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3月15日(木) 東京都知事選挙公開討論会開催-討論全文を掲載-なお都知事選挙は4月8日(日) [その他]

東京都知事選挙がいよいよ4月8日に行われる。投票日4月8日、告示日3月22日。なお期日前投票は3月23日から4月7日の間。東京都知事は都民によって直接選挙される都の代表、都の事務全般について統括し都政の総合性、一体性を維持する権限と責任を持つ。予算案の作成、予算を執行する権限、議会に条例案などを提出する権限、租税を徴収する権限などは知事だけの権限とし、さらに行政委員会などが仕事を処理していく上で必要な事務局の組織、職員の定数および身分の取り扱いなどを総合的に調整する権限が知事に与えられている。東京都の予算規模は13兆円を越える。インドの国家予算に匹敵するまさに国家に近い超巨大地方自治体であり、知事はその大統領ともいえる。

東京都知事の立候補は、住民票はどこにあっても構わない。供託金は300万円。ちなみに区議は30万、区長は100万。被選挙権は選挙期日(今回であれば4月8日現在)満30歳以上であればよい。

選挙を4月8日に控え、立候補予定者4名の公開討論会が3月15日(木)、中野ZERO大ホールにて開催された。

パネリストは以下4名の立候補予定者

■浅野史郎(あさのしろう)

1948年2月8日生まれ(59歳)、住所は宮城県仙台市、東京大学法学部卒業。1970年厚生省入省、在米大使館、北海道庁勤務を経て障害福祉課長、生活衛生局企画課長。1997年から宮城県知事3期。現在慶応義塾大学総合政策学部教授、社団法人フィランソロピー協会会長。

 

■石原慎太郎(いしはらしんたろう)

1932年9月30日生まれ(74歳)、住所は東京都大田区。一橋大学法学部卒業。1932年神戸市に生まれ、1956年小説「太陽の季節」で芥川賞受賞。1968年参議院議員、1972年衆議院議員(連続8回当選)1976年環境庁長官。1987年運輸大臣、1999年東京都知事、現在二期目。

 

■黒川紀章(くろかわきしょう)

1934年4月8日生まれ(72歳)、住所は東京都港区。東京大学大学院建築学科博士課程が最終学歴。日本芸術院会員、2006年度文化功労賞。日本景観学界会長。

 

■吉田万三(よしだまんぞう)

1947年9月19日生まれ(59歳)、住所は東京都足立区。北海道大学歯学部卒業。東京都目黒区にて生まれ、北海道大学歯学部卒、太田病院歯科助手を皮切りに八丈島にて歯科を開設、足立区蒲原歯科診療所を開設。足立区長。東京民主医療機関連合会副会長。


2007/03/15 東京都知事選挙立候補予定者公開討論会より

討論はパネリストの司会進行により、発言は2分、反論・付け加え等は90秒というルールで行われる。なお、当日、石原慎太郎東京都知事は公務のため40分ほど遅れて参加。最初の討論は3者(黒川紀章氏、吉田万三氏、浅野史郎氏)によって行われた。

■ 少子高齢化に対する政策
平成18年の東京都の人口はおよそ1250万人、そのうち65歳以上の人口は約230万人、今後その数値は大幅に増加して10年後には300万人を超えると考えられている。これを人口比にすると平成17年18.3%から10年後の平成27年には23.9%にも上昇する。さらに若者の他府県からの流入が減ってしまえばより高齢層が増大し生産人口も減少する。年金制度の見直し、高齢者の負担増等大きなゆがみが生じるおそれが考えられる。この高齢化社会をどう捉えているか、それに対し東京都として、東京都知事としてどう対処していくべきか?

浅野史郎氏
今、全国的に高齢化が大変な状況になっている。私がいた東北地方とか過疎で人口の40%が高齢化で大変だ大変だと言っている。その一方で東京はあんまり高齢化ということが言われていない、これが問題なんです。10年後、今数字が挙げられましたようにパーセンテージだけでなく絶対量が増えるということがある。230万人から300万人ということは70万人どんっ!と増えるんです。すごいことです。
それから東京の問題は、一人暮らしの大都市で孤立して生活されている方、こういう方が多く、率としても多い。10年後一人暮らしの高齢者、中には介護を必要とする方もいらっしゃる。どうするか?施設を作ってそこに入所してもらうと言ったってそれは限度がある。東京都内でそのような施設をどんどん作っていくなんていうのは無理なんですね。私は、これは基本的には地域の中で支えていくという体制を作っていくことが一番だと思っています。そのためには、地域で支える支援というのが必要ですね。人的には多分これは専門家だけでは無理だと思います。地域の底力というか、非専門家の力も借りなくてはならない。地域の中で支えるためにはいろいろな小規模多機能型施設、デイサービスがあったりグループホームがあったりショートスティがあったり、地域に出て行くためのステーションになっているような、そう言う場が複合的に用意されているそう言った施設を沢山つくっていかなくてはいけない、そう思っています。
それからグループホームというのも有力な手段なんですけれども、高齢者だけで暮らすのではなくて障害を持っている方も一緒に共生型グループホームを地域のあちこちに作っていく、そういったことで地域の力を総力を結集してこういった人たちを支えていかなくてはならない。こういう人たち、と言っているが実は私の年代なんですね。

黒川紀章氏
私は50年間共生の思想というのを提唱して、初めて日本で共生という言葉を作りました。その一番の基本になっているのが世代の共生、そして福祉政策における地域と地域の中での世代の共生、そして身障者と正常な方、年寄りと若者が地域の中で助け合う、これを50年間提唱しているんです。そして、100冊目の本として「歳革命」という本を書きましたが、この中心になっている政策はどのようにシュリンキング時代(人口が減る場合)の共生・福祉の政策を立てるか。東京の場合、私の発表したマニフェストにあるように実は今は人口がまだ微増ですけれども、それが減り始めるのが2010年でそれからどんどん減っていく。今は東京の予算は黒字です。しかし3年後には赤字になる。予算は赤字になるがシュリンキングしている。これを私どもはヨーロッパで学者と一緒に、とくに東ドイツでやってますが、シュリンキングポリシー時代の福祉施設、これは縮小時代を逆手にとって地域の中に密着した介護センター、検診センター、長寿センター、そういったホスピスですね。それを地域の中の地域医療として作っていく。これが私が50年間提唱している内容でございます。

吉田万三氏
まず第一点に強調したいのは、ことさらに危機感をあおるというのはしてはいけないなと思うんです。落ち着いてしっかり体制を作れば、もう少し踏み込んで言えば税金の使い方をその時代に合うような使い方に切り替えればこれは十分対策が出来ると考えている。高齢者の対策、これは福祉施設、在宅、あるいは地域での体制づくり、こういうことが一つある。それからもう一つは、それを支える側の力がしっかりとしてなければこういう時代に対応できないわけですから、そういう意味では非常に総合的な、高齢者だけの問題ではなくて、支える側の支援もしっかりとしていくというのも非常に大事ではないか。そう言う意味では子育て世代への支援策、医療費の助成であるとか保育環境をきちっと整備をしていく問題、それから特に最近問題になっているのは、若い人たちのワーキングプアといわれるような、この10年で非正規雇用が500万人位増えているというのが実情ですから、正規雇用を増やす、しっかりとみんなが安心して働いてそれを支えていける、こういうのも併せて対策を進めるというのが大事だと考えている。

(反論・質問として)

黒川紀章氏
浅野さんに質問したいと思いますが、やはり老齢化社会を捉えるときに生産人口の減少と捉えることが多いんですね。しかし、私が調査した限りではアメリカ・イギリスもそうですが、GDPを引っ張っているのは創造生産、創造性ですから年齢に関係ないんですよ。そういうパワーを少子化・老齢化になっても、そういう社会的インフラを整備する。それからもう一つは、ニートって言いますね。フリーターって言いますね。まるでこれは差別用語だと思います。その人たちは、個性的な道を選ぼうと思っているので、それを労働力と捉えてはいけないと思うんです。その人たちの創造性を引き出すように、私だったら首都大学東京、私の名前では都立東京国際大学にするんですが、そこに講座を開いてニート・フリーターをちゃんと位置づけて、それをパワーにやる、そういう積極的な取り組みをするべきだと思いますが、浅野さんはどうお考えですか?

