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東宝㈱、新宿コマ劇場・新宿東宝会館跡地再開発計画(新宿東宝ビル)を発表、2015年春竣工(予定)基幹テナントはワシントンホテル(9-31階)と最新鋭シネコン(3-6階)地上31階建高さ130m [まちづくり]

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2011年7月11日、東宝株式会社は、新宿コマ劇場・新宿東宝会館跡地再開発計画(新宿東宝ビル)の発表を行った。(↑は新宿東宝ビル完成想定図。セントラルロード側南西から見たパース)2015年春の竣工予定、基幹テナントは3階~6階はTOHOシネマズ株式会社による最新鋭シネマコンプレックス(12スクリーン、約2,500席)と9階~31階にワシントンホテル(約1,030室、シングル855室・ツイン175室を予定)、地下1階地上31階建、高さ130mの建物となるとのこと。設計・施工は竹中工務店、事業予算(所要資金)は約232億円を予定、全額東宝の自己資金で賄う。以下、プレスリリース。

2011年7月11日
新宿東宝ビル開発計画について
―新宿コマ劇場・新宿東宝会館 跡地再開発―
東宝株式会社

1956(昭和31)年12月に開業しました新宿コマ劇場と、1969(昭和44)年オープンの新宿東宝会館は、共に新宿歌舞伎町のシンボルとして、多くの来場者の方々にお越しいただきました。しかしながら、建物・設備の老朽化が進んだことで、防災面・安全面を鑑み、両施設の一体的な再開発事業に取り組むことに決めました。2008(平成20)年11月7日に映画館の新宿プラザ劇場が閉館、同年12月31日をもって新宿コマ劇場が閉館し、現在は解体工事を行っています。その間、再開発計画の策定を進めてまいりましたが、この度、ホテルとシネマコンプレックスを核にした、複合ビルを新築することが決定しましたので、ここに発表いたします。
歌舞伎町は以前よりエンターテイメントの中心地であり、日本のみならず世界の人々にも親しまれてきた街です。当計画に対する弊社の思いは、新宿区のまちづくりビジョンである「エンターテイメントによる歌舞伎町の活性化」とも合致しており、地域の発展に寄与することを第一に考えました。世界的な繁華街に相応しい大規模ホテルにつきましては、全国にホテルを展開されている藤田観光株式会社様と、ご出店に関する基本合意をいたしました。地上130mまでそびえる1,000室規模の超高層ホテルは、文字通り歌舞伎町のランドマークとなることでしょう。
エンターテイメントの中心として計画するシネマコンプレックスは、弊社子会社のTOHOシネマズ株式会社が、最新鋭の設備を備えた12スクリーン・約2,500席の観賞環境を整えて、最良のコンテンツを皆様にお届けします。いまから4年後、2015年春の竣工・オープンに向けて、東宝グループの総力を結集し、再開発計画に取り組む所存でございますので、これまでより一層のご支援のほど、宜しくお願い申し上げます。

新宿東宝ビル開発計画(新宿コマ劇場・新宿東宝会館 跡地再開発)の概要

1.施設計画の概要
建築地     東京都新宿区歌舞伎町1丁目19-1,2
地区・地域   商業地域・防火地域 他
建蔽率・容積率 80%(角地・耐火100%)・900%
敷地面積    5,588㎡(1,690坪)
建築面積    4,137㎡(1,251坪)・・・建蔽率74%≦100%
構造・規模   鉄骨造(一部SRC造)・地下1階、地上31階、塔屋2階・高さ130m
延床面積    容積対象 50,292㎡(15,213坪)・・・容積率900%≦900%
              延床面積 55,390㎡(16,755坪)
※構造・規模、建物面積については、設計の進捗に伴い、変更する場合があります。

【主要用途】   9~31階 ホテル(約1,030室)
           3~ 6階 シネマコンプレックス(12スクリーン、約2,500室)
           低層階  飲食店舗ほか

◆ホテル   藤田観光株式会社:ホテル部分を賃貸し運営する
        フォーシーズンホテル椿山荘東京、箱根ホテル小涌園、ワシントンホテル等を全国43ホテル展開(2011年現在)
◆シネコン  TOHOシネマズ株式会社(東宝㈱の100%子会社)
        ・シネマコンプレックス部分を賃貸し運営する
        ・全国62サイト/568スクリーン展開(2011年7月現在)
        
※上記は共同経営(5サイト・56スクリーン)を含む

2.事業スケジュール(予定)
2008年11月 7日 新宿プラザ劇場(映画館)閉館
     12月31日 新宿コマ劇場 閉館
2011年 3月10日 解体・新築工事開始(工事期間 約4年)
2015年 春      新築工事竣工、全館オープン

3.事業主体  東宝㈱、㈱コマ・スタジアム(東宝㈱の100%子会社)
4.所要資金  約232億円(予定)


