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東京都青少年・治安対策本部長 舟本馨氏にインタビュー [インタビュー]

防犯ボランティア応援サイト「大東京防犯ネットワーク」開設

東京都青少年・治安対策本部では、3月30日付けで防犯ボランティア応援サイト「大東京防犯ネットワーク」を開設した。このサイトでは、都内の防犯ボランティア団体の概要や活動事例を紹介する「防犯ボランティア活動」、子供の安全を確保するための「子供の安全対策」、安全・安心のまちづくりや防犯ボランティアの活動支援に関する「東京都の取組」及び「都内区市町村の取組」の4つを柱に防犯に関する情報を提供することとしている。また、防犯ボランティア団体用の掲示板を設け、防犯ボランティア団体相互の情報交換による連携が図れるようにした。

サイトのバナーは、見ての通り歌舞伎役者の睨み。舟本本部長の話だと、石原都知事自らデザインしたものだとか。

東京都青少年・治安対策本部、昨年まで竹花副知事(現在警察庁生活安全局長)がいた部署で、歌舞伎町ルネッサンス推進協議会の委員だった竹花氏の後を受け、本部長になったのが舟本馨本部長である。舟本氏は第三回歌舞伎町ルネッサンス推進協議会から参加している。というわけで、都の治安対策の責任者である舟本馨 青少年・治安対策本部長といろいろ話してみました。

←舟本馨 青少年・治安対策本部長。後ろの棚に「大東京防犯ネットワーク」のステッカー。

「東大法学部時代、刑事法の先生が『99人の真犯人を見逃しても、一人の無実の人間を有罪にするな。』といわれた。僕は、それにすごい違和感を感じたんだよね。加害者側の人権擁護とでもいうのか、しかしそこでは一切被害者側の人権を語るということがなかった。違うだろ、って気がしてたよね。」

この話を聞いたときに、まっすぐな筋の人だなと感じた。舟本氏は昭和30年生まれの50才、警察庁に採用された頃の話を聞いた。

「警察庁に採用され3ヶ月の研修があり、その後最初に現場に出されたのが歌舞伎町なんですよ。それが昭和54年、当時11箇所に交番があって22時23時あたりになると警察官はみんな歌舞伎町交番に集結、だいたい20名くらいだったかな、それで警備にあたる。当時の歌舞伎町は、終電まぎわになるとブワァ~と人があふれてきてすごい街だった。その頃から、いわゆる風俗もあったが、どちらかというとボッタクリが多かったね。まだ街には普通のサラリーマン、普通の学生が多くて、よくぼったくられたと交番に駆け込んでくることがあった。しかし、あの頃も風俗風俗って騒いでいたが、今に比べると全然、あれが風俗なの?ってくらいのものだった。ここ最近までの歌舞伎町の姿は、欲望がむき出しの、エスカレートした状態。」

都の治安対策における歌舞伎町の位置づけは?~

「警視庁時代、当時今の組織犯罪対策課の前進で国際犯罪取締対策本部というのがあってそこの参事官だった頃、外国人の犯罪が急増していた。蛇頭などの中国から船で密入国してくる人たちがいて、彼らの間で歌舞伎町に行けば何かしら生きていく術があるということで、彼らは歌舞伎町という名を覚えたという。歌舞伎町は不良外国人の拠点化し、暴力団勢力が力でまけて、当時は暴力団と不良外国人が共存共栄を模索していた。行財政改革の只中で警察も例外でなく、増員がまったく出来ない時期で、一気に歌舞伎町を拠点にした治安悪化が全国に及んだ。現在進めている歌舞伎町の浄化作戦も、ルーツはここに端を発し、したがって全国の治安のバロメーターという意味で歌舞伎町を捉えるという、いわば象徴的な場所でもある。」

浄化作戦の成果、課題など~

「違法風俗の向こうは必ず暴力団とつながっている。最近の違法風俗や、暴力団そのものの排除は、ある程度ダメージを与えてはいるだろうが、根絶やしというところまではいっていない。全国に散っているとよくいうが、あくまで歌舞伎町を拠点に散っているのであって、この街には根深い歴史がある。一朝一夕にはいかない。しかも、犯罪素地はネット化など非常に多様化している。暴力団や、不良外国人の組織は、アメーバー的に活動し、彼らは金になるところに対する嗅覚をもっており、手を抜けば、またその根から生えてくる。歌舞伎町にはそういった歴史が深い。決して手を抜いてはならない。まして、いたいけなものや未成熟な人間を食い物にする彼らを許すことは出来ない。

日本は、レッテルを貼る社会である。犯罪者や元暴力団となると、一般社会はなかなか受け入れない。そういう問題はある。一方で凶悪な犯罪者の情報を開示しろという運動もある。あるいは、壁一枚で踏ん張って向こう側にいかないように生きている、歌舞伎町にはそんな部分はあるのかもしれない。しかし、その壁が、今の位置でいいのか?もう少しこっちだろう、そういう思いはある。日本一の繁華街、この街をどう変えていくのか、これは相当腰をすえて取り組まねばならない。治安対策と、一方で積極的な行政によって地域の活性化を促すというのは両輪だ。歌舞伎町から学生が少なくなった。そういった景色を見なくなった。昔のように、普通の学生、体育会系だっていいじゃないか、そういう人たち、普通のサラリーマンが集まるように賑わいを取り戻して欲しい。」

