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11月26日(水)よくしよう委員会-コマ劇場跡地再開発についてなど- [まちづくり]

11月26日(水)、歌舞伎町商店街振興組合事務局において「よくしよう委員会」(片桐基次委員長)の会議が開催された。この「よくしよう委員会」は、歌舞伎町商店街振興組合の下部組織ではあるが、組合員でなくとも歌舞伎町で事業や活動を行っているあらゆる人たちが自由に参加可能な開かれた討議の場として運営されており、これまで足かけで約6年にわたって月2回のペースで開催されてきた。委員長は片桐基次氏、歌舞伎町商店街振興組合の副理事長でもある。ちなみに自分もこれまで約5年ほどこの会議には参加してきている。商店街振興組合からは片桐氏と事務局長の城克氏が議長と議事進行を務め、参加者としては新宿区歌舞伎町TMOの霜田事務局長、二丁目商工会、新宿カラオケ防犯協力会、新宿歌舞伎町ホストクラブ協力会、新宿社交料理飲食業連合会などからそれぞれ現場の人たち、ハイジア、サブナード、エスパス、禁煙パトロールの人たち、区コンサルタント、劇場興業各社関係、そのほか歌舞伎町でイベントを実施する代理店やマスコミ等などだいたい毎回30名程度が出席している。

DSC03858.JPG左:片桐基次委員長 右:城克事務局長

また、よくしよう委員会が主体で運営してきているその一つが、昨年以来毎週三日ほどセントラルロードなどで行っている迷惑行為排除パトロール(↓写真)。よくしよう委員会の有志と新宿歌舞伎町ホストクラブ協力会側は当番制で参加し、限られた場所・限られた時間ではあるが、客引きやスカウト、道路上おけるチラシ撒きなどを一切排除してきた。

DSC01973.JPG迷惑行為等排除パトロールの様子

よくしよう委員会では、今後のイベントや各行事のスケジュール等の開示、あるいは今後のよくしよう委員会としての事業計画のプレゼンなどが行われる。11月26日の会議では、ハイジアの2008年クリスマスイベントのスケジュールの紹介が行われた。2008年ハイジアクリスマスイベントとしては12月6日より25日までの間、ヘブンアーティストらによるパフォーマンスが1Fロビーで行われるほか、19日には公募で行われていたハイジアクリスマスバナーデザインのグランプリ授賞式(13:00より)が行われる。また、現在よくしよう委員会で企画中の歌舞伎町音楽CD発売に向けてのプレゼンなどが行われた。この日は、公募された歌詞・楽曲の中からA面の歌詞についての決定が行われた。こちらはまだ企画進行中で未定な部分も多いので、そのうち詳しく書くとして・・。

DSC03850.JPG歌舞伎町企画CD発売に関するプレゼンにて、歌詞決定の投票の様子

やはり12月閉館となるコマ劇場とその後の再開発についての話がこの日は中心になった。

DSC01385.JPG12月末を持って52年の歴史に幕を下ろす新宿コマ劇場と、その奥の新宿東宝会館。新宿東宝会館は昭和44年竣工なので丁度40年で閉幕ということになる。

新宿コマ劇場は12月、新宿東宝会館のほうは概ね3月頃閉館ということが一応目安となっているが、それぞれテナント問題を抱えており未定な部分もある。従って、テナント問題が解決次第ということになるが、早ければコマ劇場は来年1月から、新宿東宝会館のほうは3月以降ということになるとは思われるが解体工事が始まることになっている。解体工事期間は約8~11ヵ月、建設の工期は約3年、どんなに早くても2013年春以降に新しい建物が完成することになると思われる。なお、東宝の計画としては、現在二つの建物(コマ劇場と新宿東宝会館)の建っている土地を合わせてその上に一つの建物を建てるというもので、「ざっくりの計画だと、オフィス、ホテル、物販、飲食、こういったところの複合ビルという表現をしていた。」と城克氏。

この件について、問題は二つある。一つは工事現場になったらば、歌舞伎町のど真ん中が仮囲いで覆われることになる。それで本当に賑わいが保てるのか、という点。もうひとつは、いったいどういう建物が建つのか、実は今のところ全く決まっていない白紙状態であるという点がある。

