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5月23日 歌舞伎町商店街振興組合 第51回通常総会 および歌舞伎町昨今の動きについて [まちづくり]

2012年5月23日、歌舞伎町商店街振興組合の第51回通常総会が執り行われた。現在、組合員総数は220名、この日の出席者は41名、委任状数78名にて開催。

歌舞伎町商店街振興組合の、前年度事業報告および、新年度の事業計画、および予算などの承認を行うのがこの通常総会。冒頭、平成23年度の事業報告として以下文面が読み上げられた。

片桐基次氏が2期目の路地長として推挙されスタートした平成23年度。歌舞伎町の未来を左右する事になろう東宝株式会社による再開発計画が発表されました。

1,000室規模を誇るホテルと、12スクリーンのシネコンがその中心です。旧コマ劇場の解体工事が本格化し、見た目にもまちが変貌していく事が活性化につながってくれればと願う次第です。

組合では昨年「歌舞伎町の将来を考える会」を立ち上げ、地域に関係する各業界、業種や専門家の方々を交え論議を繰り返した結果、活性化とは投資を誘因することと結論付け、この投資誘因の妨げとなる事案を解消する事が組合の責務であるとしました。

その妨げの最大のものは、来街者の方々の体感治安を悪くするしつこい客引きの存在と考えます。この撲滅に向け昨年組合に返還を受けた臨時派出所を活用し、4月より毎週3日間夕方から警察官OBの方2名採用しパトロールを開始しました。うち2日間は、組合員の皆さまにも分担で協力していただき、又、新宿区の職員の方にもご参加いただき、パトロールの時間中は一定の効果が得られたと判断いたします。

しかしながら、パトロール時間終了後はまた元に戻り、客引きが跋扈する様は変わりありません。

そこで、本年は新宿駅東西9つの商店街が一致団結し、新宿区に客引き禁止条例を請願する為の「新宿駅周辺安全安心を実現する会」が東口商店街振興組合安田理事長を会長として発足し、条例実現に向けて行動を開始しました。

又、3月に発生した東日本大震災の影響で、夏場の電力節約に協力し、一番街、桜通りのアーチを消灯させる等、繁華街の活性化とは逆方向への対応も余儀なくされ、厳しい年度となってしまいました。

2012/5/23 歌舞伎町商店街振興組合第51回通常総会より
続いて、組合理事長の片桐基次氏より挨拶と新年度事業について。「今年度につきましては、いよいよ本格化する東宝ビルの​再開発に対して、『街』として、何が出来るか、その一点​に尽くされると考えています。 一昨年、地域・事業者・行政の方々で組織いたしました『​歌舞伎町の将来を考える会』というのを、何回か会合をも​ちまして、それにおいて、歌舞伎町の将来を協議させてい​ただきました。そこで導き出された結論、と言いますか、​こと、はですね、歌舞伎町の活性化とは、“投資を誘引す​る”ということ、そのために、我々振興組合は、やるべき​ことは、誘引を阻害している悪質な客引き、また、スカウ​ト等を排除することが、まず一番だと考えました。ドンキ​ホーテの前の臨時派出所の返還をうけて、安全安心ステー​ションを構築いたしまして、警察官OBの方の二人にお願​いしまして、毎週3回、パトロールを続けております。
更には、昨年11月、区条例による客引き・迷惑行為排除に向​けた、“新宿駅周辺安全・安心を実現する会”を、これは​歌舞伎町が中心となりますが、新宿駅周辺9商店街・町会​の皆様の賛同を得まして、また、歌舞伎町のタウンマネー​ジメントによって発足いたしました。パトロールの手法、​法律などの研修などを行い、来年、平成25年度の(条例​)施行を目指して、活動しております。これは、新宿区の​客引き禁止条例、ま、客引きだけではありませんけど、看​板等、9商店街が困っていることを網羅するような条例を​つくっていただく、ということで、動いて活動しておりま​す。
また、今年2月に発足しました『歌舞伎町地区デザインガ​イドライン策定委員会』による、シネシティ広場、セント​ラルロードを中心にした整備、さらなる観光客の増加のた​め、路線バスの誘致誘引など、観光の街・歌舞伎町に向け​、地域・事業者・行政と一体となって、只今、協議を進め​ております。 そして、これは、大きな地域ということになりますけど、​新宿イースト協議会というのがあります。 歌舞伎町は、その一員として、新宿が、楽しく、歩きやす​い街、これは中山区長も切望されているところでございま​す。など、実現し、安全・安心な“歓楽街”歌舞伎町のた​め、尽力していく所存でございます。」