浅野史郎氏
まったくその通りだと思います。とくに高齢者ですね、介護予防というか、今黒川さんがおっしゃった街に出て行くというのが、今東京は、はっきり言って若者中心になっていて、ちょっと弱った高齢者は出にくいんですね。そうすると高齢者の引きこもりになっていってどんどん弱っていきます。やっぱり、閉じこもりを防ぐというのが介護予防の第一なので、それを街づくりとして作っていくというのが一つ。
それから、もう一つ差し迫った問題として介護をする人、介護労働者、介護職員をどうするか。実は非常に待遇が低くて、燃え尽き症候群でやめてっちゃいます。そういう人たちについて、例えば秋田県の鷹巣町なんかですと一般会計の3%くらい上乗せして、介護保険の報酬を上乗せしてそういう職員を引き止めるってことをしている。これ、大東京で出来ないことじゃないと思っているので、介護にあたるプロフェッショナル、専門職員をしっかりと仕事に集中できるような形も必要、これがものすごい数必要になってくる。それから黒川さんがおっしゃった創造性のある高齢者、高齢者をみんな従属人口としては計算間違うんですよ。65歳で切っているけど、まぁ75歳くらいでもいいんじゃないか?と言うと、少し安心して高齢化社会を明るく迎えられる。

黒川紀章氏
これも浅野さんにお聞きしたいのですが、浅野さんは宮城県で福祉をやってこられた。私も鳥取で基調講演して一緒に身障者の方たちの全国大会、一緒に議論しました。考え方は似ていると思うんですが、財源を知事として非常に手腕をふるってどんどん実行された。それは国からの補助金が要るわけで、それには結果としては浅野知事としては借金を倍増された。これじゃぁ困るんで、私は福祉の財源を増やすためには、あとの話題になるかもしれませんけれども、もっといろんなところから工夫する。東京都の予算ですが、この中で一番大きいのは隠れ借金、これが何十兆円とあるんですね。外郭団体、子会社、これを情報公開しなくてはいけない。宮城県もしなくちゃいけない。それを隠しておいて、福祉の予算だけ取っておいて、それで国から補助金だけ取ってくるというのはいけないと思うんですがどうお考えか?

浅野史郎氏
黒川さん、ひょっとして誤解されていると思いますけど、県は借金できないというのをご存知ですか?赤字国債にあたるような赤字県債というのは出せないんですよ。福祉の事業をするために借金できないんですよ。県債は、国で言うと全て建設国債に出せないんです。

黒川紀章氏
わかってます。でも赤字が二倍になったのはお認めにならないと。

浅野史郎氏
それは県債ですよ、赤字ではなくて。福祉をやったから県債がかさんだということではない。県債というのは道路を作る、橋をつくる、未来の投資というものでした県債は出せない。

黒川紀章氏
では福祉の予算はどこから出すのですか?

浅野史郎氏
福祉の予算は違う一般会計から出すしかないんですよ。ですから、福祉をやったから借金が増えたというのは財政的にはちょっと違います。

吉田万三氏
浅野さんが言っている借金と赤字は違うんだと言われていると思うんですけど、実際に県債と言うものはローンを組んだようなものですから、そういう意味で借金が増えたということを黒川さんが言われてると理解している。これが増えていくというのが、私は一番の問題は今の政治の構造、いわば税金の使い方の構造を変えなくてはいけない時期に来ているんだと思いますから、そういう意味では大型開発型の税金の使い方の根本にメスを入れないと福祉の政策をやればそれは良しとしても、それとは無関係に大型の開発型で借金がどんどん増えていくという、むしろそこに一番の構造上の問題があるんだと思います。


■今のところ、他府県から若い人たちが東京に来ています。そういうことがなくなったときに生産力の減少、また生産人口の減少、少子化についてはどう考えますか?

吉田万三氏
どっしりと腰を据えてきちっと改革を立てるというのは非常に大事だと思うんです。大変だ大変だ、狼来るぞみたいなことをやっててもダメだなと思うんです。一番大事なことは、みんなが安心して暮らせるような体制作りというのが一番のベースにあるんだと思うんですね。高齢者そのものの安心して老後を迎えられる体制を作るってことも大事ですが、同時にそれを支える人たちが自分がやせ細ってたんではとっても支えられません、いわば家庭に引き取って下さいと言っても住む場所もスペースもありませんというような状態ではまずいのですから住居の問題にしても子育ての問題にしても、あるいは雇用の問題にしても安心して働けるという条件をしっかり作っておくことも併せてやることが非常に今大事なんで、そういう構造を変えなくてはいけない。

黒川紀章氏
吉田・浅野両氏に質問なんですが、具体的に地域で老齢化で私も含めて一番困っているのが、健康の問題ですね。健康の問題って総合的な問題で、街医者が欲しい。いないじゃないですか?大病院しかないじゃないですか。街医者をつくる、どうするんですか?今、医師が不足しています。お産をする、そして小児科の医師が不足している。なぜですか?とくに大学病院の先生は給料が安い。ここを上げなきゃ。それから海外からパワー入れなければ。介護、准看護婦、どうして解放しないんですか?それを僕だったら具体的にやります。それに対してハッキリした答えないんですね。吉田さんからも浅野さんからもね。賛成なら賛成と言っていただきたいし、なんだか労働力として捉えているだけで老齢化社会は乗り切れません。

吉田万三氏
医師不足は深刻だと私も思っています。自分が医療の立場にいるからというだけでなくて、産婦人科・小児科、こういうところが特に深刻な問題になっている。東京の中でもそういった問題がでてますから、小児の救急の問題などでは。そういう意味では対策を急ぐ必要がある。一つ、今給料の問題を言いましたが、給料だけの問題ではなく医療全体を取り巻く、これは国の制度の問題にも影響するんですけども、やっぱり安心して医療にかかれるそういう体制、それから医療そのものを取り巻く環境も非常に悪くなっていますから、そういうことも含めて医師不足が解消されるような医療の体制を作る必要がある。もう一点は、東京都が直接担っている公共サービスがある。都立病院、都立の小児病院、あるいは都立の看護学校、こういうものが統廃合で、看護学校が定員が半分ぐらいになってますから、こういうのにもしっかり力を入れる必要があるなと思います。

浅野史郎氏
新聞に載ってましたように、ある私立の病院の小児科医の先生が、大変悲しいことに仕事があまりにもプレッシャーが大きくて鬱病を発して自殺をし、これが労災の認定がされた。労務災害と認定された、これは大変大きなことなんです。この原因は、一つには多分吉田さんも賛成されると思うんですけども医療保険行政の中で医療費の抑制というのがあまりにも強く言われてですね、医療保険の目的は医療費の抑制が目的なようになっている。そうじゃないんです。医療保険は手段であって、それによってちゃんとした健康が保てるような医療が我々享受できるということですから、医療費が増えるのは仕方が無い部分はあるんです。それをちゃんと負担していこう、そしてその医療費によってちゃんとした医療をする医師はそれなりの待遇を受ける。月に8回も宿直をしなくちゃいけないというような体制を作らないようなしっかりとした医療体制を作るということが必要だと思います。そのことによって、そういった医療を目指す人、そういった医療を担うという人が誇りを持って自分の力をちゃんと発揮できる、そういう体制をしていかなければ小手先のものではこの問題は解決出来ないと思っている。

※石原都知事到着、公務のためここから討論に参加↓
■ 今後の東京都の重点政策について。平成18年に東京都が発表しました平成19年度の重点事業を見てみますと総額1066億円の使い道が書かれております。重点事業の総額は毎年変わっており平成18年度は総額561億円でした。平成20年度から平成23年度の四年間で総額4,000億円の事業費を使えるとしたら、どういったことに重点政策を置いてどれほどのお金を使っていくべきだと考えているか。

