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3月17日 吉住健一新宿区長インタビュー [インタビュー]

送信者 Shinjuku,Kabukicho 2015

昨年11月、3期12年新宿区長を務めた中山弘子氏が引退され、自民党都議から、42歳という若さで新宿区長に当選した吉住氏。1月30日に開催された、吉住氏としては始めて会長(議長)を務めた第9回歌舞伎町ルネッサンス推進協議会では、有識者委員から、これまでの協議会とは多少異なるニュアンスの、歌舞伎町の治安に対する考え方が示された。となると、やはり、新区長の意見は聞いておきたいなと思い、機会を得てインタビューをさせてもらった。

日時:3月17日(火)16時~17時
場所:新宿区役所区長室応接室

というわけで、まずは、第9回歌舞伎町ルネッサンス推進協議会有識者委員の意見を踏まえ、吉住区長の歌舞伎町像、今、そしてこれからについて。


吉住区長
「歌舞伎町というのは、やはり、新宿のシンボルです。新宿に行くなら歌舞伎町に行って見よう、行ってみたいという、目的意識をもって尋ねてきていただける街の一つだと思います。“猥雑さ”も含めて、いろんな魅力がある、ワクワクする部分と、ドキドキする部分と、その後に得られる満足感と虚脱感と、その激しい、特徴的な感想・印象をもてる街だと思います。一方、実際に営業されている方々というのが、地付きの人とか、ずっとここで商売を続けていこうという人、そういう意思を持っている人は、かなり道義的な考え方を持っていて、それが、いい悪いは抜きにして、一定の線引きというのがあるのですけど、よく言われる“道義的繁華街”、そういう意識を持った経営者が多い街なので、そういう意味では、ワクワクするし、ドキドキもするのだけど、安全な街である、あろうとする、そういう道を、今後も歌舞伎町は辿って行くのではないかと思っています。そうでなければ、人も、繰り返し繰り返し来てはくれないだろうと。」

― 必ずしも安心できる街である必要はないが、無論、無条件に安全というわけにはいかないにしても、安全に遊べる街である必要はある。4月開業の新宿東宝ビルをはじめとして、ホテル客室数の増加や映画館の開業にともない、来街者にしめる観光客の割合の大幅な増加が見込めます。一方で、それらをターゲットとした客引きやぼったくりによる被害増加も懸念もある。

吉住区長
「今までは客引き防止のところで、緒に就いたところで、パトロールもうちの区の管理職も一緒に立ち合せていただいたり、回らせていただいている、新宿駅西口とこっちの東方面とやってるんですけれど、私も全地区一緒に回らせていただいて、やはり、無力感を感じるところはあります。
これは、警察と一緒に行ってもだめというところがありまして、ただ、警視庁はいろんな情報収集に努め、毎週どっかしら摘発している、逮捕、廃業に追い込んでいるというのがあるんで、少しずつでも減っていけばいいなと思っているんですけど、区としても、実際によその地区でやっていることを見ながら客引きの対策をすすめ、あと、ぼったくりに関しては、密室で行われていることなので、どうやって情報収集していくか、情報を得なくてはならないだろうなと、その段階ですね。まずは、相手を知らないことには、手のうちようもないなというのが実感です。」
― 25年9月に施行された客引き禁止条例ですが、予算がついたわけでもないし、理念条例なので、事実上「実」がない。新宿区としては、例えば、新宿区客引き禁止条例の強化や、都ぼったくり条例の強化などを警視庁に求めていく等の考えはあるか?

吉住区長
「まずは、どこまで自助努力ができるか、というのが一つと、あとは、罰則をつくったときに、それを担保する協力を、関係機関から得られないといけないので、そこの協議が整わない限りは罰則はつけられないなというのは、区長選の公開討論会の時に申し上げた時と同じ状況です。なるべく区のほうも、街のみなさんと連携しながら、官民一体となって、今の、客引きをやっている状況の是正をしていく努力をし、それで、その努力でなんともならないというのが、明らかに、関係協力機関にも了としてもらえる状況をつくらないと、すでに罰則をつくった自治体があって、実際に罰則を適用して、それは抜かない宝刀じゃいけないんで、レアなケースでそれはあるかもしれないですが、じゃあそれが、常態化して常に、何か違反しているところを摘発しているのかどうかとか、実際にどこまでできるのかというのは、やはり効果を見てみないと、やはり、抜けない刀をつくってもしょうがないなというのが正直ありますね。」

― ぼったくり条例違反を、例えばビルオーナー責任を問う形で、ぼったくり条例の運用を強化しては?