◆工事期間中の仮囲いについて

「仮囲いについては、新宿区と地元ということで東宝に要請にいきましたが、まだ具体的なアイディアはない。ついては、皆さんのほうから仮囲いを例えばイベント化できるような工夫・アイディアをいただければ要望の中に盛り込むことは可能。」と城氏。「今、新宿区の方で対応してもらっているのは、通常工事現場の仮囲いというのは敷地一杯なんですが、ところがコマの場合は敷地一杯に建物が建っているため、仮囲いを区の道路にはみ出てそこに仮囲いををしてもいいと譲歩してもらっている。ついては、区から計画している、あるいは街から意見を吸い上げて仮囲いのイベント化をなんとか東宝にやってもらえるようにという構図になっている。4年間、ビルを壊してから出来上がるまで丸四年、たとえば仮囲いを生かして、なんとか賑わいを創出、あるいは維持できるよう工夫しなくてはいけない。」

DSC02077.JPGコマ劇場内観

◆どういう建物あるいは施設が出来るのか

「いくつかのアイディアはあるのでしょうけれども、まだどうするのかは最終的に合意段階にはない。従って、噂で超高層ビルが建つとかいろいろあるが、全てデマです。何にも決まっていない。解体期間中に、若干猶予期間があるのでその間に決めよう、だから何ができるか決まらないまま壊し始めてしまうというのが現実。東宝としては、劇場・アミューズメント・映画館・パチンコ店・ギャンブル、これは一切入れないというのが基本的な考え方として持っている。果たしてそれでいいのかどうか、これについては先日歌舞伎町商店街振興組合の理事会が開催され、ダメでもともと、あるいは非現実的であったとしても街は何らかの形でこういうビルあるいは建物なりにしてくれと言う要望は出すべきだということに決定したので、今後意見を集約しながら、新宿区長経由なのか東宝に直接なのかはまだ検討中だが、新たな建物についての要望を出すことになっている。」と城克氏。

片桐基次委員長からは「歌舞伎町を作った我々の先代の人たちが神戸に行き、阪急の小林一三さんにお会いさせていただいてなんとかここに劇場を誘致してもらいたいということで、まず歌舞伎町という名をつけ歌舞伎劇場を誘致しようとしたりと動いたのですが、現実には小林一三翁としてはそこに歌舞伎劇場は待っていけないけれども、まったく新しい劇場を作ってやるからという話をいただいて、それで出来たのがコマ劇場なんですよ。コマ劇場は大繁栄し、歌舞伎町にとっては無くてはならない劇場ということで、先代の人たちがそうやって動いたということで、今回まさにその通りだろうということで、我々街の人間は東宝に対して声をあげてこういうのを作ってくれと、こういう形にしてくれというものは当然言うべきと思うし、東宝さんにお話しましたら是非それを聞かせてほしいと言ってましたので、振興組合でも理事会を通じていろいろ考えますけど、やはりこのよくしよう委員会で直接歌舞伎町に関わっている皆さんについてもいろんなお話を伺っていきたい。」ということもあって、この日のよくしよう委員会でもざっくばらんにディスカッションが行われた。

まず、工事期間中の仮囲いについてだが、治安面や賑わい創出という意味で、平坦な何の変哲もない仮囲いではなく、街を明るくすることや、壁面を使ってのイベント化できるようなものを考えてほしいという声が多い。新宿駅南口再開発における国道20号新宿跨線橋架け替え工事では、工事現場の壁面を利用して街の人たちの写真や絵を貼ったり、冬・夏バージョンの光の演出を加えるなどの工夫が行われた。同じようなイメージを歌舞伎町に持ってくるとすると、同デザイン事務所あたりで約2,000万のランニングコストがかかるといわれている。「今回は東宝さんに全部持ってくださいとは言ってますが、
振興組合とか街はお金はないですよ、ただし治安上や賑わいのためにも街を明るくするということについては東宝さん、協力してくださいという話はしている。」(片桐氏)とのこと。また、壁面を直線ではなくアール(曲線)を持たせることで人がたむろしにくくなるという実験結果もあるということなので、そういったものになっていくことが考えられる。

次に、どういう建物、あるいは施設になるのか?