吉田万三氏
最初に強調したいのは、予算の構造、税金の使い方の基本的な転換をするということが必要だと思っています。今までの大型開発型を中心にするのではなくて、まずは暮らしの安心を基本に据えた、その上で必要な道路なり建物なりに、こういうような構造をまず変えるというのが非常に大事な点だと思います。その上で、先ほどお話に出てきましたけれど高齢者の対策、とくに今暮らしの問題は大変です。格差と貧困ということが言われてますから、こういうものをしっかりと支援していく、医療費の助成、あるいは寝たきりの高齢者の対策、こういうものに力を入れたい。それから住宅の問題も深刻ですから、是非これは都営住宅の建設なんかは今ストップしていますから再開したい。それから教育の問題、中小企業の対策でいえば融資、それから商店街への支援、こういうものに力を入れなければいけない。それから環境・防災対策、この点でも、もっと身近なところに力を入れるということが必要ですから、実際にはその転換が働けばその4,000億ということにとらわれないと思うんですけど、大いに暮らしに役立つ仕事が十分可能であるという風に考えています。

石原慎太郎氏
その前に、私、のどを痛めまして聞き苦しいのはごめんなさい。本当は裕次郎よりずっといい声なんですけどね。
重点政策といいましても、これは政治化が一方的に決める問題じゃないんです。やっぱり都民の意識を調査しませんと、最新の分析でも都民の一番関心あるのは安心して安全に暮らしたい、一種の治安の問題ですね。これは警察任せではなく、同じ町内の人たちが互いに見張りあってということも必要ですが、それから警察の治安の問題でしょう。それと、次は環境なんですね。業界も努力して排気ガスを、いつも馬鹿の独り言じゃないですがペットボトル12万本という粉塵がこの頃は約3/5、そうですね半分ぐらいまで減りました。しかし、国全体がこういうことをやらないと大阪や名古屋の自動車が入ってくると時々捕まってますけど、大手はずるくて東京に入ってくる車は新車使っても地方では古い車乗り回している、そういう現況の中で日本全体の問題です。異常気象を見てると、本当に地球はもつのかなぁという懸念をこの頃持ち出した。それから、次は教育、と言いますけど子育ての問題ですね。これに皆さん、非常に不安を持ってらっしゃる。もっと拡充して重厚にし続けていきたいと思っております。

黒川紀章氏
私自身の考えをまず申し上げますが、それ自身が石原都知事への反論になっているという点をご注意して聞いてください。都の19年度の予算で見ますと、大変自慢げにこう言っています。隠れ借金の大半を占める減災基金積み立て不足については平成19年度末までに全額を回収する見込みになります。隠れ借金というのは、これも隠れ借金だったのですが、もっとでかい何十兆と言う隠れ借金を情報公開していません。管理団体の改革として、株式会社臨海ホールディングスを設立して東京臨海熱供給株式会社を子会社化、ゆりかもめ・合併後の東京テレコムセンター子会社化、東京ビッグサイト子会社化することによってこれを連結決算しない。ここにどれだけ借金があるか都民に明らかにされていません。とんでもないことで、これは宮城県でも第三セクターの隠れ借金は情報公開されておりませんけれども、私が調べた限りではこれを入れると夕張以上の再建団体になります。その中で、都知事と言ったって何が出来るか。実は19年度の一般会計、特別会計、公営企業併せて13兆719億です。そこからどうしても出て行く歳出を引きますと、残りは投資的費用、知事が自由になる投資的費用は年額7,000億はあります。それと同時に都の隠れ借金がゼロになって現在ある9,261億の借金がこれ以上積まない、しかしどこから出すんですか?(タイムオーバー)

浅野史郎氏
私のマニフェスト2007で、一応、ざっと積み上げたんですね。2,000億になりました。4年間で2,000億、4,000億と言うお話ですが、今回私がマニフェストとしてやるという中で積み上げると2,000億です。実はそのうちの半分、1,000億は防災なんですよ。そして500億が環境、それから福祉が200億、こういう風に続くんですけども、これは非常にラフなものです。防災っていうのがけっこうお金がかかります。今、東京都民の中で、だいたい生活は満足してる、もうこんな東京ヤダ、逃げ出したいというほどの不幸せというのはあんまり感じてないのではないか。ただ、漠然たる不安はあります。漠然たる不安というのはさっき言った高齢化の問題、もう一つは災害なんですね。いずれやってくる、必ずやってくる。いつ来るか、というのが問題だと言うだけなんですけど。墨田区の狭い路地のところに住宅がずぅーっと並んでいるところがあります。これが耐震改修されていないという状況がまだ一杯あるんですね。そうなると、首都直下型地震というのが来ると、これは家は倒れるは道路はふさがるは大変な被害が出てくる。これは耐震改修で防げるんですね。ですから積み上げてみたら2,000億のうちの半分となりました。結局、一番大事な命を守る、これは耐震だけではなくてまちづくりにも関係してくるんで、防災公共事業みたいなものの考え方を入れて、そういう費用も含めてこれに重点を置くということで考えております。

石原慎太郎氏
隠れ借金と言いますが、隠しているわけではない。これは議会に報告しておりますし、確かにそういう負の遺産というのは東京はまだ抱えています。例えば八王子のあのモノレールなんかも単年度黒字は出ましたが設備の投資にお金がかかりすぎて苦しい経営状態にあります。臨海副都心の問題については、いい部分と悪い部分があり、会計統合することで大体目途がついてきました。隠れ借金という言葉は非常に聞こえが悪い、隠しているわけではなく議会があるからちゃんと議会に報告してやっております。それから災害の問題に触れましたが、これは厄介な問題なんですよ。日本は世界最大のファイアーリングの上にある、火山脈がある。どこを掘っても温泉が出る。沖縄だって出るんですね。地震は必ず来るとみんな思ってるけど自分のところは大丈夫だと思ってる、ちょうど人間必ず死ぬと思ってるけど自分が死ぬということを信じていないみたいでね。地権者があって、彼らにしてみるとオートロックの高級マンションに住むより今の方がずーっと人間的で済みやすいって人がたくさんいる。こういった人たちの生活感覚は無視するわけにいかない、かといってほっとくわけにはいかない。実際にあそこに災害が襲ったら大変なことになる。だからせめて、緊急車両の通る通路の周囲の耐震性は最低限補強して行こうと思っています。

黒川紀章氏
石原都知事は、知事として非常に重要な権限を持っています。それは確認申請を許可するということですね。これは都知事の権限です。確認申請は国交省ではなく知事の権限ですから、そこでもし偽装されたときの責任は誰がとるか?知事しかとりようがありません。そして浅野さんが耐震改造すると言われました。私ども専門家として旧建築基準法で作られたマンションも含めて新基準法に合うように耐震改造するだけで100兆円以上かかるという試算をきちんと出している。100兆円というお金を浅野さんはどこからどう出すと考えているのか、私は現役の知事を務めた方としては実務的じゃないと思います。東京都だけではないが、東京都は設計事務所を登録制にしている。一級建築士を持っていれば姉歯であっても一人で奥さんをマネージャーにして命に係るような設計のマンションを設計できる。とんでもない。設計事務所は登録制ではなく、許可制にすべきです。

浅野史郎氏
耐震改修する家屋、建物というのは個人の財産ですから、全部耐震を公が税金でみます、これはありえないんです。私が申し上げたのは、耐震改修の助成です。今やっていることもそうですが、一部を助成する、これを起爆剤にして、自分の財産ですから倒れれば自分が一番困る、ということで改修してもらう。全部自分でやりなさいといってもなかなかやらないので、その一部を助成しますということです。

黒川紀章氏
100兆円のうちどれくらいをですか?

