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安全安心なまちづくりの全国展開に向けての関係行政会議開催 [まちづくり]

10月4日、13時より中央合同庁舎第二号館地下一階 警察庁第7・8会議室にて「大都市等の魅力ある繁華街の再生のための連絡調整会議」が開催された。

開会挨拶をする荒井伸内閣官房都市再生本部事務局次長。

6月28日に行われた犯罪対策閣僚会議・都市再生本部合同会議(中山弘子新宿区長も出席)で決定した「安全安心のまちづくり全国展開プラン」「防犯対策等とまちづくりの連携協働による都市の安全・安心の再構築」についての趣旨・意義というものを、関係各省庁・警察および各地方自治体が共有し、情報交換をする場としての今回の会議開催である。関係各地方自治体というのは、これも先日の犯罪対策閣僚会議で決定した11地区。

6月28日におこなわれた犯罪対策閣僚会議(右端は中山弘子新宿区長)

【東京都/新宿区歌舞伎町地区・港区六本木地区・豊島区池袋地区・渋谷区渋谷地区、札幌市薄野地区、横浜市関内・関外地区、名古屋市栄周辺地区、京都市木屋町周辺地区、大阪市ミナミ地区、広島市流山・薬研堀地区、福岡市中州地区】

現在行われている歌舞伎町地区の「歌舞伎町ルネッサンス」を先駆的な試みとしてとらえ、これをモデルとして全国主要繁華街(上記11地域)でも安全安心のまちづくりをすすめていこうという中で、とくに各地域住民・地方自治体に対しても国の各省庁がサポート、予算の面でも支えていきますという趣旨の説明が行われた。

新宿区歌舞伎町地区では、クリーン作戦プロジェクトが露払いの役割を果たしてきた。所轄警察署と歌舞伎町商店街振興組合が中心になって路上清掃・不法看板撤去・露店やピンクチラシ対策・客引きやスカウトなどの迷惑および違法行為対策(4月1日条例化)、組織犯罪・不良外国人・暴力団排除や違法風俗の排除、などがこれにあたるが、今まで街に還流していた経済活動を妨げることにもなって空き室・空きテナントが大量に出た。また風俗をあてにした高い家賃のビルは、家賃設定を下げざる負えず、結果周辺家賃相場も徐々に下がっている。(これは、いままで採算の取れなかった飲食店などの出店を呼び込む兆候が見え始めている。)

この経済に対するマイナスを補い、さらにプラスにしていくためのプロジェクトが地域活性化プロジェクトとまちづくりプロジェクトである。地域活性化は主にイベント誘致、映画祭、公道上のさまざまな収益活動にむけての試み(オープンカフェなど)、またこの地域に住み、働き、また遊びに来る外国人との多文化共生への取り組みといったことも進めていくことになっている。まちづくりは、大きくとらえるとシネシティ広場周辺映画館の再生・再開発というものと、いままさに問題になっている空き室・空きテナント対策としての「家守事業(仮称KIHEI Projekuto)」といった主としてハードにかかわるまちづくりなどをすすめている。安全安心のまちづくりは、あくまで浄化だけでなく活性化にむけて、また地域が目指すまちづくりへのビジョン・志を共有しあう、さらにこれらをいかに迅速に行うかが重要であるといえる。

会議において、新宿区からは香西歌舞伎町対策担当副参事が、フリーペーパー「歌舞伎町るねっさんす」を材料に会議で歌舞伎町地域の試みについて説明をした。また歌舞伎町ルネッサンス推進協議会委員でもある日本政策投資銀行の根本部長からは「今後の全国における安全安心のまちづくりにおいても、私どもが紹介しているところの家守事業によってなにかしらお手伝いできることもあるかもしれない」ということでこの事業についての説明があった。

最後にフリーデスカッションが行われたが、ここではハデハデしい看板を掲げ実質グループのデリバリーヘルスの受付所と化し、またグループのレンタルルームへと客を送り込み売春を斡旋するといった形態の無料風俗案内所の件が問題になっていた。

  

↑増殖する無料風俗案内所、なかには土地を買ってまでの新規巨大店の出店も。左は区役所近くの元かに道楽のエリア。

 ←10月6日撮影、元かに道楽の建物の無料案内所はあっというまに完成していた。

 