前述、城氏の話のように「東宝のざっくりの計画だと、オフィス、ホテル、物販、飲食、こういったところの複合ビルという表現をしていた。」ということではあるが、それに対して街は東宝に対してどういった要望を出すべきなのか?以下、出た意見を簡単に紹介すると、

・コンベンションや芸能、あるいは集会など多目的に使用できるホール、広場を作ってほしい。
・中国や韓国、そして日本の文化を発信するような拠点
・何年も残るような建物にするためには単なる複合ビルでは無理、仮に東宝自身が経営をするのであれば興業関係をやらないと名前が残らないのではないか。
・物販店舗・飲食店舗なんていうのはどこにでもある。そういうものではあってほしくない。
・オフィスは失敗するだろう。歌舞伎町のオフィスというのは募集しても人が集まりにくい。以前ハイジアにNHKの営業センターがあったが3年ほど前に出ていった。何で出ていったかを聞いたらあそこは管理職は正社員がやっているけど、あとはパート・アルバイトの女性がやっていた。NHKというブランドを持っている企業でも募集で女性が来ない、歌舞伎町というだけで嫌われる。その後、NHKの営業センターは住友ビルに入った。住友ビルに行った途端に募集で人がわんさか集まるようになった。
・コマ劇場というものを何らかの形で残してほしい。
・大崎やお台場など再開発のオフィスビルは快適だけど不便だそうだ。夜、店が全部閉まってしまっていて残業した人は飯を食べるところがないとか、帰りにちょこっと呑んでいくところもない。非常に不便感があると聞いている。歌舞伎町はむしろ真逆で、快適さは無いかもしれないが圧倒的に便利。従って、これを機に歌舞伎町を新しく変えていくという意味でも、歌舞伎町にオフィスを誘致するというのはありかと思う。今の状況でオフィスは来てくれないかもしれないが、オフィスが誘致できるような街というのもこれからの街づくりに考えるべきファクターではないか。
・どこかの駅前のオフィスがあって、ホテルがあって下はレストランとか、ショッピングモールだとか、そういうどこでもありきたりの絵を考えるのではなくて、たとえば若い女性に来てほしいとか例えば台湾でも中国でも韓国でもああいう人たちを呼びたいと、ということはできるだけこの場所に人が集まってきてほしい。では、どういう事例があるかというと、例えばミナトミライ、桜木町のそばに公団がメインで作った遊園地があって意外とあれがウけて入っている。そういうような切り口をちょっと変えて欲しい。
・赤坂も、サカスができるまでは土曜日曜とまったく飲食店がダメな場所だった。それが変わったのは、百貨店・デパートがあるというと、土日でも飲食が回るようになる。デパートや物販も視野に入れて、その中でアジアを中心とした文化の香りのするもの、あるいはデューティフリーなどがあっらいいのでは。
・誰もがわかるように過去のコマ劇場がわかるような、昔はこうで終わる時はこうだったみたいなコマ劇場ミュージアムなんてのもあってほしい。
・子供づれで歌舞伎町に来ると遊ぶ場所がない。家族づれでも遊んだり憩いの場になるような、多目的ホールやそういう場所があったらいい。
・アメリカなどでは、シルク・ド・ソレイユなどのサーカス劇場を置くことでホテルの再生を試みるというのが事業として成立していると聞いている。お笑いよりサーカスのほうが年齢層が広い。
・アウトレットやあるいはデューティフリーショップを入れるというのもアジアなどからの観光客に非常にウけがいい。
・中国雑技団の常駐公演スペース
・ミュージアムや博物館
・飲食施設はない方がいい。街としてはシャワー効果を望んでいるわけだから、飲食店は街の中に山ほどある。したがって真ん中に駅中的な施設があってもしょうがない。