浅野史郎氏
今やっているのは、一戸につき数十万円です。墨田区であれば70万ですか、そういったものでやる。それはね、個人の財産に税金を使うのは絶対だめだ、という時代があったのですから、そういうことから言えば大きな進歩なんですが、自分の個人の財産を税金で一部補助してくれるとなれば、ほっとけないと言うことで直す人が出てくる。手法はこれしか無いんですよ。全部公が直してあげる、それは現実的ではありません。

石原慎太郎氏
これは浅野さんも現職の知事でご存知でしょうし、黒川さんも建築の専門家ですからご存知だと思いますが、これはもともと国がやってたことなんです。地方分権という偽名の基に仕事だけ地方自治体に押し付けて、もともとその基準と言うのは国が作ったもの、申請されたものが技術的に正確か正確じゃないか、耐震性があるかないか判断する基準は国にあるし、そういった専門家をどこが抱えているかといったら、地方自治体にはそういないんですよ。これはやっぱり国の仕事なんです。分権と言う偽名の基にめんどくさい仕事を全部地方自治体に押し付け、その税金を地方自治体に取れと言ったって本当に迷惑な話で、私はこの問題で国と争っている。この被害にあった各県の知事はみんな共通の不満を持っています。

吉田万三氏
今の話の関連で、浅野さんも言われましたけど耐震補強工事を旧基準法でやると黒川さん100兆だというような話ですが、それはまあ全部と言うことになれば桁外れになると思うのですが、少なくとも木造住宅の耐震補強を相当進めるというのはいわば100億くらいの予算で出来るわけですから、もちろん木造住宅だけでなくマンション・アパートの問題、小・中学校の問題が今ありますから、そういうことも含めて進めていかなくてはならないと思います。極論でやるのはどうかな、まずは一番そういうところからやるのがいいと思うし、今聞いてるとみんなこのことには反対してませんから、是非そういうことは誰がなっても急いでやらなければいけない仕事だなと思います。

黒川紀章氏
いや、お金使わずに、一級建築士と言う資格を持っているからただ登録すればいいというそういう無茶なことをせずに東京都だけでも設計事務所は営業ですから人の命を預かる。それを厳密に審査して姉歯事件のような設計事務所を排除する、それは東京都知事の権限でお金無しでできることなんですよ。100兆円じゃない。そういう制度を作って許可制にすればいい。人の命を預かる設計ですから、なぜ知事できないんですか?

石原慎太郎氏
もともとその資格は、一級建築士・二級建築士とか知りませんが、建築士という資格を与えたのは国じゃないですか。各自治体に、この人が一級の資格がある、二級の資格がある、そんなこと出来っこないですよ。そんな技術者抱えていませんよ。それこそ、国の仕事だったんですよ。

黒川紀章氏
誤解です。

石原慎太郎氏
誤解じゃありません。その通りでしょう。

黒川紀章氏
国家試験を通ったからといって病院はできません。病院はそれぞれ営業許可が要ります。タクシーの営業、これももちろん運転免許を持っているからといって人の命を預かるから出来ません。同様のことです。都知事として、国交省と関係なく、東京都はそういう形でお金をかけずに厳密に審査をして、営業としての設計事務所は許可制にする。知事としてなぜ出来ないんですか?

石原慎太郎氏
国が認定した一級建築士の資格を都が審査する能力もあまり無いし、仮に東京が認めなくなったら国はそれを是とはしませんよ。国の権限を侵すことになる。そこらへんは基本的に国の姿勢、審査の厳密性というのを国民が追及してこのような不祥事が起きないようにしませんとシステムそのものが中途半端ですし、国は認可はするけどその後のフォローは自治体って言ったって、自治体にはその能力は無いんですから。

■ オリンピック招致について
2006年12月に東京都は「10年後の東京」といった今後の東京の将来像を示した政策を発表しました。その中にも宣言されているが、これからの10年を語る上でオリンピック招致の問題を避けては通れないことになりました。まずみなさんに賛否をお尋ねします。オリンピック招致をこのまま推進すべきであるは○を、見直すべき、または中止しべきであるという方は×の札を上げてください。

黒川紀章× 吉田万三× 浅野史郎× 石原慎太郎○

黒川紀章氏
東京都は隠れ借金と言う名前じゃないけどそういう問題があると、知事がすでに告白されました。そういう問題を抱えてどうやってオリンピックをやるか?予算が必要ですよね。東京都はきちっと書いている。466億、都の負担はそうなったと。そして、今年度東京オリンピック開催準備基金として1000億円を積み立てておられる。それ以外に新たな基金、福祉・医療、環境、スポーツ・文化の三つの分野の基金を創設されましたが、なんとオリンピックのために石原都政は後退したか。排ガスのところで見ると、18年度と比較すると石原都政があれだけ笛や太鼓で推進してきたディーゼル車対策の推進は18年度32億から19年度28億と後退しているじゃないですか。これは石原都政の目玉ですよ。なぜ28億に後退しなくてはいけないのか、自然保護と環境保全も8億から5億に減っているんですよ。その理由は、やはりオリンピックに掛かるお金を全体に引っ張っている。本来、石原都政を引き継ぎたい。いいことをやってこられたことを引っ張っているんです。無理しなさんな、というのが私の忠告ですね。

吉田万三氏
都民の暮らしが相当大変な時ですから、こういう時にこのように予算を食ってしまうようなオリンピックの計画はもうやめるべきだ、と考えています。特に、大雑把な計画を見るだけでも7兆、8兆という大型スタジアム、あるいは築地から羽田までの地下トンネル、あるいは三管状道路、こういうようなことで相当のお金が掛かるということですから、今はそういうことをやっている時ではないと思っています。もう一点は、本音はオリンピックと言うよりも何かオリンピックの名前でこれまでの大型の開発事業を進めようというのがむしろ本音ではないかと思っている。あるいは、築地の移転の問題なんかも、見ていてもそういう感じを非常に強く感じてますので、そういう意味でもオリンピックは一旦白紙に戻していろいろ考え直す、いわばみんなの暮らしが落ち着いた時に考えたらいいんじゃないか、そのように思っています。

浅野史郎氏
私も、ここは一旦立ち止まってですね基本に立ち返って考えてはどうか?と。選挙ということもありますから、選挙と言うこともそういうことを考える期間だと思いますし、正式な申請は9月ですから、目の前ではありますがまだ時間がある。ここで立ち止まって基本に立ち返ろうということなんです。その基本とは何かと言うと、今お話があったようにお金が掛かる、お金が掛かれば他の事業というものを少し削らなくてはならない、これは当然だと思いますから、そうするとオリンピックの招致・開催と言うのは東京都政のいろいろある課題の中でどのくらいの位置づけになっているのかというのをもう一回考えて見ましょうということがあります。もう一つ、基本に立ち返ってと言う事の中で言えば、オリンピックと言うのは何でしょうか?21世紀のオリンピックと言うのは20世紀のオリンピックと大分違ってきています。商業主義と言うのが出てきているというのもありますし、それから最近テロ対策でセキュリティにものすごくお金が掛かる、そういう事も含めてオリンピックを開催すると言う意義は、前回東京でオリンピックのと大分違ってきている。そう言う意味でオリンピック開催の意義を改めて考えてみるということ。それからよく言われる2008年北京でやって一回おいてまたアジアに戻ってくるかという現実的な問題もあります。そういったリスクも持ちながら招致という事で突き進んで行くのかと言うことは、ここで大きく息を吸い込んで足元を見て基本に立ち返りましょうと言うのが私は正論だと思っています。都民の方も、これは真剣に考えるべきだと思ってますので、ここでSTOPと言うのもちょっと早い、GOと言うのも早い、と言うことで基本に立ち返ろうというのが私の考え方です。

石原慎太郎氏
人間も社会も国家も夢がなくては生きていけないんですよね。今の日本に夢があるかと言ったら、あるようで無い。みんな、人に言わせれば身のまわり5m周囲しか見なくなってしまって、私はそういう時代に私が20代の時に見聞したオリンピックの感動というのは今でも強い印象で残っています。私と同じ世代の方たちは同じ想いを持っていると思うんですけど、そう言う点で私はなにもオリンピックプロパーでものを言ってるわけではない。まず、オリンピックありきでは無い。それから、浅野さん、ちょっと勘違いしてらっしゃいますが、6月に閣議了解、ある種の閣議決定をしなくてはいけない。となると9月なんかじゃ間に合いませんね。やっぱりね、大事なことはオリンピックプロパーじゃなくて、共産党も言ってるけどオリンピックのための大型開発じゃないんですよ。大体、圏央道にせよあるいは外郭環状にせよ致命的な環状線は国の仕事ですからね、やはりオリンピックが決まれば国はこの整備をせざるを得ない、その一つの引き金になる。東京の一番の欠点はなんですか?交通渋滞でしょ。環境も悪くしている。そういったものを、オリンピックを口実にしてといったらおかしいが引き金にして促進するのは私は東京のいい意味でのインフラ整備の大きな引き金になると思います。それから、なんと言ったってメンタル、心の問題ですよ。お互いに、もうちょっと夢のあることをやろうじゃないですか。それは。今の非常に荒んでる、私たちから見れば荒廃している青少年の心にとっても大きな贈り物ができると思っている。それで、そんなにお金の掛かる問題じゃない。これはすなわち大型開発に繋がる問題ではない。すぐ大型開発と言いますが、国際競技場だって国の仕事ですからね。国がやるべきことなんです。都は都の分担でやることはやりますけど、みなさんそれをご理解いただきたい。そんなにべらぼうに掛かる問題じゃないんです。

