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木を見て森を見ず。備忘録。 [その他]

先日、歌舞伎町・駅界隈から一斉にスカウトがいなくなった。その日、その瞬間だけのことかもしれないが、何かのガバナンスが効いたのはわかる。
全員逮捕されたか(多分それはない)、警察の動きに警戒してスカウト側が一斉に引かせたか。あるいは住吉が手を回したのか、住吉に所轄から圧力をかけての現象か。いずれかにせよ真相は見えにくいが。
警視庁の本丸は、ナチュラルの完全壊滅(ナチュラルの活動範囲は歌舞伎町だけではない。当然歌舞伎町以外の繁華街にも影響はある)。
記者連中も気づいてはいるのだが、ナチュラルの件は絵にとりにくい、そもそも記者もビビッてそっちの様相をつかめない故、報道の論点が絵が撮れる個別案件である"売掛問題"という「木」というより一本の「枝」に集中、それもなんだかおかしな話。

整理すると、今回の件、二つの側面があって、一つは大久保公園界隈のたちんぼ(すでにほぼ散ってしまったが)問題、二つ目は海外売春にも広がった日本人女性の人身売買構造の問題。
前者と後者、要は「売春」の話ではあるが、属性的には大きく異なり(グラデーションで重なってる部分もないとは言えないが)、前者はスカウトも手を出さない、言ってみればどこの性風俗も雇ってもらえない、あるいはシフトから外されるなんらかの問題のあるコたち。(知的障害、疾患、その他理由は多々)。
後者は、ナチュラルのインフラに属する範囲(ホストクラブ:人材供給、ホステスクラブへの経済循環、ホステスクラブ:人材供給とホストクラブへの経済循環、コンカフェ:人材供給、次世代マーケット創出、案内所:ホストクラブ新規顧客の獲得動線、金融:売掛回収、性風俗斡旋:海外も含む人身売買)

前者の対策としては、なにかしらのセーフティネットで救済を、ということになる。「売春」もセーフティネットでは?という議論はさておき、具体的にホストの一部行き過ぎた売掛「も」その理由の一つであれば、取り消しなどの支援をするのは理があるのかもしれない。立つ場所の差配のためか反社(極東会系)のケツもちはある(ホームレスと近似)ようなので、すでに散ってしまったとはいえインフラは残りそうだが。
後者の対策としては、まず、ナチュラルの完全排除を警察は掲げている。が、影響範囲や近似的な構造は全国に及ぶ(都内でいえば港区、銀座、吉原 etc.)。また、ナチュラルの代替組織もできてくるだろうし、広域指定暴力団と同等もしくはそれ以上の支配力があるのであれば、指定を含め、縁切りさせようというなら注意(警察の保護など)が必要、とか?

■「売春」をどう考えるのか。
ホストクラブにつぎ込んでも、大方の女の子たちの稼ぎの主戦場は、パパ活、港区界隈(いわゆるミニ三木谷たちパパからの収入)、次いで、もしくはかねてラウンジやキャバクラの収入、女子がさほどのリスクなく(売春もすることなく)月に100・200と稼げる環境が出来上がってるわけだが、そこだけだったらさほど問題ではなかったはずだ。
問題になったのは「たちんぼ」であれ「出稼ぎ」であれ、「売春」がそこが目に見えているからだ。
とくに、海外出稼ぎインフラはハワイ、オーストラリア、ロサンゼルス、ニューヨーク、マカオ、最近はラオスが拡大中だとか。すでに昨年ぐらいから海外で摘発されるケースも多かったので、その裏返しで国内の締め付けに繋がり、今年の春ごろから警視庁は動き出していた。
「人身売買」で犯罪そのものだし、送られるコたちのリスクも相当高い。当然対策はあって然るべきだが、一方で、コロナ禍に国にも見放され、店も弱体したコロナ禍にあぶれた性風俗の従事者たちのニーズから育ってしまったインフラでもあることも忘れてはいけない。
このコロナ禍による性風俗従事者の貧困は、「大久保公園」界隈にいた「たちんぼ」たちと共通する点ではある。