やや、議論がテナントなのか、コンテンツなのか、構造なのかまじりあっている感があってまとまりはないが、概ね全体としては人が集まる場所で街に対するシャワー効果を期待する施設、尚かつ今までの歌舞伎町には無いシンボルとなるようなものという期待感はあると言える。しかし一方で、東宝やディベロッパー側からの話で漏れ聞いていることからすると、「今の話を聞いてると、東宝が頼んでいるデザイナーがなんか違うなぁという感じがする。歌舞伎町の不幸なことは、歌舞伎町にあったデザイナーというのがいない。お台場だとかフィッシャーマンズワークだとか、みなとみらいだとかが似ているのだけれども、どうもそういった類のデザイナーには頼んでないような気がする。」(歌舞伎町TMO霜田事務局長)なんていう意見もあった。自分も、約1社デザイン事務所に会ってはいるが、どうもアイディアが陳腐というか、歌舞伎町に迎合しちゃっている感じがする。歌舞伎町ってこんな街でしょ、だからこんなのが合うんじゃないか的な印象が強かった。テーマパークレストランの話とか、たとえば建物の中に水路を作ってそこで船を使って行くと、中には大きな昔風のオペラ座的な作りになっている。そこが劇場型レストランになっているとか。どれも非常に歌舞伎町的で面白い、しかしこれってキャバクラだったら面白いけどとても街の中心に軸になってあるべき施設とは言いにくい。どうも、繁華的な商業スペースというイメージで進めようとすると原点のところから間違ってしまう気がする。これは意見として話させてもらった。

自分で自分の発言を書くというのはどうもやりにくいことなのではあるが、会議での自分の発言をそのまま書いておこうと思う。以下発言内容。

・地上部分は民有地の公園あるいは多目的広場を前提とした地下での事業を含めた複合施設いう構想(あくまで“てらたに案”です)

「コマ劇場は52年間、新宿東宝会館に関しては40年実際にあったわけで、つまり変わらないものが約半世紀あったということは歌舞伎町の繁栄という中で大事な要素だったと思われる。今度新しく建物が建つということは、やはり半世紀、歌舞伎町の中心として継続的にあるということ。歌舞伎町と言う街はどういう街かと言えば、全体的に非常に頻繁にテナントが入れ替わり業態も変化していく。そういう街構造の中で、中心にあるものはそれをさらに拍車をかけるような落ち着かない建物であってはいけない。やはり50年間変わらない、変わる必要のないものであるべきだろう。

もうひとつ、人が集まるということが重要である。この両面を軸と考えた場合、最も理想から言うと『広場』ということになるのではないか。真ん中にあるべきものは広場、あるいは公園ということになる。ただ、それが商業的に成立するのかということが問題なのであって、ただ、商業的に成立する方法が決して無いかというと無いわけではない気がする。民有地としての公園というのも、考え方としてはありうる。」

さらに具体的に説明をすると、

「例えば、新宿駅の再開発であるとか、澁谷の駅周辺の再開発もそうなんだけれども、皆さん広場を創ろうとしている。人工地盤を作って広場を作り、その人工地盤の下に商業施設を置いて商業的な成立もさせようとしている。コマ劇場・東宝会館跡地約2,000坪に仮に広場を創ることを前提においても、例えば商業施設を地下に置くであるとか、あるいは商業施設でなくてもいい。事業性という意味で、たとえば歌舞伎町の場合はゴミ処理という問題がある。歌舞伎町は24時間大量にゴミを出し続けている。新宿区には自前のゴミ処理施設はなく、また、歌舞伎町の場合は特に民間委託によって処理してきたわけですが、仮にそれを一括してコマ劇場跡地の地下で処理し、出来ればそれを熱源化するとか地域冷熱のプラント化するであるとかというケースまでファクターとして組み入れ、それを商業的に成立するかどうか、あるいは商業施設と複合させることではたしてどうなるかということで、仮に不動産価値に対する利回りを確保できたとするならば不可能ではない。

要約すれば、跡地2,000坪は地上を公園とする。地下には商業施設と、ゴミ処理からの地域冷熱プラントを複合的におき、歌舞伎町中にたとえばハイジアのプラントと協力し合ってでも温水を回す。