吉住区長
「どのような経緯でそのテナントがビルに紹介されてきたのか、あるいはグルなのか、そういう大家さんなのか、研究しないとその辺はわからないですね。」

― 悪質且つ高額なぼったくり問題が後を絶たないが、この問題に関する情報がまだ足りないという新宿区。当然ながら智恵も足りないという。まずはそこに課題がある。ただ、客引きに引っかからないように、あるいは、被害にあいそうになった時の対処法として、“歌舞伎町”として適切なアドバイスを“公式”にできないままというのは、やはり問題かと。

― 歌舞伎町コンシェルジュ委員会(運営事務局:寺谷公一)では、ホテル宿泊観光客と地域の優良なコンテンツとの接続とインフラの整備を目指し活動をしています。新宿区としては、これに連携し、どのような役割を考えていますか?

吉住区長
「区としてできること、やらなくてはいけないことはどこかといえば、例えば、ソフト面ではWiFi網であったり、公共空間の歩きやすさだとか、そういう意味での、お客さんを誘導していく、人が集まりやすく、流れやすい、そういうのを作っていくのは公共の立場でできること、情報を入手するためのWiFiのようなインフラの整備というのは役所ができることだと思うんですよね。そういったものを活用し、いかに情報を発信しお客さんを呼び込んでいくというのは、各個店の努力と、そのお客さんと個店を繋ぐコンシェルジュの皆さんだと思うんで、歩きやすさと、情報の得やすさをつくっていくのが私どもの役割の部分かと思っております。東京都とか、あるいは大きな企業が競って、WiFi整備をやってくれているので、そこに新宿区が二重投資するともったいないんで、今年、都も新宿をモデル地区として有る程度やるみたいな話もでていたんで、都がどこをやるのか、大きな事業者さんがどの範囲をカバーできる設備をやっているのか、そういうのを全部チェックして、その隙間を新宿区が埋めていって面的な整備をやっていくような、そういうスキームで考えているところです。」

― 新宿の街の最大の資源は利便性であり、安全に遊ぶためのインフラ整備は欠かせない。東京、新宿へ行ったけど、だまされて帰ってきました、いやな思いしましたって言ったら、SNSであっというまに世界中にひろまってしまう時代。また、日本人が海外に行ってすき放題遊ぶように、逆に、では、日本に来てくれている外国人が、楽しめる遊びはたくさんあるのに遊べていない、リアリティとかアクティビティという部分は未開でニーズがあるはずなので、コンシェルジュ委員会の民間ならではの部分と、一方で、官民で連携できる部分は連携しながらやっていきましょうと。

― WiFi網整備には災害対応というニーズもありますね。

吉住区長
「避難民の一時受け入れを大規模事業所にやってもらうんですけど、そういうところにはちゃんとしたWiFiを整備しておくとか、安否確認できれば皆さん急いで家に帰らなくてもすむんで、それは計画的に整備していきたいと思ってます。あとビジョンの前とか、待ち合わせもしますしね。オリンピックの前後あたりから観光客はぐっと増えてくると思うんで、便利になって、繰り返し来てるうちに遊び方もわかってくる、WiFiなんかはその入口ですよね。もちろん、オリンピックの瞬間しか使えない金というのではなく、それを投資することによって、ずっと使える、生きるようにしないと。」

― 新宿区はこれまで、地域活性化において公共空間の活用を推進してきました。昨年秋には、日本初の繁華街でのいわゆるブロックパーティ形式での、ロックフェス(CONNECT歌舞伎町MUSIC FESTIVAL)なども開催しました。ただ、“まちづくり“とは、本来、”投資誘因”であるべき、かと思いますので、公共空間(シネシティ広場)を一部会場にすることに一定の理はあるものの、本来コンテンツはやがてハコ(建物内)へと納まるようにしていくことこそが投資誘因だろうかと。公共空間活用でイベントをすることに第一義があるわけではない。しかし、公共空間でしかできないこと、公共空間を開放してこそ意味があるものもある。ちょうど新宿エイサーまつりなどでかかわりのある沖縄県ですが、沖縄の地域振興プロモーションでは、地域へのテレビ番組や映画撮影誘致にとても力を入れてます。
さて、歌舞伎町ではこれが可能でしょうか?今のところ、歌舞伎町の1丁目地区内は撮影許可が出ません。これまで、歌舞伎町でのフィルムコミッション開設の議論は、出ては消えを繰り返してきましたが、吉住区長には是非、歌舞伎町フィルムコミッションの“着地“を目指してもらいたい。