なお、歌舞伎町商店街は年間で各町会分担金や労働保険事務、共同施設収入(ビル賃貸料等)、および補助金などで約6,200万円の収入があり、これに対し、新宿エイサーまつり(7月)、熊野神社祭礼(9月)、歌舞伎町まつり(10月)や各種の共同宣伝事業、環境・町会活性化対策としての防犯・パトロール・青灯交番(歌舞伎町安全安心ステーション)運営や清掃美化、管理するビル(2棟)の管理維持、加えて事務局運営や人件費などを合わせ、収入とほぼ同額の支出予算を組む。今、組合総会で、これらの報告および承認が行われた。

2012/5/23現在の新宿コマ劇場・新宿東宝会館跡地再開発工事現場

報告や事業計画などで折に触れ、“歌舞伎町の未来を左右する”とまで強調される新宿東宝ビル再開発計画ではあるが・・。現在、ほぼ解体は済み、整地等、建設準備工事中。本​年7月目処に新宿東宝ビル建設起工、新築工事は約33カ月、2015年3月末竣工予定。(※計画については“東宝㈱、新宿コマ劇場・新宿東宝会館跡地再開発計画(新宿東宝ビル)を発表、2015年春竣工(予定)基幹テナントはワシントンホテル(9-31階)と最新鋭シネコン(3-6階)地上31階建高さ130m”を参照)計画・スケジュールなどについては概ね変更は今のところない。建築許可はまだ下りていないが「順調に進めています。」(東宝)


さて、以下は、協議中・未決などで会では報告されていないものの、いくつか動きがある案件について情報をならべておく。

歌舞伎町セントラルロード(中央通り)
新宿東宝会館・コマ劇場跡地再開発(新宿東宝ビル開発計​画)に伴い、主導線となるこの通りの改修が中央会(セントラルロード町会)を中心に検討されてい​る。

歌舞伎町シネシティ広場
新宿東宝会館・コマ劇場跡地再開発に伴い、新築される新​宿東宝ビルは、ハイジアの熱供給プラント(東京ガス系子会社)から地域冷熱の配管が、地下を経由して整備される。このインフラは、ハイジア南側から新宿TOKYU MILANOビルの発券ブース前からシネシティ広場の地下を通るのだが、​そのための工事が2012年11月に着工する予定。 工事期間中、シネシティ広場は使用できなくなるため、周辺事業者との調整や、工事後の改修をどうい​ったものにするのか、事業者・商店街と行政の間で協議が​行われている。

西武駅前通りから新宿プリンスホテル、左側はサウナグリーンプラザ(足立興業)と、並んで新宿​TOKYU MILANOビル(東急レクリエーション)この景観も、計画次第ではがらっと一変する可能性がある。

現在、新宿東宝会館・コマ劇場跡地再開発ばかりが注目さ​れ、あたかもそれが歌舞伎町再生の“肝”であるかのごと​く語られるが、実は、“本丸”はこちら側にある、と自分は考えている。 やや目立たないように動いている新宿TOKYU MILANOビルの再開発準備、そして現在築35年を迎​え、再上場後あたりから動き出す可能性のある西武新宿​駅駅舎・新宿PePe・新宿プリンスホテルの再開発計画​。ともに水面下では動きが始まっている。
歌舞伎町ルネッサンスの当初(2005年~)東宝(新宿東宝会館・新宿コマ劇場跡地)と、および隣接する地権者2社(HUMAX、東亜興業)を含む共同​の再開発をもくろんでいた東急レクリエーションは、結果​的に、東宝と他社の開発のスケジュール感、財務状況が合わず​断念したわけだが、一方で、時間軸で10年遅い東急×西​武(西武鉄道、PePe・新宿プリンスホテルと西武新宿駅敷地などを含む)との共同再開発の可能性への模索はあった。その模索は、当該2社間では不調だったものの、水面下では継続されており​、むしろ今、ゼネコンサイドからのアプローチにて、これを実現しようとする動きがある。