街の雰囲気にあまり迎合しすぎると返って立たないというか、埋没してしまうという印象を受けている。コマ劇場跡地について、歌舞伎町はこんな街だからこういうものが合うのではないか?という考え方ではなくて、歌舞伎町全体に対してむしろ真逆なもののほうが、街全体のバランスから言って成立するのではないか。だから非常に大衆娯楽的な街なのだけれども、究極的にはむしろかなり高尚な文化的なものを担える施設のほうがいいと思う。例えば、緑の芝生で敷き詰められた広場、まん中にはルーブル美術館にあるようなガラスのピラミッドがあって地下に入ると荘厳な美術館がある。屋外には野外音楽堂的な多目的なスペースやカフェがあり一方で、さらに地下にはゴミ処理施設と地域冷熱プラントがあるといった姿をイメージしている。

また、さらに言えば、そこに建物を建てる900%なりの容積は持っているわけじゃないですか。その容積を飛ばす方法もある。例えば、西武新宿駅の上空、あるいは新宿TOKYU MILANOの上、あるいは歌舞伎町全域を連担建築設計制度的にとらえられるのであれば、その容積を貸すとか売るという方法もある。こうして建つべき容積を事業として生かしながらも、歌舞伎町の真ん中2,000坪は広場にし、24時間眠らない街でありながらCO2の削減等合わせ環境ケアを十分考えたものにしていく。よくしよう委員会は、本来歌舞伎町の24時間特区(あらゆる業態において営業時間の規制を受けない経済特区)を目指している。24時間特区を目指すにあたっても、今や環境というファクターを考えない街づくりはあり得ない時代に入っている。実は歌舞伎町は眠らない街だの風俗だの際立って繁華な街でいながら、実はこういうこともやってるんだよと、そんな街であってほしい。」

このアイディアに対して、うなずいてくれた人もいたり、ポカーンと聞いてただけの人もいたり、だが食いついてくれた人もいた。歌舞伎町など繁華街でビル経営をする新広ビルの西山氏は「各建物にしてみれば地域冷熱の受け入れ態勢を作るのに20年30年のスパンで考えなくてはいけないことになるが、仮にコンセンサスができたとしても東宝の立場になれば、採算面から言って20年30年先にまで考えて耐えることができるのか?」という話が出た。いやいや、それこそ東宝に要望を出そうという話になっているときに、東宝の立場を理解して考える必要はないのではないか?あくまで、単独の単なる建て替えではなく、街づくりという見地に立って地域全体に対する活性化なり資本の流入を促進することを目指すのであれば、それこそ20年30年先のことを想定しながらじゃなかったらそれこそ50年変わらぬものを建てることなんて出来やしないのではないかと、これは自分。

こういった議論の中で、歌舞伎町商店街振興組合としては東宝に対し要望書を作成し提出するということになっていくようである。

□その他よくしよう委員会の議論

よくしよう委員会の実の部分で活動の中心にある迷惑行為等排除パトロール、ここでこれまで一緒に活動を続けてきた新宿歌舞伎町ホストクラブ協力会なのであるが、実はこの協力会から最近相次いで3店舗の脱会があった。これは、要は「道路使用許可が出て合法なのであれば我々もチラシ撒きをしたい」ということに端を発している。迷惑行為等排除パトロールとしては、警察がホストクラブなど風俗店の路上における宣伝・チラシ撒きに対して道路使用許可を与えていたとしても、それをはいそうですかというわけにはいかない。たとえばセントラルロードの入口にホストや客引きがたむろすれば、たとえ彼らがしつこいキャッチ行為をしていなくとも、居るだけで街に入りにくい状況を作ってしまう。そこで、やはり歌舞伎町の玄関であり、もっとも主要な導線であるセントラルロードやコマ劇前までにかけては警察が許可しようとも街はそれを認めないという姿勢でパトロールを続けそれらを排除してきた。

もちろん、商店街振興組合を通じて何度も警察に対し風俗店などのチラシ配布行為に対して道路使用許可を出さないよう求めてきたが、一向に減ることはなく、それならばということで自分もリスクを覚悟で警察批判(参照:民意を封殺する新宿警察署-「新宿駅東口周辺、および歌舞伎町における客引き・勧誘・迷惑行為の徹底撲滅に関する要望書」の顛末-)を行ってきたわけだが、一方でホスト協力会としては、だったらオレたちもチラシ撒きたいという思いに駆られる思いは十分理解できる。

