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8月22日(水) 中山弘子新宿区長が荒川祐二君らの朝の新宿東口駅前広場清掃を視察 [まちづくり]

 

連日の猛暑で、この日、8月22日の朝5時。既に温度計は29℃を指し示す。湿度も高く、熱気がもわっとする。しかし、歌舞伎町にはまだまだ人がたくさんいる。セントラルロードの居酒屋や物販店も営業を続けているし、また朝から営業を開始する一部のメンキャバ・ホストクラブの客引きたちもたむろしている。

 

一方、シネシティ広場(コマ劇場前広場)には、この場所で眠りについた酔客や路上生活者たち。ステージの上はまるでベッドのような状態。

 

眠らない街「歌舞伎町」がもっとも眠っている時間帯がこの早朝の数時間。そしてもっとも街が汚れている時間帯でもある。

 

新宿駅東口駅前広場、新宿という東洋最大の繁華街といわれるこの場所への最初の玄関となるのがこの場所。多くの人たちが集まることで、路上のみならず植え込みの中、喫煙スペースの周囲も含めこの場所の早朝の汚れ方はかなり酷い。

  

この新宿駅東口駅前広場で、早朝の6時から毎朝(雨の日を除く)ボランティアで掃除を続けている学生がいる。彼の名は荒川祐二君(21)、上智大学経済学部の4年生である。

荒川祐二君:荒川祐二の新宿お掃除日記

自分が始めて荒川君に出会ったのは今年の3月ごろだった。毎月第一・第三月曜日の19時から行われている歌舞伎町でのゴミ拾いボランティア活動であるグリーンバード歌舞伎町チームの活動にガチャピンの着ぐるみをかぶった一見変わった学生が参加していた。そのガチャピンが荒川祐二君であった。新宿駅東口駅前でガチャピンの着ぐるみを着て掃除をしている、それも毎朝やっていると聞いて驚かされた。と言っても、たった一人で始めたことだが、徐々に彼の活動に共感する者達が少しづつであるが参加するようになってきている。また彼の活動に共感し、自分自身でも毎朝の早朝清掃を始めてしまったの中野正雄氏(43)、通称マサさんも今年の3月後半より活動を始めた。マサさんは、新宿6丁目に住んでいる。当初は無職であったために、朝の3時間くらいをかけて歌舞伎町全域をじっくりゴミ拾いしていたが、最近就職したために、だいたい5時半から6時半までの出勤前の1時間程度、花園神社からゴールデン街、風林会館前あたりを掃除している。

荒川君が当初よく言っていたのが、「続けていくことで、必ず街は変えていけるんじゃないか」ということだ。確かに、今年の冬から3月ごろにかけ、ガチャピンを着た荒川君が徐々に認知されてきたこともあって、新宿駅東口駅前広場の様子は徐々に改善されつつあった。ゴミの量も減ってきていたし、客引きをしているホストたちもわざわざゴミを袋に捨てに来てくれていたりと、モラルの改善もされつつある、荒川君自身もこれなら本当になんとかなるんじゃないか?と思い始めていた。それが、4月を過ぎると、街にいる人たちも入れ替わり、例えば客引きをしているホストも新しいメンバーが加わると、急激にゴミが増え始めた。さらに夏を迎えると、この暑さ。飲料やアイスなどのゴミが大量にポイ捨てされるようになった。改善に向かっていたのは、一時的なまぼろしか・・そうショックを受け、凹んでいる荒川君がそこにはいた。

「まだ初めて10ヶ月にも満たない、そんなに急に街は変わらないし、人の心も簡単には動かない。」そう荒川君には言い聞かせつつも、彼の想いも何か一つでも形に出来たらなぁ・・そう思っていた矢先に、中山弘子新宿区長との間で「毎日掃除を続けている荒川君や中野さんに会ってみたいので繋いで欲しい」と打診を受けたのが今年5月のことだった。公務で忙しい中山区長のスケジュールと、荒川君らの活動は雨天で中止になることもあるし、実際には帰省などで休むときもあるので、その調整をしながらこの8月22日(水)、中山区長の朝掃除視察が実現した。

◆中山区長の朝掃除視察、8月22日早朝6時より

「もともと月1回の日本を美しくする会の活動に参加していたんですが、どうせなら毎朝やりたいと思うようになり、それでどこをやろうかと考えて、ここ(新宿駅東口駅前広場)が入り口だなと感じたんです。新宿の入り口であり、また日本を代表する入り口だと。外国や地方から新宿に訪れた最初に目にする新宿がこの場所だと。だから、この場所が汚かったら日本が汚いと思われちゃうということで、じゃ、ここを掃除しようとはじめたんです。」と荒川君。なかなかゴミが減らない中で、これまでいろいろ試してみたこともあって、たとえばゴミ箱の設置。ゴミ箱を設置するとゴミが増えるといわれているが、実際のところどうなのか?をやってみたことがあるという。しかし、この場所では、かえってゴミが増え、またゴミ箱の周りが汚れるというかえって悪い状況になることが分かったという。ただ、駅前広場の立入禁止の看板にしても、それ自体が美しくないのがかえってゴミを捨てやすくしているんじゃいか、という意見もあった。「そうなのよね・・美しくないんですよね・・私も歌舞伎町を例えば花で一杯にしてみたらとか、かなり色々考えた。でも、それって、子供と同じで、面倒を毎日毎日しなくちゃいけない。だから、この街っていうのは、一定程度着せ替えで管理して行く以外無いんです。」と中山区長。「だから、私は、街を運営するタウンマネジメントの会社を作っていく話を進めているが、それは、街の人たちが自分達でコストをかけ自分達で街を運営していく、そういうことをやっていかないと意味が無い。」