吉田万三氏
石原さんに質問なんですけども、今オリンピックで夢をもう一度という話がありましたけれども、圏央道等国の仕事だと言いましたが東京がオリンピックをやれば国がやらざるを得なくなるんだというような順序で話をされたと思うんで、それも本質的には同じことで、東京がそんなことをやらなければ国もそういうことをやらないということになりますから、とにかく今そういう事業を少しブレーキを掛ける、そういう時ではないかと思うんです。もう一つ、交通渋滞のお話をされましたが、では交通渋滞のためにいろんな道路が必要だというんであれば、都心の高層ビル、こういうアセスメントの基準なんかも100mから180mに緩めて、今や高層ビルがどんどん建つような、こういうことの規制をやらないで道路だけをいくらやってても交通渋滞の問題は本質的に解決しない。そういう意味では、非常に苦しい理由付けだと私は感じるんですがいかがでしょう?

石原慎太郎氏
高層ビルと交通渋滞にどういう関係があるんですか?道がないから、とにかく都心に用事のない車が入ってくるんで、バイパスを作ったらだいたい45%がバイパスを通過していくんですよ。そういう車が環状線がないから入ってくるんで、パリを見てもロンドンを見ても東京と似た地形のところはみんな環状線が完備してしまったので東京ほど渋滞しない。私は高層ビルは関係ないと思いますよ。それから、これは政府の責任でもあるが、文明工学的に首都という持つものの意味合いがわからないで来たもんだから30年間もこういう幹線道路というものを凍結してきて片っ方では民主党の小沢君が自民党を牛耳っていた金丸さんというけしからん政治家もいたけど、アメリカの言うことを聞いて8年間に400兆円、実際に430兆も浪費して、例えば地方に行ったら夜中は鹿しか通らない車の道が出来ている。東京はほったらかしにされてきた。私たち東京出身の政治家の責任でもありますけど、そういうことを皆さん勘感して、東京に機能として何が欠けているかといったら道路なんですよ。これは、国の責任なんですよ。しかし国を追い込むためにはオリンピックも一つの口実になると私は思っています。

吉田万三氏
都心の高層ビルが交通渋滞と関係ないとおっしゃられましたが、非常に関係が深いと私は考えている。道路というのは平面ですから、一部二階建てのところもありますけど、中心部だけが立体的ですからあの高層ビルを展開して広げれば相当な面積になるわけで、そこに結局は人が来て仕事をしたりするわけですから、当然そこに血液なり栄養が届かなくてはいけない。高層ビルが建てば建つほど、そこに必要な物資が届かなければ都心部が鬱血状態、貧血状態を起こすわけですから、そういうような都市の作り方をするのであれば道路そのものを二階建て三階建てにしなければバランスが取れなくなるのは明らかなんです。ですから周辺地域には慢性的な渋滞が起こるわけですから、そういう意味で交通渋滞との関係は非常に深いと私は考えている。

石原慎太郎氏
それはちょっとおかしいのではないですかね。高層ビルに住んでるのは人間でして、一部企業も入ってますがそこにトラックで運ばなくてはいけない機材なんてありませんよ。運ばなくちゃいけないのは人間なんですから。とにかく東京に下ろす必要の無い荷物を運んだ車が環状線が無いから東京の中に入ってくる、これが私たちの頭痛の種なんです。吉田さんがおっしゃることは、頓珍漢で私にはわからない。むしろこれは黒川さんのような建築家の意見を聞きたいですね。

黒川紀章氏
いよいよ専門家登場ということで。都心部に超高層ビルが建つと猛烈な渋滞を引き起こします。なぜか?都市計画的に理由を申し上げます。現在の東京は中央がセンターコアと呼ばれる、これは東京都が命名してるんですが、東京都の将来ビジョンのなかでセンターコアは柿の種ですね。そこから放射状に道路が延びておりまして、石原都知事が頑張っておられますが環状線はまだ不十分であるために、今のままでセンターコアにどんどん超高層を立てますと、どんどんとこの放射状の道路のパターンを使って中心部が混雑する。これは都市計画の常識です。ですから、それを環状にかえなくてはいけないと石原都知事は焦っているんですが、環状を作るだけじゃだめなんです。中心部の霞ヶ関、あれを首都移転して、あそこを空洞にして、そこに議員宿舎並みの値段で入れる庶民住宅を作れ。そして築地を壊してそこにメディアセンターを作ってオリンピックの夢のために下町の夢を崩すんですか?オリンピックの夢のために福祉・老後の夢を壊すんですか?

石原慎太郎氏
黒川さんの言うことは理解できない。霞ヶ関を取っ払って国会の代わりに簡易な住宅を建てるんですか?

黒川紀章氏
そうです。

石原慎太郎氏
私は頓珍漢だと思いますよ。せっかく機能的に集積しているこの東京の機能を今更分散する必要は無い。それは、環状線にこだわるわけじゃないけれども、どんな都市の機能を見ても環状線というのはちゃんと完備しているから都市の機能が発揮されている。例えば東京の渋滞なんかも、みなさんご存知かどうか知りませんが東京と言う首都は世界に類が無くて地率・効率含めますと世界の首都の中で一番博物館、美術館の多いところです。しかし、そういうのがありながら、そういう情報もふんだんにありながらあんまり活用されていない嫌いが何にあるかといったら交通渋滞なんです。それから、日本の地下鉄ほど便利なものは無いと思うんだけれども、これもなかなか複雑すぎて通勤者以外使用しにくいからあんまり使われない。結局車を使う。しかし時間が掛かるから行かないということになってね、私は環状線こそが機能的に東京の致命線だと思います。

吉田万三氏
今や世界の流れは、都市の成長をある程度コントロールしていこう、もう無制限にやると言う時代では無いのですから、少なくとも今のままでどんどん都心部に過度の集中が進んで高層ビルが建つということになれば周辺部は道路だらけにしないと成り立たなくなるわけですから、ある程度の規制は加える、全体のバランスを考える、だいたい三環状なんて言うのもベースになっているのは50年前の計画ですから、その頃は高層ビルなんて思いもよらなかった。50年前はそれでよかったのかもしれませんが、今はもう少し全体のバランスを考えなくてはいけない時代になっていると思うんで、是非その点は理解していただきたいなと思います。

石原慎太郎氏
都市工学から言っても、環状線の整備されていない首都と言うのは半分以上機能しない。残念ながら東京もその現況です。23区を走る車の平均速度は日中マラソンのランナーより遅いという、こういう都市は残念ながら東京しかない。大阪なんかは、ちょっと地形的に違ってましてほとんど半偶然的に環状線ができちゃった。だから大阪に日中行ってご覧なさい。みんなバイパスして行きますから大阪のウィークデーにあそこにものを運んでくるトラックの数はものすごく少ないんですよ。これは一つの判例だと思いますよ。

浅野史郎氏
オリンピックですね、今石原さんおっしゃったように夢ですよと。お金掛かったって夢ですよ、これはなかなかあれだと思ったが、今日聞いて心配になりました。つまりオリンピックでもやれば環状道路を国も作らなくてはならないようになるだろう、その起爆剤だと言う。それはあんまり美しくないですよ。オリンピックをそういうために使ってはならないですよ。それから昨日、朝日新聞の石原さんのオリンピック語録というのがありまして、近隣諸国がごたごた言ったってやってやるんだという国威発揚みたいな事にオリンピックは使っちゃいけないと思います。で、もしオリンピックで夢を与える、意義があるとすればお金が掛かったっていいんですけれども、もし日本でやるなら、ってもう決まっちゃったからあれですけど広島でやるとか長崎でやるとか平和のオリンピックとして日本から発信していくなんていうのならお金掛かったって相当意義があると思うんですが、今更国威発揚のためとかですね、これをやれば環状道路が弾みがつくとか、そういうようなのはあまり健全な発想ではない。今日石原さんの話を聞いて、オリンピックの開催についての意義というのが違うんじゃないか、夢を与えると言う話には耳を傾けましたが、違う部分では首を傾げたんで石原さん答えて欲しいと思います。