暴力団対策・外国人犯罪など最前線におられた方だけに、重い言葉だった。


個人的な意見として。

5月1日施行の改正風適法によってデリバリーヘルスの受付所に関する届出義務と宣伝行為の規制に関する運用強化、6月1日施行の風俗案内所規制条例では脱法性風俗店の受付所的な役割をし、且つ街の景観を歓楽街的に助長する案内所の規制、また昨年12月22日に公布され4月1日より施行されたぼったくり条例の改正性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等の規制に関する条例の一部改正)では性風俗店の客引き行為や違法行為に伴うビルオーナー責任を明記、罰則強化。それ以外にも火災予防条例の改正によって改装・改築等に際しての届出義務を設け、ビルオーナーや管理者が放置してきたまた貸しの実態やその上での違法店舗の入居を抑止する効果を生むと考えられる。法律や条例改正がなにも歌舞伎町に限ってのものではないだけに全国的に及ぶ今回の規制強化は、まず根本にあるのはまた貸し行為や違法性風俗の背景は100%暴力団のインフラになっていることからまずその資金源を断つことが最優先課題ということにある。もっとも、昭和60年の改正風適法以前の性風俗店に与えられている既得権は、その後、経営者が老齢化する流れがまた貸しや会社売買によって実質的に家賃のサヤによって暴力団等の資金源になっているケースも多い。ある歌舞伎町の既得権を持つ性風俗店が家賃250万、しかしビルオーナーにはわずかに60万程度の家賃が入っているという例がある。つまり、その差額の190万はどこにいったのか?

その他にも名義貸しや、その名義をブローカーする連中、性風俗店の実質的オーナーは経営に名前を出さない実態、風俗店で働く女性を手配するブローカーなどありとあらゆるところに暴力団の資金源が存在している。今回の規制強化は、表面的に違法な性風俗店や案内所の増加には効果を生むだろう。しかし、表面に出ない中間に存在する暴力団などのインフラ排除にはまだまだ程遠いのではないか?

舟本本部長が「あまりにも欲望むき出しの街になってしまった。これではいけない。」というが、ではそういった状態を作ったのは誰か?街の人の無関心、行政の無関心や縦割り構造の弊害(衛生、消防、建築、風俗等の許認可がばらばらでコンセンサスが不在)、そして警察、さらに法の不備それぞれが結果として作ってしまった状況である。法の隙間や監視のゆるい部分に機をみつけて商売をする、それは資本主義のあたりまえの流れである。すべてを予測するのは不可能かもしれないが、一見機能しそうな法律が結果として新たな問題を生むということを認識すべきだろう。

たとえば、6月1日に施行される風俗案内所規制条例。違法性風俗の受付所になり、パネル掲示は暴力団のミカジメにつながり、まして地域の景観を汚してきた。規制するのは遅いくらいだ。しかし案内所の功がたった一つある。それは、客引きを減らし、客引きマージンがないためぼったくりが減ったと言う点だ。つまり今度の条例施行がどういった結果を導くか、案内所は減るだろうし違法な風俗店、デリヘル等は水面下に潜る。街の景観はハード面では改善方向に向かうかもしれないが、まちがいなく客引きは増加するはずだ。

つまり、6月1日を前にして「客引き」禁止を強く摘発・検挙なり啓発なりしないことには再び手遅れになる、ということである。いや、既に案内所が閉鎖、減少方向にある現在、少なくとも歌舞伎町は客引きは増加傾向にある。違法風俗のキャッチ、セクキャバの客引きをする黒人は、もう靖国通り沿いまで押しかけ、歌舞伎町に入ろうとする来街者に対しさながら防波堤となりつつある。放置すれば、ますます地域経済は低迷し、今まで持ちこたえてきたビルオーナーや商店主が耐え切れる限界点を越えることも予想できる。

それは、再び悪循環を生み、地域の資産価値は減少、耐え切れず土地や建物を手放すオーナーも増えていくかもしれない。バブル崩壊のあおりを受け、すでに体力を持たない街の人も多いことが負のベクトルを加速する。こんなことを言う人がいる。「体力を持たないビルオーナーや商店主は街を去らざる負えない状況になっていく。意図せずとも、結果的に外資ファンドやそのほかのプライベート・ファンド、あるいは大手ディベロッパーが介在して再開発が進む。そのとき、歌舞伎町はすばらしい街になるかもしれない。行政にとっても警察にとっても、また新たな歌舞伎町に遊びに来る人にもいい結果を生むだろう。だが、そのとき、今の歌舞伎町で踏ん張っている人たちはもはや誰も存在しないかもしれない。」これは今、歌舞伎町でがんばっている人たちにとって最悪のシナリオだろう。それはもはや歌舞伎町ではなくなっていることを示している。極端な話ではあるが、実際に表参道の再開発と周囲の再生が表面は華やかでも裏でこんな状況があったことを人々はあまり知らない。

一つ、そうならないためにも、地域再生はスピードがなによりも必要なのだろう。今の方向性が間違っているとは思わない。まだまだ街の人たちの努力だって足りない部分はあるかもしれない、しかし、仮にスピードを現状から加速できないのであれば、もう一声二声、ある種の規制緩和策(いくつかの具体案は示してきたつもりだが)などによって今歌舞伎町で前を向いて踏ん張っている人たちの受けてる負荷をいくらかでも除去し、やがてよくなるであろう歌舞伎町という街に至る時に恩恵が受けられるようにしてあげて欲しい。それもまた急務なのではないか。


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