国レベルから見て、「若者へのケアが必要」という、相当雑な言い方、まあきれいごとの範疇ととらえるべきなのか、もう少し狭く、「売春によって生きているコたち」へのケアが必要≒「売春」はセーフティネットか否か、という視点も本当は議論として必要な気がする。
海外の人たちにいわせれば、日本は、事実上「売春」が合法状態の驚くべき国で、ソープランド然り、またそういうところから一定のニーズも生まれているわけだが、どういう政策をとっていくべきなのか、風営法の根本に立ち返り、議論したほうがいいように思う。もし風営法改正議論に参加する機会があるのであれば、個人的には時限的にも「売春」の合法化から入って組み立てなおすべきと考えている。
ホストクラブの売掛システム等の根底にある、風俗店の店と従業員(個人事業主)の委託関係の「委託」は、そもそも「売春」を寛容(と監視)のためにつくったまわりくどい法律構造ゆえにできたものなので、「売春」を残すのか無くすのか(無くせるのか)、また、ソープランドと書いたが、事実上、国内売買春はSNS等による個人間の取引が主になりつつある中、これが適正とはとても思えないはずなので、SNSについても風営法上の改正や運用上の論点になりうるかと。

■歓楽街のガバナンス問題

コロナ禍に店を閉めたり大量に解雇したことで大きなが穴があき、ガバナンスが大きく変容した。ヒエラルキーのトップにいた警察とヤクザ、案外この両者の影響力の低下が大きく関わっている。
見えてる故に問題になっているナチュラルだが、手法としては、昔からある通称"名古屋方式"そのものだ。入口は女性をターゲットし、スカウトし、媒体で求人し、歓楽街で働いてもらって、ホストで金を使わせて、掛けをつくらせ、性風俗・売春に呼び込む、ついでにホストにもインカジで消費させて、その上がり、全部が弘道会に、という方式。
それってやりすぎだろと、昔気質のヤクザと今時のヤクザの争いが山口組分裂へとつながった。ただ、弘道会が強い分、名古屋では表面化しにくい(ガバナンスが効いている)一方、ヤクザ(住吉)のガバナンスがそれほど効かない歌舞伎町で、自主的に「暴力」というガバナンスを強めたナチュラルゆえに、傷害等の事件から可視化されてきてしまった、というのが今。
今回メディアに露出した最初の事件「頂き女子りりちゃん」は実は名古屋の案件からはじまった。名古屋の女子大生がパパ活でおじさんからお金を巻き上げ、その被害者も愛知の人で、女子大生が「頂き女子りりちゃん」から指南をうけていたのだから、ということで愛知県警は「頂き女子りりちゃん」を逮捕、そしてりりちゃんに貢がせていた歌舞伎町のあるホストも「犯罪収益と知って貢がせてたならけしからん!」と逮捕、実質起訴まで行ってないにもかかわらず、ニュースでは大きく取り上げられた。倫理的には兎も角、これまでの法の運用を覆す、愛知県警的には画期的、横取りされた警視庁的には「イラっ・・ムカッ・・」な事件。愛知県警と警視庁のメンツ争い、という側面も今回の件で背景にある。

警察庁は、長官がナチュラル等、売春に紐づく人身売買の全容解明を掲げているが、そんなことは実際には無理だろう。
「流動的」というように、構造は組織的ではなく、あくまで「人」に依存したものであって、入れ替わりも激しい。
もし、通貨紙幣をなくして、一切、電子化できるのであれば、違っては来るかもしれないが。ここは世界から袋叩き状態の日本の「円」。マネロン自在なこの国の状態を財務省が一番よく知ってるわけだが、一方で、意識も含めて警察が一番弱いところでもあり無頓着でもあり。(よって最近は警察庁から財務省への出向も増えているとか)
六代目山口組もそうだが、この「匿名・流動型犯罪グループ」の一番の稼ぎは、本当はここじゃなくて詐欺なわけで。
詐欺の金が流入することでホストクラブやキャバやクラブの"単価"の異常な高騰につながったと私は感じてきたし、そのあおりで、世間知らずなコが身の程知らずの借金をつくる土壌になってしまった、ということを念頭におくべきだし、そもそもお金に色はないという日本社会を根本から変えるつもりがないと、どうにもならないしできないのではないかと思う。まあ、いつかは、10年後くらい?にはできてるかもしれないが。

スカウトが一人もいなくなった歌舞伎町は静かで平和だった。
女の子は「誰も声をかけてこないんで歩きやすい」と喜んでいた。

騒いでいる大人たちより、ここで生きてる若者たちのほうが全体像を知っているんですよ。リアルなのでね。
で、みんな注目してる。酒の肴?的にも。今回の動き。「またか・・」というのが本音でしょう。そして表層のセンセーショナルなところだけを拾って対策したとかうまくいったとかいうのでしょうが。
実際は、売名?手柄の取り合い?まあなんでもいいが、中途半端な対策になるだけで(もしくは余計な闇をつくっちゃったり)、これまで通り、歓楽街で生きる人たちは、その処世術でやっていくしかないのだろうと。そういう意味での自粛モードに入った今、すでにガバナンス、効き始めている歌舞伎町でした。

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