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4月1日より改正ぼったくり防止条例施行、性関連禁止営業規制とビルオーナー等の責任強化について [まちづくり]

昨年12月15日、第四回東京都議会定例会にて可決された「性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金取立て等の規制に関する条例」(通称ぼったくり防止条例)の一部改正が本年4月1日より施行される。

性風俗営業等における客引き行為や不明瞭な料金等に拠る料金トラブル、および違法性風俗店に賃貸するビルオーナー等の責任を規定した通称「ぼったくり防止条例」の中で、今までの違法な個室マッサージ店等にわいせつビデオ店等を加え「性関連禁止営業」と定義づけをし、現行法の対象となっていた違法な個室マッサージ店等に係る規制の範囲を新たに定義された性関連禁止営業に規制を加えるのが今回の条例。ビルオーナー等責任の強化が骨子。

改正条例について説明をする警視庁生活安全部条例担当プロジェクトの金井管理官

「性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等の規制に関する条例」一部改正の概要(ビルオーナー対策)

  1. 場所提供の禁止:何人も性関連禁止営業に必要な場所を提供してはならない。
  2. 場所提供の中止義務:ビルオーナー等は、他人に貸している建物が性関連禁止営業に使われていることを知った場合に、契約を解除して、建物の明渡しの申し入れをしなければならない。
  3. 再発防止のための標章の貼付:公安委員会は、前記1または2の違反があった場合に、その建物が再び性関連禁止営業に使われるおそれがあると認めるときに、最大1年間その建物の出入り口の見やすい場所に、性関連禁止営業に使ってはならない旨を告知する標章を貼り付けることができる。(上の写真にある「告」が標章)
  4. ビルオーナー等の努力義務:ビルオーナー等は、指定区域内の建物を他人に貸す場合には、次の措置をとるよう努めなければならない。①その建物を性関連禁止営業に使わないことを誓約させる。②その建物が性関連禁止営業に使われた場合には契約を解除することが出来る旨の特約を定める。③その建物が性関連禁止営業に使われていないか定期的に確認する。 (概ね6ヶ月に一回程度)
  5. 性関連禁止営業に使われた場合の措置:

(1)指定区域内の建物が性関連禁止営業に使われた場合は、以降、指定区域内の建物を他人に貸す場合は前記4の①②③の措置をとらなければいけない。

(2)公安委員会は(1)の措置がとられていないと認めるときは、(ア)指定区域内の建物を他人に貸す場合は前記4の①②③の措置をとるよう勧告 (イ)勧告に従わなかったときは、その旨を公表。(東京都広報、警視庁ホームページにて1年間公表) (ウ)公表後、なお、正当な理由がなく勧告に従わなかったときは勧告に係る措置をとるよう命令することができる。(6ヶ月以下の懲役、50万円以下の罰金)

※条例の係る範囲は東京都内全域。指定区域(特定繁華街)とは条例で定めた「性関連禁止営業の発生を防止する必要性が高いと認められる区域」で、とくに上記4・5項におけるビルオーナー等に対する努力義務等が強化されている。指定区域は以下の通り。

  • 千代田区:外神田1・3・4・6(5-16番)丁目、神田相生町、神田佐久間町1丁目、神田練塀町、神田花岡町、神田松永町
  • 港区:新橋1・2・3・4丁目、六本木3・4・5・6(1/2番、4-8番)・7(1-22番)丁目
  • 新宿区:歌舞伎町1・2丁目、新宿3丁目、大久保1・2(4-33番)丁目、百人町1・2丁目
  • 文京区:湯島3丁目(35-46番)
  • 台東区:秋葉原、上野2・3・4・5・6・7丁目
  • 墨田区:錦糸2・3・4丁目、江東橋2・3・4丁目
  • 渋谷区:宇田川町、道玄坂1・2丁目、円山町
  • 豊島区:東池袋1丁目、池袋1・2丁目、西池袋1丁目、北大塚1・2丁目、南大塚2(32-46番)・3(28-55番)丁目、巣鴨1・2(1-9番)・3(1-4番、22-31番)
  • 八王子市:東町、寺町(43-60番)、中町、三崎町、南町(1-3番)、横山町(1-14番)