NEWS RELEASE【開業施設案内】
藤田観光株式会社 2011年7月11日

2015年(春)開業予定 新宿駅東口の新たなランドマーク
新宿東宝ビル ワシントンホテル(仮称)
◇旧コマ劇場跡地にそびえる1,000室の超高層ホテル

藤田観光株式会社(本社:東京、代表取締役:末澤和政)は、2011年7月11日(月)に東宝株式会社(本社:東京、代表取締役:島谷能成)と、同社が新宿歌舞伎町に建設を予定している新宿東宝ビル内での新宿東宝ビル ワシントンホテル(仮称)出店に関する基本合意書を締結する運びとなりました。
今回、当社が出店を計画しているのは、新宿駅東口の中心である旧コマ劇場跡地(住所:東京都新宿区歌舞伎町1丁目19番1,2号)に、2015年の春に開業が予定されている新宿東宝ビルの9~31階です。同ビルは、地上130m(31階建て)と近隣の建物の中ではひときわ高く、完成すれば新宿駅東口の新たなランドマークとなります。
計画段階で、ホテルの客室数はシングル855室、ツイン175室を予定。ビジネス・観光・レジャーなどお客様のそれぞれの目的に応じ、くつろぐながらもお楽しみいただける空間をご提供いたします。
新宿駅は、乗降客数・企業数・従業員数など全てにおいて日本一の規模を誇ります。当社は、すでに駅西口に新宿ワシントンホテル(客室数全1,633室)を経営しており、本計画と合わせると“東西”客室数の合計が2,600室以上、新宿地区で業界最大の客室数を保有することになります。ビジネスホテルからラグジュアリーホテルまで幅広く手掛ける当社の運営ノウハウを活かし、日本一のマーケットである「新宿」において更なる集客と事業の拡大を目指します。

【新宿東宝ビル ワシントンホテル(仮称)出店計画概要】
所在地    :新宿区歌舞伎町1丁目19番1,2号
開業予定  :2015年春(予定)
施設概要  :新宿東宝ビルの9~31階部分
仕様:客室数:1,030室を予定(シングル855室、ツイン175室)
客室面積  :シングル17.6㎡、ツイン23.6㎡


2011年7月11日
TOHOシネマズ株式会社

「TOHOシネマズ新宿」2015年 春 オープン決定
~都内最大級の最新鋭都市型シネマコンプレックスの誕生~

TOHOシネマズ株式会社は、新宿コマ劇場・新宿東宝会館跡地の新宿東宝ビルに、都内最大級の最新鋭シネマコンプレックス「TOHOシネマズ新宿」をオープン致します。

「TOHOシネマズ新宿」は、全12スクリーン約2,500席と都内最大級の規模を誇り、これまでのシネマコンプレックスの運営で得たノウハウを取り入れることで、規模・設備に留まらず顧客満足度の高い、ハード・ソフトの両面で最高品質のシネマコンプレックスを目指します。新宿という多種多様な人々が集う街に相応しく、上映ラインアップはハリウッドの大作や人気の日本映画に加え、単館系と言われるアート作品や韓流などに代表されるアジア映画、日本が誇るアニメ作品などバラエティに富んだ上質の作品を提供し、さらにデジタルプロジェクターの特性を生かしたコンサートや演劇、スポーツなどのライブビューイング(生中継上映)なども積極的に取り組んでまいります。

今後とも、より一層のご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

【施設概要】
・名称     TOHOシネマズ新宿(仮称)
・スクリーン数 12スクリーン(全スクリーンにデジタルプロジェクターを導入)
・総座席数   約2,500席
【TOHOシネマズ株式会社】
・拠点数    全国62サイト・568スクリーン(2011年7月現在)
・2010年実績  動員数4,036万人・興行収入529億円
※上記は共同経営(5サイト/56スクリーン)を含む

八丁地.jpg藤田観光株式会社常務取締役企画本部長・八丁地園子氏

まず、計画の基幹テナントとなるワシントンホテル(仮称)について、藤田観光・八丁地常務は「新宿という場所柄から、ビジネスのお客様も、観光のお客様、レジャーのお客様など、いろいろな目的のお客様を想定しております。ワシントンホテル、これは仮称でございますが、ワシントンホテルのイメージですと、ビジネスのお客様だけと思われる方もいらっしゃるかもしれませんけど、私どもとしては、観光の方もレジャーの方も楽しんでいただくというふうなことを考えています。」