わき道に入ると路上用の巨大な看板(たて2メートル横1.5メートルくらいのが2個)置かれていた。路上看板は区の所轄、対応が気になります。あるいは、指摘を受けて裏に置いたのかな?これだけ大きいと店内にも置けそうにないですね。右の写真は、同じかに道楽の一区画裏手、ここにも新しい無料案内所ができてる。

今日の午前中の閣議で風営法改正についての決定がなされ、今国会に提出の運びになっているが、これもデリヘルの規制、とくに受付所や従業員の受付所を営業所とみなす云々など、を念頭においている。

※風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案について

内閣法制局

http://www.clb.go.jp/bk_law/163/text/ke1.htm

警察庁HPより

概要

http://www.npa.go.jp/safetylife/seikan14/gaiyo.pdf

新旧対称条文

http://www.npa.go.jp/safetylife/seikan14/sinkyu.pdf

歌舞伎町では、治安浄化に伴う空きテナント増加によって、家賃収入の激減したビルオーナーが土地・ビルを手放すという事例が多く見受けられる。また犯罪組織側や違法風俗側(もしくは脱法側といったほうがいいのか)の業者が資本力にものをいわせて買いあさるというケースもあるようだ。

安全安心のまちづくりは、いかに迅速にやっていくかが重要であるが、この点は行政がもっとも苦手とする部分だけに民間力に期待する部分は大きいと思われる。歌舞伎町ではまちづくりを官民連携で行うPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)のTMO(タウンマネージメントオーガニゼーション、いわゆるまちづくり会社)の設立を準備している。

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同じく10月4日、午後3時からは新宿区役所第二文庁舎会議室において歌舞伎町ルネッサンス推進協議会と連動した「歌舞伎町地区関係機関・ビルオーナー等連絡協議会」が開催

まつ木新宿警察署長による協議会趣旨説明。「表面的な取り締まりは今までもやってきたが、裏も含めて本当の取締りはこれからです。よく、歌舞伎町はいつまで我慢すれば取締りをゆるめるのか?と聞かれますが、“いつまで?”というものではありません。違法なものは徹底的に取り締まります。」

これは、先日9月13日のブログにも書いたが、東京都のぼったくり条例改正にともなうビルオーナーの責任についての説明のための会議である。

参照:http://blog.so-net.ne.jp/kabuki-cho/2005-09-19-3

今年の4月1日に施行された改正迷惑防止条例(客引き・キャッチなどを防止する条例改正等)でもビルオーナーの責任を言及していたが、今回はこれをさらに深くぼったくりや料金会計不明瞭の店舗についてはビルオーナーにも責任があるとし、これを賃貸契約書にもりこむ(違法行為があったら立ち退きを要求できる)また悪質な事案にはビルオーナーにも罰金などの罰則を科すことをもりこんでいる。

←日本政策投資銀行首都圏企画室の大西氏

今日の閣議決定した風営法改正(今国会提出、審議~決議後周知期間をもうけて施行)などとともに、今後も歌舞伎町では空きテナントの増加傾向があると思われ、その対策の一環として日本政策投資銀行首都圏企画室の大西氏・神田ほかで家守事業に実績のあるアフタヌーン・ソサエティ代表の清水氏による家守事業についての講演も行われた。

↑霞ヶ関合同庁舎で行われた「大都市等の魅力ある繁華街の再生のための連絡調整会議」終了後に駆けつけた香西新宿区歌舞伎町対策担当副参事も、このビルオーナー等連絡協議会の最後に歌舞伎町ルネッサンスの推進に関する説明とビルオーナーおよび警察関係への協力体制の重要性を語った。

 

家守(やもり)事業

空きテナント・空きビルをマスターリースし、これを地域まちづくりのビジョンにてらしあえわせ、たとえばSOHOから飲食店などを誘致、サブリースをする中間業者。一見不動産業となんら変わりないように見えるが、ここに地域まちづくりのビジョンをもつという点が大きな違いといえる。また、地域のニーズ次第でビルごとや再開発にたいしてもコンサルタント的な役割をする場合もある。

家守(やもり)は、元禄江戸の長屋話によくでてくる大家のことで、かつては管理人でありながら商売の手ほどきもするという存在だった。歌舞伎町にとっては2人の偉大なる喜兵衛(浅草安部川町の喜兵衛=元禄11年、内藤新宿に新しい宿場町を誘致、その意をこめて新宿と呼んだ。もう一人が鈴木喜兵衛=昭和20年代、歌舞伎劇場の誘致を目指し地主・借地人・住人等が一丸となって戦後の復興に取り組んだときの町会町)から、このプロジェクトをKIHEIプロジェクト(Kabukicho International Hotspot of Entertaiment Industries)と呼ぶことにしている。