※ビルオーナー等とは、場所を提供するもの全てを指す。つまりビルオーナー、管理不動産会社、あるいはまた貸し業者など使用者とビルオーナーの間にある契約者全てを指す。

今条例改正に伴い、3月19日に新宿警察署7階講堂において歌舞伎町地区関係機関・ビルオーナー等連絡協議会が開催された。新宿警察署生活安全課を中心に警視庁・新宿区・新宿消防署、および地域ビルオーナーや商店街振興組合、同業組合、不動産業者から行政書士などが集まり、条例改正に内容に関する説明会として行われた。

鹿森利眞新宿警察署長

協議会開会に先立ち、2月26日付け警察の人事異動で、柗木義人氏に代わり新たに新宿警察署長として着任した鹿森利眞氏が挨拶を行った。鹿森氏は前職は警察大学校、その前は警視庁刑事部。「歌舞伎町地区の現状は悪質なホストクラブ、違法風俗店、外国人の客引き、猥褻ビデオ店、カジノ店等、これらについて本部関係課・各警察署の協力を得て取り締まっているが、残念なことに取締りの目を逃れてまだ営業を続けているという大変厳しい認識を持っている。昨年ぼったくり防止条例の一部が改正され指定地域における違法な個室マッサージ店に賃貸しているビルオーナー等に対し、そういった使用をさせない、使用した場合は契約を解除できる、それと使用されていないか定期的に確認するなどの義務が課せられるようになり、責任が明確にされたところから私どもとしても徹底した指導を行っているところである。また今年4月から猥褻ビデオ店等も違法個室マッサージ店と同じような規制が課せられることになるが、今回の改正店に理解をいただき環境浄化活動を進めていただければと考えている。新宿警察署としても、今後とも歌舞伎町地区の安心安全な街づくりを推進して違法な風俗店等の取締りを強化していきたい。」

新宿区危機管理課小坂副参事。小坂さんは警視庁神田警察署の生活安全課長からの新宿区出向。今会議では、新宿区の歌舞伎町対策の経緯概要を説明した上で、「とくに袖看板についても、東京都屋外広告物条例上設置許可が必要であり、今後、今回の条例改正に伴い新宿区としても、こういった屋外広告物における指導等を行っていく予定である。」と歌舞伎町地区の特に屋外広告物に関する規制強化に言及。その他、新宿区建築課からは定期報告が必要な特殊建築物等・建築設備・昇降機等及び報告時期に関して(劇場や映画館、飲食店など不特定多数の人が利用する建築物は適切に維持管理されているかどうかの報告義務がある。映画館や劇場等は毎年11月1日から翌年1月31日、その他は概ね3年ごとに報告義務がある)、新宿消防署からは繁華街特有のテナントの入れ替わりが激しいところでの違反の7割を占める防火管理者未選任・消防計画未作成・訓練未実施の解消のため防災・減災の意識向上について要請があった。

さて、今回の通称「ぼったくり防止条例」の改正についてであるが、この条例はそもそも平成12年に施行されたものである。当時歌舞伎町では料金トラブルによって身包みを剥がされ路上に遺棄され死亡事件も起きたことがあった。条例化以降、ぼったくり等による事件は沈静化したが、平成16年に犯罪対策閣僚会議が設置され日本の治安はまず繁華街の浄化からということで、その中でも日本一の繁華街である歌舞伎町地区を全国繁華街対策の先駆的なモデル地区と位置づけたことから特に警視庁保安課を中心に歌舞伎町を中心にさまざまな施策が行われてきている。したがって、繁華街対策における中心的な法律はあくまで風適法とその周辺法令(ぼったくり防止条例、迷惑防止条例等)に係るケースが多い。しかしながら、違法な個室マッサージ店や風俗店をいくら取り締まってもなかなか減らないのはやはりそれと知っててその「場所」を貸すビルオーナーの存在がそもそもの元凶になっているということで、場所を提供する側の責任を規定することで根絶を図るという意味で今条例が強化されてきている。この条例は、契約条項に介入し最後は罰則まで盛り込む、ある意味不動産業における「契約の自由」を侵害しかねない。したがって、警視庁と法務省、法制局との間ではさまざまな綱引きがあったようだが、警視庁は全国的にも今までに無い新たな取り組みと位置づけて条例強化を実質的に積み上げてきている。

