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7月18日 第4回 喜兵衛プロジェクト会議より [KIHEI]

7月18日(火)15時より、新宿区役所第一分庁舎7F研修室にて第四回目の喜兵衛プロジェクト(座長:新村雅彦氏 歌舞伎町商店街振興組合副理事長、とんかつ「にいむら」会長)の会議が開催された。

この日は、まず持ち込みの企画・提案が二つ。一つは先日シアターアプルで演劇公演「夢~歌舞伎町物語」を成功させた東京ギンガ堂の品川能正氏から、もうひとつは杉山文野クンからそれぞれ企画説明が行われた。

歌舞伎町ルネッサンス活動の一環として、かつて鈴木喜兵衛氏が創ろうとした“道義的繁華街”の再生を図り、日本の演劇(舞台芸術全般)のソフト・ハード面両者を充実させ、「アジアのブロードウェイ」を実質的に目指すという、その名も「歌舞伎町ブロードウェイ計画」というのを持ち込んだのが品川氏。

「歌舞伎町ブロードウェイ計画」の4つの柱

①未来の俳優・演劇人の育成プロジェクト

  • 現代劇、ミュージカルを中心とした俳優養成クラスと小中高生を対象とした俳優体験ワークショップ、能・狂言・歌舞伎を中心とした伝統芸能体験教室、60歳以上を対象としたシニアクラスなど、現役の多彩な演出家・俳優を講師に展開
  • 舞台を見る楽しみ方、ポイントを教える観客のためのクラスを設け、裾野の拡大を図る。
  • プロの俳優のための俳優教育システム「RADA」の開校。日本の演劇人に絶賛のイギリスRADAシステム(ニューヨーク・アクターズスタジオの原型)の学校を開校する。

②演劇ファクトリー(工場)化

  • 現代劇やミュージカルの制作に関わる会社(大道具・小道具・照明・音響・衣装・履物・メイク・特殊効果、出先機関・窓口等)を誘致する。

③“喜兵衛劇場”の計画

  • かつて、歌舞伎町の町名由来にもなった「菊座」(戦後の歌舞伎劇場誘致計画)を、改めて考える。現代劇、ミュージカルからパフォーミング・アーツ、伝統芸能としての歌舞伎まで上演可能な可動式花道の劇場の建設、運営を目指す。

④演劇フェスティバルの開催

  • イメージとしては、日本を代表する演劇人による連続公演により、街の新たなイメージ定着を図る。すでにある劇場を利用して毎年春(5月)or秋(10月)に開催。

以前、ニューヨークの演劇評論家大平和登氏が話していたオフ・ブロードウェイのパブリック劇場のようなイメージかと。ブロードウェイがコマーシャルベースの商業演劇であるとすれば、それを裾野で支える文化アクティビティとしての演劇・芸能NPOのようなものが必要という考え方で、「歌舞伎町にこういった事業を担う運営母体とパブリックシアター建設をしましょう、あるいはするなら是非かかわりたい」という品川氏の提案。現実には、まずインフラとしてなりうるスペースとして旧四谷第五小や大久保公園が可能なのかどうか、次に資金面としてとくに地域や行政がこの話に乗るのかどうかとういうのが課題。

実際、オフブロードウェイのパブリック劇場などでは、年間1千万ドルの制作費に対し企業・個人・財団援助(18%)入場料(17%)政府(16%)基金(14%)ブロードウェエイの収入・権利収入(9%)メンバー支援(2%)、のこりは毎年対策を講じないとならないという常に資金面で課題を抱えてきた。企業・個人・財団支援という側面の弱い日本で、政府・行政支援が20%強はないとなかなか難しいかもしれないが、用地・設備インフラ取得を極限まで圧縮できるなら目指せないこともないかもしれない。新宿区+オフィシャルスポンサーを母体とする独立型の運営母体、東京都の支援、税制免除など、ハードルは高いが、なにより「歌舞伎町ルネッサンス」の活動に地域・行政がどこまで本気にこのプランに乗れるのかどうかも試される。

杉山文野クンからは、現在設立準備中のボランティア清掃組織「green bird Kabuki-cho」についての経過報告など。6月21日の「よくしよう委員会」(片桐基次委員長・歌舞伎町商店街振興組合専務理事)でも発表された件[参照:green bird KABUKI-CHO設立の話~6月21日「よくしよう委員会」より)ではあるが、杉山文野クンがグループリーダーとして立ち上げるということで本人の父(杉山元茂氏)所有の杉山ビル(一番街入り口アーチ横、とんかつ茶漬けすずやのある建物)の4Fの一室が空き室になっていたため、ここをgreen bird Kabuki-choに提供することが決まった。「歌舞伎町にいままで関心のなかった人たちも、green birdという活動に興味を持ってもらって新しい風を吹かせたい」と杉山クン。8月6日に歌舞伎町シネシティ広場で開催される新宿放送局の歌舞伎町スター公開オーディション決勝大会において、出演者・スタッフらとともに第一回の歌舞伎町ボランティア清掃を皮切りに活動をスタートさせる。当面、green bird本体から物品提供を受けながら、月2回程度の清掃活動を行っていく予定。