工期の長さもさることながら、歌舞伎町の街の特性、つまりかつてのコマ劇場とともに「西武新宿駅前」という意味から、いわば“西武新宿と東宝の企業城下町”と言える現実から鑑み、インパクトは、実は、この西武の再開発のほうが計画規模も含め、はるかに大きい。意外と語られてこなかったのは、西武鉄道の上場廃止が間に挟まってきたからで、これが、西武鉄道自身が切望する再上場実現とあわせ、具体的に動き始める可能性がある。観測としては、西武鉄道側からの動きは見受けられないものの、東急グループと西武鉄道はともにゼネコンが清水建設と組む場合が多いことと、新宿プリンスホテル・PePeの建物が築35年を越え、築45年を迎える前には建替え気配が強い、そして何より西武鉄道として、この地域の収益性の高さに魅力を持っていることなどから、概ね2020年あたりまでには動くと見ている。

歌舞伎町は“西武と東宝の城下町”である、と言い切るには反論もあろうが、街全体への影響が最も大きい開発物件であることは間違いないのではないか。2005年より動き始めた(とはいえ、その下地は2002年にはすでにヒアリングなどが始まっていたわけだが)歌舞伎町ルネッサンスには、二つの“顔”があった。一つは、暴力団排除、もうひとつが映画興行街の共同による大規模な再開発である。この両者は、繁華街対策の先駆的施策を実行しようとする警察主導の面と、それによって公共投資が可能になる“かもしれない”ところに頼ろうとした企業側の思惑との、利害一致があった。
今更誰も否定できないと思うが、歌舞伎町の様な繁華街には、極めて複雑な、共存・しがらみ的な要素も含む暴力団の資金源インフラが存在してきたわけだが、そこを完全に除去しない限り、税からの財政投入はほぼ不可能であることは、それこそ知らないふり、見ないふりでもしない限り、かつてより今に至っても明らかである。しかし、現実には、東宝や東急、西武などの、ある種の時代的要請に基づく企業側の要求とは異なり、中小の町場の事業者・ビルオーナーは、客引きなどの体感治安対策は望むものの、表面的に見えにくい暴力団の資金源インフラの徹底的な除去による浄化を望むものはいないに近い。

当初、警察主導で立ち上がった歌舞伎町ルネッサンスは、徐々に、女性区長として“神輿”だったはずの中山弘子新宿区長が、実質的に彼女を中心とする行政主導へと移行し、あるいは、そう表現されるようになったことで、警察側の“やる気”を奪った、という面と、にもかかわらず、「歌舞伎町はきれいになりました。」という“お互いのメンツを保つ”ための表面的なアナウンスなどが相互に連動し、いつの間にか、今の様な、極めて中身のない、アリバイ的な施策に腐ってしまった。

勿論、最初にルネッサンスを作文した警察官僚の志はともかくとして、“世間知らず”感も否めない。つまり、暴力団資金源の除去は、思ったよりも手ごわかったという現実もある。ちょっと、一例を紹介しよう。

カード決済を偽装、暴力団組長らを逮捕
 <日テレNEWS24 2012年4月27日 22:39 >
 
性風俗店の客のクレジットカード決済を別の飲食店での支払いに偽装したとして、暴力団組長の男らが27日、警視庁に逮捕された。
 
“警視庁によると、稲川会系暴力団組長・塚田公弘容疑者(64)は、横浜市内の性風俗店で客がカードで支払った料金を別の飲食店で支払ったと偽装して、クレジットカード会社をだました疑いなどが持たれている。
 塚田容疑者らは、性風俗店がクレジットカード会社と加盟店契約ができないことから、性風俗店でカードが使えると、通常の料金より割り増した金額でも客が支払うことに目をつけ、犯行に及んだとみられている。 塚田容疑者は、神奈川県内など30以上の性風俗店で偽装決済を指示していたとみられ、警視庁は、割り増した売上金の一部が塚田容疑者の暴力団の資金源となっていたとみて調べを進めている。”


 
性風俗店、或いは新規出店の風俗店などによくみられるカード決済偽造、繁華街では、あたかもカードが使える性風俗店・風俗店が「安心できるお店」であるかのようなイメージが、むしろ常識化してきたが、現実は、これだ。