今回の条例強化のポイントは明らかに「猥褻ビデオ店」に関する規制である。歌舞伎町で言うと、例えばコマ劇場のすぐ脇にある通称「ビデオ村」が有名だが、ここも何度と無く摘発を受けてきているが一向に廃業に追い込めないでいる理由は、ビルオーナーと店側の契約実態がまた貸し・また貸しでなかなか実質オーナーにたどり着けないことや、摘発をしてもすぐ数日後には名義を変えて再び営業を再開する、つまりイタチゴッコになっていること、さらにビルオーナーの「知らなかった」がまかり通ってしまう現実がある。警視庁としては「知らなかった」が通らないよう、都内繁華街の指定区域内ではビルオーナーに対し努力義務を設け、違反した場合は義務化(現時点で東京都内で義務化されたビルオーナーは約75名)とし、さらに守られない場合は命令、そして公表から罰金または懲役刑へと段階は経ているが場所提供者への責任強化の包囲網を法令化してきた。なお、ここで言う猥褻ボデオ店とは裏ビデオ販売の流通上の拠点を指し、つまり店舗だけではなく倉庫やコピー場所等も含む。また、性関連禁止営業はあくまで性を売り物にする商売を指しているわけで、もちろん裏ビデオ販売だけを規制強化しているわけではない。また、上記でいう義務化を受けたビルオーナーは、摘発を受けた当該建物を含む特定地域内に所有する他の建物についても同様の義務が課せられる。義務は時効化しない。


歌舞伎町における猥褻ビデオ店の摘発は約90件、東京都内全域で200件の摘発から考えると約45%にあたる。この割合は、歌舞伎町を重点的に摘発を積み重ねてきた結果なのでもあるが、そもそも歌舞伎町の裏DVDは「安価で高品質、しかも最新作がある」というニーズがあって、幾度の摘発にめげずに残ってきた。インターネットが普及し、宅配以外にもさまざまなサイトやP2Pでもいくらでもダウンロードできる時代にはなったが、そうは言っても店頭販売は買い手の個人を特定できないことがそのニーズを支えてきた。しかも買い手は児童買春などとは異なり法で罰せられることはないということもある。営業行為はもちろん違法行為であるので、当然のことながらショバ代やミカジメ、あるいは直接関与も含め暴力団も関与しており、資金源の一部となっている。

さて、前記にもあるように歌舞伎町など繁華街対策は、言ってみれば風適法行政と位置づけすることができる。もちろん暴力団対策もあるが、基本的に暴力団は違法な営業形態を資金源のインフラとしているから、いわば風適法関連のコンプライアンスをいかに遵守するかが重要となる。これまで風適法についての欠格事由は人身売買くらいなもので実質的に営業許可に関するコントロールは、例えば営業許可・営業可能になるまでの日数(新宿署の場合キャバクラで55日、ホストクラブで90日程度)や摘発をした場合の営業停止までに係る日数(現在約90日)で絶対数を減らすというところで運用上の強化が行われてきている。しかしながら、摘発を受けても即日に別会社を立て賃貸の名義を変更し警察署に新たな許可申請を出し、通知期間や公安委員会の聴聞やらで一向に詰められない営業停止までの90日の間の営業で儲ける、停止後にはあらたな名義と許可の下に実質的に営業を継続できてしまうという脱法的手段が現行法および条例をザル法にしてきた。一方で、場所を提供するビルオーナーの責任強化を図ることで入り口から狭めようという今の流れも、中間で収入を得る不動産業界からの反発が強かったり契約の自由に対する解釈論理でいまひとつ実行力のある法令にならない。

