舞伎町商店街振興組合専務理事、新宿区議会議員)も、この公式な歌舞伎町のガイド像やインフォメーションの設立を支持している。

現実には、これらの議論、とくに財源を必要とするもの、ボランティアだけでは不可能なものもあるため、「今できることを基本に実行優先」(片桐理事長)ということではあるが、すべて組合主導でとなるとそうかもしれないが、振興組合、あるいはTMOが一歩引いて外部からの参入を助けるという環境を作っていけたら可能なことも増えるだろう。すでに、インフォメーションブース運営の手を挙げてくれている事業者もいるのだが、まだ公式には会議にかけていないので次回以降、会議にかけていきたいと思う。


この未来会議がスタートしたのは昨年の9月、それから月に1・2度のペースで議論を重ねてきた。「議論はいいから、早く行動しようよ。」と言う声もいい加減強くなってきている。さて、何を行動するのか?何がここでできるのか?会議参加者はもとより船頭にも具体性に欠ける感はある。

まずは、パトロールに出なさい、おそらくそれが一番なのだが、「そうはいかない。みんな時間が無い。」と帰ってくる声はそんなもの、それはそれぞれの事情として理解はできるとしても・・。実質的に歌舞伎町がどういう状態なのか、眠らない街を目指すといって深夜の歌舞伎町の姿を知らない、秩序あると言ってどう秩序が保たれどいういう秩序が崩壊しているのかを知らない、そして来街者の観察もできていない、その上で一体何を議論するのか?と、ついつい厳しい意見を言いたくもなる。歌舞伎町で『グリーンマン』と言われている迷惑行為排除のパトロール活動は、すでに2年半、週に数回のペースで継続してきた。この活動で、生身で感じる歌舞伎町の姿、あるいは来街者との道や店舗案内を通じてのコミュニケーションの中で見えてくるもの、これが、いわば最大の『情報』になってくる。基礎的情報を共有した上での議論、そこを望みたいものだ。

眠らない街・歌舞伎町、その歌舞伎町の深夜の姿は眠っている。あるいは、歌舞伎町の人ばかりが目立つ、要するに内需に偏った姿。そのバランスの欠けた部分を、かろうじて中国を中心とする外国人観光客の需要が支えているにすぎない。データを見れば分かるが、中国人観光客の数は国全体で年間100万にも満たない。その、仮に5分の1が歌舞伎町にやってきたところで20万人、しかし歌舞伎町の滞留者人口は約10万人/日、その割合は年間にして2日分にしかならない。要するに、出来ることは何か?という議論をするうちに、単にやったら少しはましかどうか程度の事にエネルギーが集中してしまう、その単純さに時々危うさを感じる。全体像の中で、やはり歌舞伎町を支えているのは、当然日本人の来街者が圧倒的であり、同時に内需も割合として大きく、にもかかわらず、どの店も次々とバイトを切り、従業員を減らし、サービスを低下させていく。このマイナスのスパイラルを止める手立てはなかなか見つからない。経済活動へのモチベーションの低下はすなわち街への関心や愛着の低下につながる。歌舞伎町の人たちを見る限り、そういう傾向を感じているからこそ、もはや割り切って、世代・タレントの交代期が目の前に来ていると見ていくべきかと。

会議とはいえ、あるいは組合であれTMOであれ、そこに強制力はない。まずは一人一人、何ができるのか。たとえば歌舞伎町でいいビジネスをする、多様な活動を支える、そして、できることの積み重ねの中で、方向性を緩やかにそろえていく。組織に依存し、何をしてもらえるか?ではなく、あくまでここで何をするのか。そこで、漠然と、であっても、まずはモチベーションを高める、いわば『希望』のようなものをどう掲げるか?ここに今は戦略と英知を結集するべき、と自分は考えるが、それは間違いではないと思うし、前から言っているが、コマの件と、地下鉄を含む公共交通の24時間化、そして今できることとして面白い話題づくり、結局はそこらへんだろうなと。去る人は去っていく。新しい人たちが入ってこれる、入ってきたいと思う、そういう光を見せていかないと。


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