VISA・マスターなどのカード会社は、当然ながらこういった店舗でのカード決済に対する与信を与えていない。しかし、現実には、これらのカードが使えてしまう。
 
つい先日の国会でもあったように、昨今この問題に対する質疑がされるようになってきたが、風俗・性風俗店でのカード使用は、所謂「ユキチカ(諭吉化)」と呼​ばれる、ショッピング枠の現金化(手数料10~20%)​を活用したもので、実は、歓楽街では古くから常態化してきた。これは現状では法的には、必ずしも違法ではないのだが、実質“闇金”インフラそのもので、これを“効率化”させたアクワイヤラ​ーがいくつも存在してきた。逮捕された稲川会・塚田は歌舞伎​町でサテライト(違法ギャンブル場)を仕切るなどしてたヤクザだが、この「ユキチカ」など同様の手口で荒稼ぎをし、暴力団資​金源にしているとみられるアクワイヤラーが日本中の歓楽​街に網をはっている。例えば、吉原のソープランドでは、ほとんどのお店で入浴料の決済をカードで行う事が出来るのはなぜか。請求書は“ソープランド入浴料”とは来ない。名目は“婦人服”などである。これを仲介しているのが、現在は山口組系二次の資金源になっている思われる。
歌舞伎町でも、ファッションヘルスの何件かでは、与信を偽造し、某しゃぶしゃぶ店の名義で決済が行われていたりする例や、デリバリーヘルスもその多くがカード決済可能であり、名義は、例えば「飲食代」などとなっているケースも見られる。通常カード手数料は約3~6%で料金内に含まれるが、これら性風俗店でのカード決済の手数料は料金とは別に10~15%と極めて高い。或いは、逮捕された塚田もおそらくそうだが、違法賭博場での客への金貸し決済は、このカードのユキチカと無論相性がいい。暴力団の資金源の一部がこの決済名目名義の偽装によって得られていることは明白だった。ちなみに、この資金の暴力団への還流規模は数億になる可能性もあり、まして、歌舞伎町はその一部に過ぎず、全国各地の繁華街での風俗・性風俗店でのカード決済に起因する暴力団の資金インフラはかなり巨額になると見られる。
 
VISAやMASTERなどの大手カードがこういった店でカード決済に対して与信を与えることは“原則”ありえないことになっている。以前、もう3年も前だが、VISA JAPANに、「なぜ偽装決済を放置しているのか?」と問いただしたことがあるが、「把握していません。」と煮え切らない回答が返ってきたことがある。これについて、暴力団追放都民センターの代表理事から、各カード会社に協力を要請しようとしたことがあるが、各社、守秘義務などの関係でかなり腰が重かった印象がある。
警視庁組織犯罪対策課も、4年ほど前には、「ヤクザにそんな頭のいいヤツいないよ。」(所轄署員)と言ってたが、やっとのことだが、今回の稲川会系組長の逮捕までたどり着いた。なお、歌舞伎町にも同会系の麻薬密売組織があるのだが(以前まだ工事中だった新宿ピカデリー前でカーチェイスまがいのオオトリモノで逮捕されたことがある)、ここは不動産仲介、地上げなどで幅を利かせている経済ヤクザでもあったりする。

かつて、このブログでも何度か書いたが、もう4年も前から、カード会社、警察もなんとなくは知りつつ、でも、被害者が出ない故に、具体的に逮捕迄至らず、おそらくみかじめ料のインフラ以上に大きい暴力団の資金源を、徹底的に洗おうとしなかった警察。生安と組対が協働し、風俗店・性風俗店などの摘発に際し、必ずカード伝票などを押収することを提案してきたが、そもそも、当時現場所轄は、そういう事を考えたこともないという状況だった。警察も、暴力団の“シノギ”の近代化についていけてない実態の一例である。

また、書いたように、これはあくまで一例に過ぎないのだが、それらと種類は違う、例えば、ある“過去”故に警察に訴えられないような、1,000万クラスの暴力団による恐喝まがいの案件があったり、実は、個人的にはちょくちょく目にしていrたりもする。歌舞伎町と言うのは、まだまだそんな“程度”の街なのです。

ただ、良い悪いはともかく、歌舞伎町のこういった黒・グレーのインフラは、実質的に“街”の内側の経済活動の基礎にもなっている。例えば、カードの決済は15日から45日かかるが、日給を日銭で支払わざるを得ない事業形態の店にとっては、多少高い手数料を払っても、即現金化してくれるこの手のインフラは必要悪でもある。某風俗店経営者はこんなことをかつて語っていた。「歌舞伎町の商売には成功の公式がある。」と。その公式は、不良(暴力団)に金を払い、警察を無視し、法を無視し、“たまに”警察の点数稼ぎにハメられて、捕まろうが罰金を払わされようが、それを「経費」とみなして徹底的にやり通すこと。営業自体はお客のニーズに合わせる、そうすれば確実に儲かる、だから誰も本気で白くなろうとしないと。