歌舞伎町など、繁華街の清掃コストは極めて高い。それはなぜかと言うと、つまり「歌舞伎町は眠らない街でしょ。そうすると、街路を掃除する車両を入れる時間帯が非常に短く限られる。そこに大量の清掃車を入れなくてはならない、そうするとものすごくコストが掛かってくる。ここは始発の電車が走って、それで人が一気に居なくなるので、その間にやるんですよね。だから、街を維持・管理・運営する上でそのコストを惜しまないことと、街の人たちが街への愛着を皆が持てば、この街への街の人たちの係り方も変わってくるんじゃないか。」と中山区長。街は変えられる、ここから変えていくんだという想いが強かった荒川君であるが、正直、なかなかそうは行かないという現実にあって、区長は荒川君にこんな言葉をかけた。「諦めずにやっていくことが変えるんです、と私は思っているし、それに、ゆっくりではあるけれど絶対変わってきているんですよ。だから手を緩めず、諦めないこと。私も手を緩めるつもりは無いから。でも、無理はしないで。無理をすると続かないから。で、ライフステージによって環境が変わったり出来ることが変わったとしても、それでも関心を持ち続けてくれるということが私たちの励みにもなるから。」

中山区長と中野正雄氏(マサさん):マサさんのお掃除日記

中野正雄氏(マサさん)は、どちらかと言うとストイックに自己鍛錬という部分がゴミ拾いへのアプローチだったようだ。「最初の頃は、なんでこんなに汚いまま放置してるのかなとか誰かやってくれたらいいのにと思ってたんですが、自分でやってみると、それが意外と気持ちいいし、行政に言ったら道具をくれたりいろいろ協力してくれてビックリした。」と。そうなんだよね・・行政は意外と(と言っては失礼だが)ボランティア支援のシステムを持っている。このゴミ拾いのことだと、環境保全課と言うことになるのだが、例えばゴミ拾いの用具の貸与やゴミ袋の提供、ゴミを捨てる場所の提供、そしてボランティア保険なども用意されている。このあたり、まったくといっていいほどPRされていないので、ここら辺が課題かもしれない。「自分でこういうことをすることが、心楽しいなと思ったり、誰かの役に立ったり街の役に立てることを心楽しいと思えるような、そういう関係を作りたいな、そう思っている。マサさんは、これをやって、自分が気持ちいいって言ってくれたでしょ。これは嬉しかった。」と区長。

「私も、繋げられるようにメッセージを発信していきたいと思う。たとえば、緑とか掃除なんかで、こういう広場なんかに結構かわいらしい表示を出す。ここの管理はサポーターとして、どういう人たちがやってますとかね。それは皆にメッセージを発信しているわけだ、ここは、単に行政が管理しているだけじゃなく街の人たちであったり、なんとかクラブっていうのがやってくれてこんな気持ちのいい空間になっているんだなみたいな、そういうのってどうなの?」と中山区長、なるほど・・そういうことが発信されれば、ゴミをポイ捨てしようという人の心にいくらかブレーキがかかるようになるのかもしれない。

朝の掃除を一時間くらいかけて終え、参加した人たちと一緒に集合写真を。中にはやや遅刻してきた人もいましたが^^その後は、水曜日は区役所までゴミを運ぶ。中山区長もゴミを手に区役所まで一緒に。

 

荒川君のこの活動、一番最初にこの活動に協力したのはホームレスの人たちだったという。もちろん、そこには彼らの公共空間における排除に対するバランスのとり方という側面もあっただろう。歌舞伎町でも、よくホームレスの人たちがゴミを拾ったりしている姿を目にする機会は多い。また、本来街の人たちがやるべきことになっている交通のタイムシャアリングのバリケードを、誰もやらないとホームレスの人がそれを片付けたりしている景色を見るときもある。地域経済から言えば、いわばホームレスは邪魔者扱いなのはやむを得ないが、といって排除は何の解決にもならない。街づくりを進める側にいて、これはマンパワーや智恵が足りない部分もあるが、どうしてもプライオリティを付けたがったり効率的にものを進めようとし、いわば無機質的というか「心」がおざなりにされていると感じるときがある。あるいは、その当事者になっている場合もある。しかし、彼らと接する上で、一番のネックは何かといえば、これは個人的に思うことだが、何と言っても彼らはほとんどの時間酒に酔っている場合が多い。そのため、兎に角コミュニケーションが取れない。いっそのこと、公共空間における飲酒の禁止(アメリカでは飲酒は罰金、シンガポールなどは飲食も禁止)をし、その上でそれ以外の公共空間における自由度を高めてはどうか?その辺の話を中山区長に話してみた。