DSC07633.JPG迷惑行為等撲滅パトロールに参加してくれている新宿歌舞伎町ホストクラブ協力会

この日、よくしよう委員会では新宿歌舞伎町ホストクラブ協力会からチラシ撒きを認めてほしい旨の要望があったが、これについて議論はあったが却下せざるを得ないことになった。「ホスト協力会の人がキャッチ・客引き撲滅のティッシュを配りながらも、尚かつ自分のお店のチラシを持って配ってたとしたら、それは見る目としては違法にキャッチなりチラシを配っている店と同じだろうと。よくしよう委員会は何をやってるのか?と言われるでしょうし、言われてもいいんですが現実には、歌舞伎町の様々な業種の中でどうやって協業していこうかというのがよくしよう委員会で、これからたとえばマップの話とかWEBなどを通じながらもなんとかして協業していきたいと思ってますんでキャッチを出している店は一切入れないと、逆にどうやって協力会のお店を立てようかということでいろいろ考えている。したがってチラシをまくことをどうぞとは言えない。」と片桐氏がまとめた。「しかし、そうやって街とともに生きるという意味でいろんな意見や要求を出してくれるのはありがたい。」とも伝えた。

新宿署の客引きや迷惑行為の取り締まりが緩ければ、やはりせっかく街に歩み寄ってくれて一緒にやっていこうとしている側の風俗店とのコンセンサスは揺らいで当然なところはある。会議では、みんなの前と言うこともあって激しい議論にはならなかったが、現実にはホスト協力会に加盟している店舗らから聞こえてくるのはやはり何のメリットがあるのか?なにが正しくて何がいけないのか混乱しているという声。一方で時間外営業はダメ、客引きはダメ、一方で道路使用許可を出して違法な客引き行為を助長している、そういう変な取り締まり体制に疑念を抱くのは無理もない。と言って、じゃあ、よくしよう委員会としてチラシ撒きはしょうがないねなんて話になることもあり得ない。

ただ、実は、前述“民意を封殺する新宿警察署-「新宿駅東口周辺、および歌舞伎町における客引き・勧誘・迷惑行為の徹底撲滅に関する要望書」の顛末-”以来、やや警察と街との関係は紛糾したが、「雨降って地固まった。」(城克氏)と、つまり新宿警察署は生活安全課も交通課もかなり街側の要望にこたえる形で動き始めてくれていると言う。まず、道路使用許可については、各店舗二人まで、従って二人で一か所か一人ずつ二か所なのか、いずれにせよ三か所ではチラシは撒けないように許可条件を厳しくしている。当然許可条件が厳しくなれば、無許可での客引きや道路不正使用が出てくることは容易に想像できる。したがって、新宿署としては「特に街が要望している迷惑行為の取り締まり強化と抑止に入っていくという話をもらっている。」と城氏。また、道路使用許可条件として、歌舞伎町商店街振興組合の許可があるか無いかというのも基準となりつつあると聞いている。よって、そういった状況でなおさらではあるが、ホスト協力会のチラシ撒きを容認するような状況ではない。

現在、新宿署は深夜に複数回時間帯を分け、たとえ検挙につながらなくても迷惑行為の著しい場合などはどんどん積極的に声掛けを行っている。「ほとんど我々がやっているパトロールと同じ目線になってくれてきたようだ。」と城氏。

12月1日(月)から5日(金)には区・警察・商店街による年末合同パトロール(18時から20時)、そして20日からはいよいよ年末特別警戒へと入っていく。意見や異論はもちろんいろいろあるだろうが、やはり警察は警察の正義で、常に緩めることなく取り締まりや抑止に力を注ぐべきであり、それでこそ繁華なところに歯止めが効き、バランスが保たれる。もちろん街もそれに協力すべきであり、よって歌舞伎町の事業者はよりクリエイティビティになって新しい業態やブームを創出していく。あるいは覚悟をしながら歌舞伎町の正義を貫くか、それがこの街の正しい生き方だと思っている。歌舞伎町の正義とは何か?来街者に喜んで来てもらい、楽しんで快く帰ってもらうこと、それに尽きる。法を守れば何でもいいとか、法を破ればすべてダメ、ということでは決してない。だから歌舞伎町にはリスクとその覚悟が必要なのだと思う。


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