上の写真の杉山クンのTシャツ、これは杉山クンとカレの友人グループとのコラボで作ったオリジナル。I love 歌舞伎町のイメージで彼らが考えた新しい歌舞伎町のイメージロゴで、「なんとなく作ってみたんですが、徐々に歌舞伎町のオフィシャルなロゴになっていってくれたらいいな」と杉山クン。中山区長に見せたときも「町のなかにあかりがともる、みたいな感じでいいわ^^」と言っていただきました。

個人的には、せっかっく杉山クンたちが作ったこのロゴの露出媒体を検討していこうかと。

企画提案の後、歌舞伎町の現況やビジョン作りについての議論が行われた。歌舞伎町ルネッサンスの新たな担い手を誘致していこうという喜兵衛プロジェクトの趣旨はともかく、現況ではリーン作戦が滞っているという指摘、また客引きや暴力団、ホームレスなどの現状から言って誘致しようにもまだまだ障害が多すぎる、この点をどう打開するかが優先課題だろうという意見と、同時にまちづくりの誘導方針、ビジョン作りをもっと具体的にすすめましょうという話。会議に参加するメンバーにも、現状認識へのずれ、危機感の不足(それは行政内部から商店街振興組合などにおいても)がある。たとえば深夜の歌舞伎町やシネシティ広場の状況を知るものがほとんどいないという実体、これではなかなか話にならない。品川氏のような具体的なビジョンをもちこんでも、正確な議論が出来ず絵に描いた餅といった感がまだまだある。「クリーン作戦」は環境土木、「まちづくり」は地区計画、「活性化」は文化国際、そして「喜兵衛」は企画政策部と行政内部のセクショナリズムが時折顔を見せ支障を感じる。互いに不可侵というか、部署に関係ないことは他人事というか。ひとつひとつ、どれだけ機能しているのか?といった認識と課題整理をして何にどれくらいエネルギーをさくべきかをもっと考えるべき。悲しいかなマンパワーには限りがある。「歌舞伎町ルネッサンス」の新たな担い手を誘致する以前に、いかに歌舞伎町をきれいにするか、そのためのスタッフを誘致したいと思うこのごろです。


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桃次郎

I LOVE 歌舞伎町のロゴを作るなら、一般公募のようなコンペにすべきでは?アメリカの世界貿易センタービルの跡地をどう利用するかも国際コンペで特定の個人や法人にオーダーしませんでした。歌舞伎町に関心をもっている人たちはほかにもいるはず。その人達のためにも密室的印象は避けるべきで、コンペにすれば広く世間に歌舞伎町がやろうとしているプロジェクトをアピールできる機会にもなると思う。オフィシャル展開するなら、どこでどう決定したかが透明でないと結局内輪で何かやってるみたいだね、で終わってしまう気がする。行政が関わっているプロジェクトなら尚更のような気がする。
by 桃次郎 (2006-07-27 20:43) 

Tera

一般公募という話は以前からあるのですが、これはこれでなかなか抵抗もあったり、やってみようとしたら時間がかかりすぎてうまくいかなかったりという経緯があったりと。歌舞伎町ブランドのCIみたいなものですから、検討はしてみます。
今回のロゴについては、よくしよう委員会発注ではなく、あくまで杉山クン所有のロゴに委員会がのるのかどうか、で組合がのると決めれば形のうえでは公式になるというだけの話ではあったのですが、コンペもやってみたいところです。予算的に告知の問題はありますがね;
by Tera (2006-07-28 05:34) 

桃次郎

様々な事情があってコンペは難しいみたいですね。でも中山区長に見せられるのも杉山氏の特権ですよね。歌舞伎町内にビルを所有し、委員会への参加は難しくない。やはりコネクションというのは大きい。一般人にはまず情報がないし、区長に簡単には会えない、会わせてもらえないですよね。よくしよう委員会に見せる機会もないことを考えると、やはり委員会に採用された場合、なし崩し的にそのまま歌舞伎町CIになってしまう気がします。かなりの抵抗勢力と時間がかかるという理由で。この件についてどの程度話し合いがされ議論し尽くしたのかわかりません。どこか議事録のような資料はあるのでしょうか?
by 桃次郎 (2006-07-31 19:07) 

Tera

よくしよう委員会については、常に歌舞伎町商店街振興組合の事務局が簡単なものですが議事録をつくっています。それと、よくしよう委員会は閉鎖組織ではありません。「歌舞伎町をよくしたい」と思って一緒に活動できる人が自由に参加できる開放された組織です。至らない点もあるかもしれませんが、自分としては今後も出来る限り情報を開示していくつもりです。
自分がこの委員会に関わって、すでに2年を越えましたが、個人的に思うのは、会議においてアイディアや企画が出た場合、その内容以上に発案者に対するこれまでの信頼関係という部分は、重要だと思います。また、信頼できる人間の発案の場合、その人のモチベーションと言うのも大事に考えるべきだと思います。
したがって単純にコンペや入札をよしとは思いません。しかし、よりいいアイディアを求める場合に、今後公開コンペを行うような案件も出てくるかもしれません。ケースバイケースですね。
桃次郎さんがどんな方なのか正直わからないので、なんともいえない部分はありますが、自分達も志とは別にまだまだ導入の部分で未整備なのは認めます。コンペもまだやらないと決めたわけではありませんし、もしアイディアがあるのであれば、自分でよければ道をつくります。プロフィールからメールが送れますので、コンタクトをとってくださってもけっこうですよ。
by Tera (2006-08-03 01:37) 

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