石原慎太郎氏
国威発揚と言う言葉は古いかなと言いながら繰り返してきましたが、日本の存在感ですね。これだけ、国力を備えた国、軍事力だけではなく国力と言うのは経済力もあるし技術力もありますが、それが隣国に侮られたり言いたいことを言われても黙っている、アメリカに伸されっぱなし、そういうときに日本の存在感を、ハンチントンが言ってる文明の衝突の時代に日本だけは独特の文化・文明を持っているとハンチントンが言ってますし、アインシュタインも言ってた。こういう日本の世界に稀有な価値観の変性にこだわらない、そういう国家社会があるんだというのを示すというのは、私は世界のためにも平和のためにも必要だと思います。それから広島という説も結構ですが、オリンピックの開催というのは一つの都市力がいるんです。やっぱり都市力がなかったら実現できませんし、そういうことで私は何も環状線のためにやるわけでもなく、国威発揚のためにやるのではない。日本人が全体に大きな夢を得ることで全体に新しいエネルギーが出てくる、それで日本の存在感が発揚されていくんじゃないでしょうか?

黒川紀章氏
石原知事、思い出してください。

石原慎太郎氏
あなたが昔、オリンピックをやれやれと僕に言ったんだから。覚えていると思うけど。

黒川紀章氏
だから答えます。私は今、オリンピックを推進しています。それは北京でアドバイザーをしている。アジアは北京で良い。東京は2回もやる必要は無い。アジアの次どこへ行くか。ロンドンに行く。ロンドンの市長のアドバイザーをしております。その次どこへ行くか?中近東。そういう世界の文明の流れに沿って私は世界のオリンピックのアドバイザーをしております。東京だけは絶対止めます。知事、思い出してください。知事が運輸大臣の時に、大臣に就任されてすぐ大臣室に呼ばれました。「黒川君、リニアの路線を宮崎にするか札幌にするか、東京の周辺で作るのか。二人でリニアを作って首都移転を考えて新しい日本を作り直そうじゃないか。」そう言った。それで、私は委員長に就任して山梨ラインを決めました。その運輸大臣、石原さんは、今なんと東京の一極集中を起こすオリンピックに賭けています。私は、首都機能の一部は東京になくてもいい。

石原慎太郎氏
それは、あなたの事実認識が違っていて正確に思い出して言っていただきたい。私は、リニアがもし完成できれば、つまり首都も東京も中京も大阪も無くなってドア・ツー・ドアで大阪まで1時間足らずで行くんですよ。これは、だから宮崎に置いておくわけにいかないから、東京と大阪を繋げる土地をどっかでやりたいなぁと言ったんであって、あなたが委員長であったかどうかわかりませんが、それを決めたのはいろいろ考えて決めたんですけれども、いずれにせよ私は首都移転なんかを考えたわけではない。ただリニアモーターカー出来たら本当に東京のドア・ツー・ドアで飛行場に行って飛行機に乗るよりもずっと早く東京と大阪が結ばれる。おそらくワンストップで名古屋ぐらいまで、そういう新しいアクセスが出来るんですよ。その技術を持ってます。そういうことで申し上げたんで、首都移転なんてことはまったく言った覚えはありません。

吉田万三氏
私は、石原さんのいろいろなこれまでの差別発言に非常に心を痛めている一人ですけれども、日本の存在感とおっしゃられたので、本気でこの東京にオリンピックを持ってこようとするなら、いくら国力がどうのこうのと言ったってアジア諸国の賛同を得られなければ、選挙で手を挙げても勝てないわけですから、そういう意味では近隣の諸国と仲良くする、あるいは今までの非常に差別的な発言についてきちっと反省をする。こういうことがちゃんとやれて、だから私は東京にしたいんだという気があるのか。

石原慎太郎氏
私が近隣のどの国を差別しましたか?私がはっきり差別というか非難しているのは、北朝鮮、それから中国の一部の政治的言動。私はこれに満足している日本人はいないと思う。日本人として、私は今の北朝鮮の姿勢、中国に対する、例えば領海を侵犯する、領土も侵犯して、アメリカが正式に返還した沖縄の一部である尖閣諸島をこれは日本の領土ではなく自分達のものだということで、それからまったく断りも無く沖ノ鳥島近海で戦略的な調査をする、という国の言動、オリンピックと言うのは平和目的でやるならそういう行動こそああいう国は慎むべきだと、私は思います。

吉田万三氏
私が言っているのは、例えば日本の治安が悪くなったのは三国人だという発言が現実にあったわけですから、その事についてなんの反省の言葉を聞いてない。

石原慎太郎氏
三国人という言葉は、参議院でも法務委員会でも問題になりましたが、これは法務大臣も法務省の専門家も、これは公式の用語であって決して差別ではないですよ。絶対差別用語じゃありませんよ。

吉田万三氏
それではアジアの賛同は得られないんじゃないか。

石原慎太郎氏
日本人が日本の法律用語を使って、それが差別ととられるなら、これはとるほうがおかしいんじゃないか。

■ 地球温暖化の問題に対して東京都としても環境対策に取り組まなければならない。現在、東京都は緑化対策を中心に取り組んでいるが、私はこれ以外にも環境対策について有効な手段を持っているという方は○を上げてください。

黒川紀章○ 吉田万三○ 浅野史郎○ 石原慎太郎○

黒川紀章氏
私たち専門家として、総合的にCO2を減らさなくてはいけないので排ガスだけではだめなんで、それをLC-CO2と言って計算しています。Life Cycle0-CO2、これは何かと言うと、一つの建物を、あるいは都市を再開発する設計から完成、メンテナンスに至るまでにその材料、工法、交通、それに必要な全てを含めてどれだけCO2を排出したか、それをガイドラインを設けるということを考えたいと思っています。これを少なくとも18%減、これで総合的な対策になります。

吉田万三氏
東京がディーゼル規制をやったけれども、実際にはこの間にCO2の排出量は24~5%増えているわけですから、そういう意味では緑化では追いつかない状態なんです。高層ビルが建つ度にCO2の排出量が増えるわけですから、そういう意味で一番の根本は都市の成長のコントロール、高層ビルの規制、こういうなのがベースに無いといくら一部緑化をやっても追いつかないと思っている。

浅野史郎氏
今CO2が増えているのは民生部門なんですね。ですから一番手っ取り早いのは建物の断熱、省エネです。それから太陽光電池なんかのエネルギーの部分でCO2の発生を抑えるような形のエネルギーの開発、これが急がれる。それについてもやはり、都政として行政としても助成を行っていくことによって民生関係からのCO2排出を抑える、これが地球温暖化に非常に有効であると考えています。

石原慎太郎氏
CO2に関しては東京は、いろいろな企業に負荷をしましてノルマの達成を法的に条例で規制していきたいと思っています。この間感動したんですが、年に一度天皇陛下に東京の事情のご進講に伺う。この間も伺ったのですが、この春暖かいと言われているのですが皇居はえらい寒いんですよ。私、終わった後控え室に戻ってきて侍従長に随分皇居寒いですねと言ったら、天皇陛下はいつも室温は20度に保たれている。私はこれに感動しましたね。陛下は陛下で、黙ってそういう風な努力をしてらっしゃる。ゲオルグが言った『地球がたとえ明日滅びるとも、君は今日りんごの木を植える』こういう志の堆積が私は問題解決して東京から地球を救うことが出来ると思います。

■ 資源の前に人材が一番の財産です。ゆとり教育の是非など教育問題が国会でも盛んに議論されているが、人材を育てる上で学力を優先した学校教育の方針は続けるべきである、そう考える方は○、そう思わない方は×を上げてください。