歌舞伎町は“グレー”を許容し、反社会を内在しながらも寛容な街として生きていく、という選択を、もし“街”が選ぶのであればそれも一つの生き方だと思う。無論、これまでの流れとは違う。その場合は、“街”(民間)は、当たり前だが、行政や警察と対峙せざるを得ない場面もでてくるし、まして税に由来する公共投資の手助けは無い。仮に期待しても勿論不可能でもある、という覚悟をするか。元々公共投資の恩恵を受けにくい中小の事業者にはさほど関係ないが、再開発など公共地にも及ぶ計画や事業を必要とする企業にとっては、これは痛い。つまり、企業的な投資効果は薄れる。

或いは、書いたような、様々な暴力団のインフラを益々可視化させ、徹底的に排除するのなら、例えば“街”の核となりうる再開発・整備事業への公共投資、安全安心への法的な支援等々は期待できるかもしれないが、しかし、一旦“街”は、街の中の資金還流の太いところを切断するわけだから、例えば、風俗店・性風俗店のカード決済比率は10%程度だが、それらを中心にごっそり抜けおちる。となれば、街の内需もさらに破壊され、今と比較にならないレベルで厳しい、ある意味、地域の経済的“死”を免れないだろう。だが、そのお陰で、公共投資や企業投資は膨らみ、街の経済発展はその向こう側に見えてくる。そういう道を選択するのか。

街が生きていく上で、選択肢は、この二つしかない。簡単に言えば、前者は商店街寄りの選択と言え、おそらく経済活動そのものは緩く下り、また、法治国家的には“悪”だが、やがてきっと刺激的で面白い街になる可能性もないわけではない。後者は、企業寄りの選択である。また、歌舞伎町ルネッサンスの当初(2005年からの3年間くらい)は、後者だった。きれいな、法的に白い街づくり、一度歌舞伎町の経済活動は死ぬ必要が出てくるが、その先(と言っても10年先だが)は、より多くの人にとって居心地が良い、しかし、個性と面白さは薄れた街になってしまうかもしれない。この選択をしないまま、利害不一致の企業と街場がまぁまぁ仲よさそうに、表面的な、方や浄化した“ふり”の警察の治安対策、方や中途半端に暴力団資金源にも加担してしまう行政の活性化施策を、何も結果を出せずに“なんとなく”10年も続けてきた、せざるを得なかった結果が、「今」の歌舞伎町だと言い切れる。

震災以降、繁華街の存在性にさえ否定的にならざるを得ない時代の流れも向かい風である。かつて目指そうとした“眠らない街・歌舞伎町”(歌舞伎町24時間特区構想)も、今となっては、時代に合わなくなった。それでもなお、来街者によって成立してきた繁華街が、来街者の“共感”も得られるとは思えない表面的アリバイ的施策であり続けるのは、街にとっても、各事業者にとっても、それでも多少なりとも税や労力を投入している行政にとっても、不幸なことだなと思っている。

徹底的に浄化する道を選ぶなら選ぶでさらなる経済活動低迷の覚悟を、もし、この可視化されたご時世に尚、その道を選ばないのであれば、今となってはメンツだけで維持されている『歌舞伎町ルネッサンス』の看板はさっさと取り下げ、行政の補助金、公共投資は望めないという覚悟をしたうえで、民間の自主的街づくりを本気でやるか、どちらの道も一理あるし、誰かにとっては利があり、誰かにとっては害ではあるのだが、いずれにせよ、その選択を、民意を委託されるべき立場にある商店街ははっきりと意思を示すべきではないだろうか。新宿区、中山区政にとっては、どちらの選択であるにせよ、これまでのTMO設立や各種活性化策、表面だけの安全安心施策一切が完全に否定されるわけだから、痛いだろう。警察は元々否定的だったわけだが。いくつかの“動き”や、それぞれの意思に基づく可能性を紹介したが、これらも、その選択によっては、いいものになったり、或いは、まあそれなりの、妥協的なつまらないものになったりもすることに繋がっている。すでにその、選択の未決による産物が、新宿東宝会館・新宿コマ劇場跡地における新宿東宝ビル開発計画だったりもしないか。

歌舞伎町商店街振興組合ビル
歌舞伎町の民意を委託されている、という立場にある歌舞伎町商店街振興組合がその事務局をおき、また所有している歌舞伎町商店街振興組合ビル。ところで、このビルは、新宿東宝会館・新宿コマ劇場再開発に、用地が隣接す​る。これ自体の将来にも課題を残している。


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