■風俗営業許可において、「場所」についての欠格事由を設けるという提言

そこで、これは今後議論すべきこととして、例えばであるが風適法上で言うところの「欠格事由」を対人という考え方とは別に、対場所という考え方を加えるべきではないかという提言をしておく。風適法違反で摘発・営業停止を受けた「場所」においては、ある一定期間(例えば1年とか2年)は風俗営業許可を出さない。風適法上の届出、あるいは許可店舗に賃貸することそのものが「場所」に対して欠格事由となることで、当然ビルオーナーにも仲介業者にもその義務が明確に発生する。これは、たとえば違法な営業を繰り返す一部のホストクラブなどのような事業者が物理的に営業できる場所を減らしていく方法になるのではないか。「そんなことをしたら家賃が入らなくなってビルオーナーは死んじゃうよ」と言うかもしれないが、「契約条項に違法な営業形態を行った場合は契約を解除できる」旨を明記した上で「場所」が欠格事由になった場合、その原因となった違法な営業形態を行った事業者または仲介者に対して損害賠償請求を行える、あるいは損害賠償費を保証金から差し引ける旨を明記するなり、訴訟で請求できることとすればいい。

客引き行為等違法な営業行為を繰り返す例えば一部のホストクラブのように、賃貸名義や風俗営業許可名義を3ヶ月で入れ替えていく営業手法がまさに割りの合わない形に追い込む。そして、それよりはコンプライアンス遵守で営業したほうがまし、という状況に追い込まなくてはいけない。このためには、例えば営業停止執行までの日数を出来る限り短くしていくことと、上記のように「場所」に対する欠格事由という考え方を盛り込むことで抑止力を生むのではないか?

歌舞伎町に求められるのは、環境浄化のための規制強化とあわせて経済活動を底支えする緩和も同時に実行することが必要~営業時間規制の撤廃、24時間特区の実現を~

歌舞伎町は、全国繁華街対策の先駆的モデル地区というのであれば、一つの特区として規制強化のあり方も一歩先んじ、また規制緩和も一歩先んじた施策を進めて行こうと思えば出来るのではないか。警視庁はこれまで努力し、ビルオーナー責任という契約内容にまで介入したことを一つの成果と強調するが、まだまだ足りない。現実にはまだまだザル法である。さらに一歩踏み込む必要があり、ビルオーナー責任についての直罰化や営業停止までの日数の短縮化に加え、その規制強化のあり方として、上記のような「風俗営業許可における『場所』に対する欠格事由の定義づけと規制」、「風俗営業上の屋外広告物条例による規制強化」もう一つが地域経済活動を押し上げる規制緩和として中途半端な不夜城になってしまった歌舞伎町を再び本当の不夜城にすることの出来る「風俗営業(社交飲食業)における営業時間規制の撤廃(24時間特区)」、コンプライアンス遵守による飴と鞭と言うわけではないが、両面あってこそコンセンサスというものが得られるのではないか。


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コメント 2

美神 先生(みかみ さきお)

いつの間に可決されて施行されようとしていたんでしょうか???

http://mikami.fuzoku.nu/2007/03/post_263.htm
で、取り上げました。
悪質なビルオーナーが増えないのを祈ります・・・。
by 美神 先生(みかみ さきお) (2007-03-21 17:37) 

NO NAME

中国韓国人による違法風俗店は撲滅させねばなりますまい。
上野・新宿・池袋・・・違法性風俗店だけでなく系列の、または独自の中国韓国人ネットワークで蔓延るボッタクリバーはまだまだ山のようにある。
by NO NAME (2014-02-28 21:21) 

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