黒川紀章○ 吉田万三× 浅野史郎○ 石原慎太郎○×

吉田万三氏
これは医者の世界でもよく言われるんですが、所謂技術的に優秀なだけでは実際の社会では役に立たない。やっぱり、人を大事にする、あるいは人の話をちゃんと聞ける、そういう人間的なバランスの取れたそういうベースが無ければ技術的に優秀でもしっかりした医者にはなれないんだというのは医療の分野では常識なんですが、ですからそういう人間として豊かに育っていくということをベースにすべきだと思っています。

石原慎太郎氏
学術というのは必要です。これは、例えば小中・高等学校という義務教育の時代、この期間は徹底して詰め込みが必要だと思います。例えばインドの教育の場合、25までですか、九九算が。これは計算じゃないんですね。お経を暗記するみたいにみんな覚えている。こういうことがインドの、限られた階級の人たちだけかも知れないけど教育を受けている人たちは非常にハイレベル、と同時に吉田さんが言われたけれどプラスアルファ人格と言うものの養成は絶対必要です。兎に角、今みたいに教育の順番が逆になっているから感性・情念が出来てくる、まだ詰め込みするみたいなこういうカリキュラムの組み方は間違い。だから子供達が歪んでいく。私は、高等学校の時、学校が嫌で1年間休みました。落ちこぼれの先駆かもしれないけれど、その頃から日本の教育の歪みは変わっていない。

■ アニメやゲームソフトなど急速に世界に発信している文化があるわけですけれども、これら世界に誇れる日本の文化を東京が率先して育てるべきである、賛成は○、反対は×を上げてください。

黒川紀章○ 吉田万三○ 浅野史郎○ 石原慎太郎○

■ 羽田空港の国際化や横田基地の軍民共用化など東京都内の空港整備をもっと拡充すべきである、賛成は○、反対は×を上げてください。

黒川紀章○ 吉田万三× 浅野史郎○ 石原慎太郎○

吉田万三氏
微妙なところですから、全般的に交通のアクセスが良くなるというのは賛成なんですけれども、少なくとも横田基地の軍民共用、アメリカ軍とそれに自衛隊を入れて軍軍民という計画については反対です。理由は、そういう形で基地が永久化するということを一番心配してるんで、基本的には首都圏に外国の基地があるのは正常な状態じゃないですから、それについては一歩でも二歩でもこれが無くなるような方向で努力をすべきだと考えています。

■ 東京都が持っている権限をもっと市区町村に譲るべきだ、賛成は○、反対は×を上げてください
黒川紀章○ 吉田万三○ 浅野史郎○ 石原慎太郎○

石原慎太郎氏
これは、行き過ぎると取り返しのつかないことにもなる、区長が公選になってからその勢いで清掃事業のようなものは区町村に委託するようになりました。それで何が問題になってきたかと言えばカラスの問題。ゴミを自治体によってばらばらに回収してばらばらに運ぶもので、時間にズレが出来てカラスが跋扈するようになる。なんとか他の方法で減らしましたけど、しかしそれはそれとして私はもっと区市町村に委託してもいい仕事もあると思います。ただ、これは財政と言うものが伴わないとだめですね。ですから、今度は交付金のパーセンテージを変えまして各市町村に前より5%するようになりました。まぁ、それがどういう結果になりますか。

浅野史郎氏
これは古くて新しい問題で、ずーっとあって23区特別区の扱いって難しいんですね。今、石原さんおっしゃったように清掃事業を区の事業として落としても、それぞれの区で個別に独自にやるのは難しい。結局横並びになってしまう。それから税制でも、固定資産税、法人・住民税は都が集めて区に調整的にばら撒くというかやってるということなんで、一つ一つ区が独立して区議会を持ち区長は公選制でありながらその独立性は相当程度、制度上制限されている。これでは、なかなか独自性が発揮できない。東京都の全体としての力を発揮できない所以になっている。ただ、なかなか難しいんです。だけど、方向性としては市町村、区というが独自にやっていったほうが絶対元気が出る。やり方を十分吟味しながら出来るものは権限も財源も委譲していくというのが正しいと思います。

吉田万三氏
権限を渡すことと併せて財政、予算もしっかり渡すということがポイントなんで、ただ権限だけ渡しても実際にいろんな仕事をするにはお金が掛かるわけですから予算もしっかりと併せ、東京都の中で地方分権も進めるという考え方が非常に大事ですし、もっと言えば今情報公開とか言われますけど、さらに地域の予算制度みたいな形で区市町村の中で住民に近いところで予算まで含めて渡していくというようなことが非常に今これからの時代は大事だと考えている。

黒川紀章氏
この問題は、日本の国土の未来をどうするかと言うこととリンクします。私は日本の国土を分権化したほうがいい、そして東京と地方の共生を図っていこう。これは知事会でも決議しているんですね。ですから困るんですよね、石原都知事の立場は、知事会の会長になりにくい。なぜかと言うと、東京だけ別、と考えておられる。ところが、実際には東京も分権化しないとつじつま合わないですね。日本全体の分権化を進めるんであれば東京都というでかいところでも分権化を進める。分権化とは何か。三位一体であれだけ議論して上手くいかなかった。それは財源をきちんと渡していないからです。ですから私は区を市に昇格して、そして財源を渡す。じゃ、都は無くなるじゃないか?無くなるわけはありません。広域行政の重要な役割、都知事の役割はもっと大きくなります。

石原慎太郎氏
地方分権の問題で、小渕総理の時に地方分権活動と言うのができた。大変結構なことですが、不思議なことにこの法律に付記がありまして、ただし税財源の譲与は中長期の問題である。私も国会に長く居ましたけれど、中期と言うとどんなに早くても5年ですね。長期になったら、50年経っても解決しない問題もある。但し、税財源の分与の問題は中長期の問題だっていうそういう分権を作ったってまったくダメです。これは、財政というものを伴った形の分与と言うのを考えませんとなかなか難しい。都は都なりに区の要請に応じて交付金のパーセンテージを上げましたけれども、それだけで済む問題ではなにしろ無いんですね。

■ 最後に

石原慎太郎氏
付け足して申し上げることは無いが、世の中金だとは決して申し上げませんが、財政というのがしっかりしてないと何も出来ないんですよね。予算が組めないで行政が執行できるものでもない。そういう点では、この8年間、議会も協力してくれましたし組合も協力してくれましたし、都は完全に財政再建をしました。随分余裕も出来ました。ですから積立金を増やしました。これを何に使うか、なにもオリンピックの為だけじゃなくて、例えばいろんな積み立てを講じておりますけど、例えば老人問題なんかでも都の技術はすごい進んでおりましてノーベル賞をもらうかもしれないが、アルツハイマーの役に立つ酵素というのを東京の研究所が考え出した。今、マウスから猿の実験をしていますけど、こういったものも老後・老人のための積立金を500億ちゃんと講じてますし、こういったことを活用することで私たちは本当の福祉が出来ると思う。財政が破綻してしまっては何が出来るものでもない。そういう点ではみんなの協力で東京は完全に財政復活しました。これを胸張って言えます。数字の解釈、いろいろあるかも知れませんけど今までの財政再建の実績を踏まえて他の都道府県でやっていない政策というのをこれからもやっていきたいと思っております。