「ホームレスというのは、都市化したところが必ず抱えている問題なんです。私はここ(新宿)に来たときに、基本的な課題としては、大きく言えば少子高齢化社会にどう的確に対応するかということと街づくりだなと思ったのですが、個別の課題として私はこの街にあるなと思ったのは、一つは歌舞伎町の問題と、外国人施策のスタンスを明確にすることと、もう一つはホームレスのことだと。このホームレスの問題はかなり徹底してやろうとした。排除だけではことは解決しない。受け皿づくりをすること、これを徹底してやっている。ただ、彼らの思いはそれぞれ違うの。だから、行政がやろうとするとどうしても自立支援みたいな形で、病気があればまず病気を治してください、これは社会防衛という意味もある。そして緊急一時保護と言うことで住むところ、就職・仕事に繋がるような、そしてそれらを補完するようなことをしている。ただ、これにも限界がある。これでやっていける人たちということで、西口の中央公園などはもともと300人以上いたが200人くらいが自立し、しかしそれでもまだホームレスが今80人くらい残念ながらいる。そこで問題になるのが、お酒、そして街の中に滞留している人たちにも同じような課題がある。」と中山区長。

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ゴミや清掃の問題、ホームレスについても、地域の環境浄化という課題は、街づくりにおける入り口であり、また最も重要な課題である。以前にも、書いたことがあるが、タイムズスクエアBIDのようにシステムや法整備があり資金が豊富な場合には、ホームレスを就労支援し、彼らを地域の道案内やセキュリティ、清掃などに雇用することで実践しているが、これは新宿や歌舞伎町でもいずれやるべきであると考えている。そこで、二つの課題がある。一つは、公共空間再生という意味で、何を規制強化し何を規制緩和するべきかをまとめる。そして、もう一つは資金確保の手法はどうするか、と言う点。特にBIDのように、固定資産税の上乗せを交付金的にといったシステムが無い(税法上今は出来ない)日本では、なるべく受益者負担が公平な資金確保の手段が求められる。で、実は、近くこのシステムを歌舞伎町から一つのアイディアとしてスタートさせようと思っていることがある。これについては、いずれ発表の機会があると思う。ただ、いずれにせよ、眠らない街「歌舞伎町」に求められるセキュリティや環境浄化は、もはや行政や警察におんぶに抱っこの時代は終わったのだろう。いかに、民間がコスト(マンパワーでも資金でも)を払い、自らの力で街はこうあるべきという姿を実現していかなくてはならない。

毎週水曜15時から行われているクリーン作戦は官民協働で歌舞伎町のゴミ拾い

 

↑ホストクラブのキャッチ・客引き等迷惑行為の排除活動は週に3~4日のペースで歌舞伎町商店街振興組合を中心に地域の商店主や有志らの参加によってボランティアで行われている。グリーンバードや荒川君らの活動など、歌舞伎町ルネッサンスの本当の実の部分がここ1年くらいでいくつか芽が出てきている。これらを継続的に続けていくために、人員的に、あるいは活動を支援するシステムづくりが必要だろう。


8月19日(日) グリーンバード歌舞伎町チーム一周年記念掃除&パーティ

昨年の8月6日よりスタートしたグリーンバード歌舞伎町チーム杉山文野チームリーダー)による歌舞伎町でのゴミ拾い活動がこの8月で一周年を迎え、これを記念してのイベント清掃とパーティが行われた。パーティは、夜鳥の界(ホスト有志らによるボランティア活動組織)の発起人の一人の手塚真輝氏の経営するホストクラブAPiTSにて。(参考:一周年に関する記事

 

荒川君も参加、女の子はゆーこさん。ゆーこはフミノ君とは幼稚園からの同級生で、グリーンバード歌舞伎町チームのもう一人のリーダーでもある。

 

この日の参加者は、95名(目視で^^;)写真に写っていない人が2名ほどいるもので。

杉山文野クンとグリーンバード代表のハセベケン氏

 

グリーンバードに参加して、APiTSでホスクラ初体験!

この1年間で約1,000人の参加者が歌舞伎町のゴミを拾い、おそらく1,000人が掃除する以上にポイ捨てをすることに思いとどまる、そんな心に働きかけたのではないかと思う。活動は毎月第一第三月曜19時より一番街アーチ下に集合の上、約1時間。ゴミ拾いの後は呑み会、みなさんどうもこっちがメインのようですが^^;

なお、チームリーダーの杉山文野クンが9月下旬よりイギリスに留学しちゃいます。ケンブリッジに語学留学ということで、とりあえず4ヶ月の予定だとか。そこで、1周年ということでフミノクンよりメッセージが↓


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