現在歌舞伎町では、映画街再生による再開発を軸にまちづくりをすすめていく予定だが、中山弘子新宿区長いわく「この街のDNAは大衆芸能、歌舞伎町は新しい文化・大衆芸能の創造・企画・生産のまちづくり」ということで、一言で言ってしまえばブロードウェイを目指すというのが大きなコンセプトになっている。したがって、ミニシアター・小劇場からプロダクションのオフィス、工房やアトリエ、劇団やライブハウス・スタジオなどの誘致を目指す。

ただ、最近の家賃相場の低下傾向(風俗をあてにした坪5~10万というレベルから、今では坪0.75~2・3万くらいまで落ちてきている)によって、賃貸物件の飲食店が歌舞伎町でも採算が取れるラインになってきたのか、新規出店が目に付き始めている。出店は、そとからの投資が多いが、歌舞伎町内で風俗店やキャバクラをやっていた業者が飲食店をあらたにはじめたり転用したりという案件もある。こういった傾向を加速させるような事を考えるのも、白看板対策には効果的なのではないか。

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個人的な意見ですが、あくまで「法」にのっとってというと、世の中の実態には本当に違法なものがあふれているというのを感じます(良し悪しは別にして)。たとえば性風俗関連の客引き・ボッタクリは非常に顕著に摘発対象になっていますが、街頭で道路使用許可を得ずに客引きやチラシ配布をしている居酒屋店やカラオケ店は多く、またこれらの客引きエリア争奪によるトラブルも後を絶ちません。プチボッタといって、会計トラブル(1000円で飲み放題といったのに、中に入ったら一品とらないとダメとか程度だが)なども耳にします。まぁ、その金額でどの程度遊べるのかっていう判断が客側にあってもいいんじゃ?と思ったりもします。客も節操なくて、安いと思うと予約してようが入室済みだろうが平気でキャンセルする。。^^;ただ、こちらの業界はあくまで自主規制で問題解決をはかろうとする動きに期待のようです。

性風俗関連では、ヘルス・ソープに関してサービス内容の実態はあくまで違法なのは周知の通り。ここを認めているのは法律の解釈、たとえばソープはあくまでサービス嬢の個室内における自由恋愛とかって解釈だそう、店舗はサービス嬢に部屋を貸しているだけということらしいです。とはいえ、性風俗という産業は人類史上最初の職業とかっていうぐらい昔から当たり前のように存在し、これからも決してなくならないでしょう。歌舞伎町においても同じく、また既得権で60年の風営法改正前に駆け込みで開業した店舗型性風俗店は会社売買をすることで転売され、あるいはまた貸しされ実質建物が朽ちるまで残り続けるでしょう。地域において、風俗も観光資源という考え方と、家族ずれやその他の遊興施設にくる客の妨げになっていて地域の活性化にはならないという考え方とここは議論が絶えずあります。また風俗業界は社会的に発言力が弱く、政治団体もなく結集力もない業界だけに常に政治的弱者であるという点は否めません。矢面にたって、主張する方はいませんからね。もちろん、組織犯罪や暴力団の資金源になってるというのであれば排除はあたりまえですが、経営者の中にはそうじゃない方々もたくさんいます。ただ、確かに目に付きすぎる、目立ちすぎというのはありますが、、看板のセンスとか^^;

こうした法の運用の濃淡が常に付きまとう業界だけに、都条例の改正、風営法の改正、そして今後も条例改正によって何かしらの規制をかけていく部分、逆に良かれと思えば規制緩和というのもありうるのかもしれませんが、少なくとも今現在、そして改正条例・改正風営法施行後の警察による法の運用がどういう形で現れるか。ここらへんが本当の意味で「歌舞伎町浄化」の向かおうとする姿をはっきりと示すのではないかと思っています。

ニューヨーク・タイムズスクエアの浄化・再生、ジュリアーニ市政に学ぶ歌舞伎町の再生へのヒント

↑以前書いたニューヨーク・タイムズスクエアの浄化・再生に関するブログの最後に書きましたが、景観の規制に対する権限委譲、もしくはそれをTMOに与えるということが必要な局面がくるのではないかと。。


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