浅野史郎氏
東京は、つくずく考えると東京の為だけの東京ではないんですね。これは、日本の中の東京、日本の為の東京ということが宿命としてあるんですよ。これは別に、東京の負担の基において他を助けろ、そう言う意味ではない。やはり東京は日本全体をリードしていくべき存在なんです。それが都民の誇りであり東京の誇りだと思っています。今、現状を見たときにそういう風になっているかと。日本全国からだけじゃなくて、世界の各都市から東京が本当の意味で品格のある都市として敬われているか、誇りにされているかと言うと、もうちょっと頑張っていい。都政の問題にしても情報公開の問題なんか考えていても都民にわかる開かれた、隠し事をしないっていうだけじゃないですよ。一緒に政策を作っていくときにみんながそれに参加できるような形でこんな風にやってますよ、と言うことが明らかになるようなそういった面でも、実は日本の地方自治体で最大最強の地方自治体としての東京が全国をリードしていく位の気概と実績をもっていかなくちゃいけない。それは福祉の面においても防災の面においても全ての面においてそうだろうという風に思っています。地方分権の話が出ました。地方分権も、本当は先頭に立って引っ張っていくというのはですね、最大最強の地方自治体である東京都であるべきはずなんですよ。東京も実は地方なんですね。東京は中央ではありません。霞ヶ関は中央ですけれども、東京都は地方自治体なんです。その地方自治体で最大最強の存在である東京都が地方分権と言う国と闘っていくという状況ですね。石原さんもおっしゃったように財源の問題は中長期的な問題だからゆっくりやろうというような余裕はありません。今、システム改革をしていかなければならない、そういう中で東京は牽引車にならなくてはならない。と言うんですけれども、実際そうなっているか?これが私は実は、東京だけの問題ではなくて日本全体の中の問題だと思っています。今回の都知事選挙も、意外と東京以外の人が関心を持っているんですよ。もちろん、東京都民が関心を持っているのは当たり前ですけでも、なぜかといえば、そういうような東京としてもっともっと頑張って欲しいというか、と言うような問題もあります。ということで、私もなんで宮城の人が東京都知事を目指すのと言われましたけど、それは私が日本人だからです、と答えてます。日本人としてやはり東京の存在というものを日本全体に発信していくということで力を尽くしていくことが必要だろうと思っております。

吉田万三氏
二点お話したい。一つは、私の信条は政治の基本、政治の目標、これはもう一番の基本は暮らしの安心だということが一番の基本だと思ってます。そういう意味では、今も税金の使い方、いわば大型開発が中心で少し余裕が出来たら少し暮らしの方にもまわしましょうというのを、根本的に構造を変えていく。基本的な社会保障、特に非正規が500万人もこの十年で増えているような状態ですから、時給が減っただけじゃない、正規雇用の時代にあった家族手当もなくなれば住宅手当も無いという人がいわば500万人増えたということですから、しっかりとその受け皿になる暮らし、住宅の問題、医療の問題、あるいは教育の問題、こういうところを基本に据えていく構造の転換が必要ではないかという風に思っているんです。身近な仕事と言うのは、さきほど耐震補強の問題もでましたけれども大型の開発型というのは一回で終わっちゃうんです。そうではなくて、本当の身近な仕事と言うのが耐震補強もそうですし福祉の施設、福祉の体制、在宅の体制、こういうものに費用をかけるということは、実は地元の仕事も増える、あるいは地元の雇用も増えていく。地域経済にとっても一番いいやり方なんだというのは今世界の常識になりつつあるわけですから、こういう税金の使い方の転換、これをどうしても図っていかなくてはいけないと思います、それからもう一点はやはり東京と言う都市の世界に対する発信力、これはものすごく大きなものがあると思うんです。そういう意味でも、アジアの諸国とも大いに仲良くしていかなくていけない。相互信頼を深めていかなくてはいけない、そういう時代ですから、憲法を否定する、そういうことを煽り立てるようなことではなくて、むしろ相互の信頼が高まる、理解が深まる、こういう意味で平和の発信力、そういうものを持つ東京にしていきたいなと思っています。

黒川紀章氏
お知らせと言いますか、今日まだ記者会見しましてまだみなさんご存知ないと思いますが、新党を立ち上げました。政治団体「共生新党」、これは22日の東京都選挙管理委員会で確認団体として認められますと初めて政党として認められたことになります。それを一つの方向として、今日はお知らせとして私がここに座っておりますのも、既存の政党と一切イデオロギーを持たず、政党と関係の無い私が今後、今二十万人の方たちが勝手連として私のところのメールに登録していただいています。なんと、その内の11万人は神奈川県民、埼玉県民、千葉県民、これを見て私は本当に思いました。東京から世界、日本を変えていかなくてはいけないんだな。そういう方たちが仮に私が知事に落ちた場合でも拠り所となる新党を作って、そして私は知事になれば優先して職務を4年間やりますが、そうでない場合でも共生新党の党首としてこの運動をライフワークにしていきます。
そしてさらに、これは都知事選と紛らわしいので今日はお話しないつもりでいました。記者会見も実は選挙が終わってからするんですが、クリントンさんとか国連事務総長とか、名誉会長にスウェーデン王妃を迎えて、今発起人を募ってまして「緑と人の和」の運動を長年やってきました。しかし、東京都知事選の間は、紛らわしいのでこの運動をやめます。但し、発起人を決まった形で発表するのは会長になられる京都大学の元総長で文化勲章受章者の方が記者会見します。これに参加しないという今日までにご返事があってそれをはっきりここで言わないと、この後のテレビ朝日の会場には実力でも阻止して黒川を入れない、そういうお話がありました。それで、ここで圧力に屈したわけではないですが、テレビ朝日の強い圧力に負けたわけではありませんが、申し上げます。200人の発起人の中で今日までにお断りのあったのは菅直人さん、牛尾治郎さん、森実さん、佐治信忠さん、小沢一郎さん、古館伊知郎さん、田原総一郎さんです。きちんと申し上げました。テレビ朝日出たいです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この日の討論を終えて、立候補予定者の4者はテレビ朝日の報道ステーション、TBSのニュース23と続けて出演。4月8日の都知事選から4月22日の統一地方選挙(新宿区では区議会議員選挙)と続く一連の流れで最大の国民関心事であろうこの4人の発言・討論。ということで、当blogでは脚色なく全文を掲載した。

個人的には、歌舞伎町対策・地域再生に係る関係上、繁華街対策についての発言や外国人問題(ネガティブとポジティブ両面ある)について話が聞きたかったが、やはり予想通り話題にはほとんどならなかったのが残念。

話は変わるが、選挙のたびに思うこととして、まず公職選挙法の矛盾点を常々考えさせられる。告示日以降に初めて選挙活動が出来るようになるわけだが、その前段階での今回のような公開討論会に関しては非常に規制が多い。なぜなら政治活動としてならばいいが、選挙活動とみなさされると事前活動として違反になってしまうという点。例えば無所属・無名な人物が立候補しようとしても、こういった討論会で発言ができないばかりか告示日以降は今度はWEB上での情報発信は制限(更新不可)といったことで、選挙活動が始まった時点で一番市民が情報を求めるときになって情報が得にくくなるという状態を法律が作り出している。これでは、まだまだ政治に対する市民参加を促進することは出来ない。法そのものが邪魔している。

歌舞伎町などで感じるのは、外国人参政権については時々考えさせられる。たとえば参政権を国政と地方の二つを分けて定義し、国政参政権はともかく、地方参政権だけでも外国籍住民に与えるべきなのではないか、と思うところもある。

政党の信頼が揺らぎ、今回の立候補予定者の中で明確に政党の支持を受けているのは吉田万三氏(日本共産党)、浅野史郎氏も民主党支持と言っていいかな。以前も書いたが、既存政党に対する、とくに自民党と民主党という既得政党からの票と支持は離れていっている。以前も書いたが、集票システムである町会や組織、同業組合が区議を支え、区議が何人かで1都議を支え、それがまた何人かで国会議員を支える仕組みがもう崩れかけている。一番ベースになる町会や組織、組合等が疲弊している上に各組織の核の部分は政治に熱心だが、その周囲は白けている。この流れは、ある意味当然の流れでもあり、地方政治に共産主義だの右だの左だのとイデオロギーを掲げる意味なんてありえない。つまり地方において政党は不要なのだ。そのことを市民は気づきつつある。だからこそ地方自治で言う政党の集票システムからはなれ、それが国全体で見る無党派層の拡大に繋がっている。国政におけるイデオロギーは必要だし、だが共産党があることで野党分裂が常に起き政界再編や二大政党制を結局促進しない。個人的には、非常に勝手だが共産党は共産という言葉を捨て、民主はそれと組むべきでないのかなとか、そういったことが無いと政界再編は起きにくいと思ったり。。


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risu

私の暮らす郡上市。
県会議員選挙に向けて熱が帯びています。
なかなか、
地域主義から脱却できない現実。
○○地区だからこの人!
スケートに例えれば、
○○クラブだからやっぱりこの人だ!
と言っているようもの。
やっぱり、
リンクでのナイスプレーには、
どの人であれ拍手を贈りたいのです。
そのうえで戦い、
そして代表者が決まるのが選挙だと、
思うのですが、
歯がゆいです。
by risu (2007-03-16 18:57) 

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