吉住区長
「現在、撮影禁止になっている状態ですが、おそらく、当初は何かしら理由があってそうなったのでしょうけど、歌舞伎町が抱えている課題というのは未だ残されているので、安全、安心の面も含めて、例えば安全に撮影できるかというと、それはどこも一緒なんですけどもね、そういった一つ一つを、許認可権を持っている警察の理解が得られるように、いろんな課題をクリアしていくことが必要だと思ってます。そのためには、大勢人がくるような環境にあって、一定の秩序を守れるんだという実績も残していくこと、そういう街のマネジメントを区役所や街の中でできるというのが担保として必要なんだろうなと思ってます。その一環として、東宝さんとも、新宿の新しい名所となる魅力を持った素材(例えば『ゴジラ』)をもってらっしゃるんで、連携し、(施策としても)成長し、(フィルムコミッションの話が)一皮むけるよう努力はしていきたい、そういう気持ちは持ってます。
現実的には、規制されている場所は特定されているでしょうから、それを地図上に落としていく、使い勝手がいいかとかはあるでしょうけど、どこで撮れてどこで撮れないかを精査しながら進めていくことはできるかもしれない。」

―最後に、渋谷区で話題になっている、同性カップルに「結婚に相当する関係」を認めるパートナーシップ証明書を発行する条例案の話題に触れてみました。個人的には、この問題、例えば政治ではなく、まずは司法で訴える手は無かったのかとか、また、政治的なバイアスがあちらこちらにあって、ちょっと扱いにくい状況になってしまっているだけに答えにくいかなとは思ったのですが、LGBTというだけでなく、広くマイノリティ対策という意味で。

吉住区長
「これ(LGBT、性的少数者の制度的保護や保障)について、今まで検討してきたという経過がないが、ただ、何も考えないということもできないのだろうなと。多国籍問題(新宿区には人口の1割、外国にルーツをもつ人たちが住んでいる、多文化共生)についてはとくに念頭にあって、言語に起因する弱者というのを救っていく、それも一つのマイノリティ対策なのかなと。また、杉山文野さん(LGBTの同性パートナーシップ条例案実現の活動の渦中にいる中心人物)とも面識させていただいて(※区長選前のことだが、そんな機会があって飲みながらいろいろ語り合った)、いろんな葛藤を経ながら今の状態にあると思うので、そこのことも考えなくてはいけないと思ってます。」

― あえて取り上げることで、また新たな反対者が生まれ、余計な対立が生まれたり、ここは新宿だからデモが拡大したり、そういうことにならないよう、また、そもそもこれって対立するような話ではないはずなんだが、どうもそうならないところにもう一つ智恵が必要だと感じている。どの道、歌舞伎町に限らず、新宿区にはいろいろな意味でのマイノリティが多彩に暮らしている街でもあるので、いずれ、避けて通れない部分ではあろうかと。現実的な制度としての着地が見込めるような環境は、新宿区だけでつくれるものでもないので、もう少し広い、そして深い議論が欲しいところだというニュアンスだった。


吉住健一(よしずみけんいち) 新宿区長
昭和47年4月22日生 東京都新宿区生まれ 現在42歳

平成 4年 4月 日本大学法学部入学(平成8年卒業)
平成 8年 4月 衆議院議員与謝野馨事務所(新宿担当秘書として平成15年3月まで在職)
平成15年 4月 新宿区議会議員選挙当選(1期目)
平成19年 4月 新宿区議会議員選挙当選(2期目)
平成21年 7月 東京都議会議員選挙当選(1期目)
平成22年 2月 自由民主党東京都連青年部長(平成24年2月まで)
平成23年10月 都議会厚生委員会副委員長(平成24年10月まで)
平成24年10月 都議会財政委員長(平成25年7月まで)
平成25年 6月 東京都議会議員選挙当選(2期目)
平成25年 8月 自由民主党新宿総支部支部長
平成25年 8月 都議会公営企業委員会理事
平成26年11月 新宿区長就任(1期目)

尊敬する人物 与謝野馨、斎藤隆夫
趣味 スポーツ、神興、餅つき、晩酌、読書
新宿区長 吉住健一 公式ホームページ http://www.yoshizumi.jp/


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