とくに、新宿・歌舞伎町と言う繁華街の中心に位置する事から「新宿東宝ビルさんという、エンターテイメント主体のビルの特徴を活かしまして、それぞれのお客様に快適に、且つお楽しみいただける、こういうホテルになることを、今後検討していきたいと考えております。まだまだ、アイディアレベルでございますけど、私自身、東宝様がお持ちになるコンテンツと融合した展開というのに、大いなる可能性を感じております。両社の強みを活かしまして、ここでしかできないサービスというのを、皆様にご提供できれば、と考えております。」と、これまでの藤田観光の経営するホテル群とまた違った特徴のある運営を考えていることを明かした。。ここにある“両社の強みを活かしたここでしかできないサービス”とは、例えば、映画のキャラクタールームのような、新しい付加価値で健全な楽しさを目指すということを考えているという。「2015年、あと4年先の事なので」と、ソフト面についても、あるいは部屋の価格帯などについてもこれから検討をしていくとのことだった。

中川敬.jpg東宝株式会社専務取締役・中川敬氏

永らく歌舞伎町の中心であったコマ劇場、所謂“ナマモノ”の舞台を作ることは、最初から想定していなかったという。最盛期は年間100万人を動員したコマ劇場も、閉館の頃には年間30万人まで減少、また、演劇関係者からの歌舞伎町に対するネガティブなイメージはぬぐえず、“コマ劇復活”という地域の期待は儚くも消えたわけだが、さて、その上で、コマ劇閉館の頃には会社として否定的だった新宿東宝ビルに映画館(シネコン)を導入することについてなのだが、東宝・中川専務は「新宿地区の映画興行規模が急速に回復して、大きくなっている。もうひとつは、歌舞伎町活性化の可能性が生まれてきたこと、この二つの理由があげられる。」と言う。

「現在の新宿の映画興行は、新宿バルト9と新宿ピカデリーの2つのシネマコンプレックスを核に既存館を合わせ、34のスクリーンで形成されています。新宿地区の興業マーケットは、93年に、日本初のシネマコンプレックスが誕生するまでは、年間600万人、興業収入80億円をあげる日本最大の興業街でした。そして、その6割以上、350万人、興業収入50億円が歌舞伎町からのものでした。それが、2004年には、都心近郊に数多くのシネマコンプレックスが誕生したため、新宿地区全体で、入場人員が300万人、興業収入が41億円まで、約半分の規模まで縮小しておりました。当社の、新宿プラザ劇場の最盛期興業収入は10億円を超えていましたが、2004年には3億6千万という非常に厳しい数字でした。こうした状況から閉館を決意したわけですが、最近では、2007年2月にオープンしました新宿バルト9と、翌年の2008年1月にオープンしました新宿ピカデリーの二つのシネコンが牽引車となりまして、映画ファンが新宿に戻りはじめております。昨年2010年の成績ですが、入場人員が482万人、興業収入が72億円の規模まで回復しております。その結果、週末、2つのシネコンでは、座席数が足りないぐらい活況を呈しております。地区全体としては、まだ伸びる可能性があるというふうに思っております。私たちの3つめのシネコンが誕生しても、既存の2つのシネコンと共存できると判断し、今回のTOHOシネマズの出店を決意した次第です。新宿で映画を見るお客様の観賞環境の改善にもつながるという風に考えております。」

また、現在まで、新宿区・中山区長が中心となって進めてきた歌舞伎町ルネッサンス活動のまちづくりについて評価しながら、「東宝としましては、再度、歌舞伎町において、映画興行に挑戦しようと思いましたもう一つの理由は、歌舞伎町が変わる可能性が生まれ始めていることです。冒頭にも説明しましたように、新宿区をはじめとする地域の皆さんの、歌舞伎町を変える、出来るだけ多くの人に訪れてもらえる、安心・安全なまちづくりを目指したいという熱意の高まりも、映画館を再度決意した大きな理由です。靖国通りから、歌舞伎町へ通ずる、セントラルロードの環境美化に関しても、積極的に取り組んでいただける機運も生まれているというふうに思います。映画興行は、半数以上が女性のお客様です。興業的なリスクがまったくないわけではありませんが、TOHOシネマズとしては、変わろうとしている歌舞伎町の活性化に貢献する意味でも、再び、歌舞伎町において、映画ビジネスに挑戦しようと考えた次第です。」と中川氏。 

「私どもとして、一番行政の方とお話しているのは、靖国通りから、今回の建設の土地に通ずるセントラルロード、これをどれだけ環境美化していただけるか、これを大きくお願いをしている。それが変わり始めれば、ずっと奥のほうも、その方向で変わっていくんじゃないかなと、期待しております。」と、変わっていく歌舞伎町への期待とは裏腹に、なかなか変わっていかない街の体感治安、セントラルロードの環境美化(浄化)について、この課題の見通しが、事実上ビジネスとしての投資リスクとなっていたことをにおわす。ここは重要なポイントである。会見後、藤田観光の八丁地常務と話をしたのだが、この点は強く指摘された。ホテルにやってくる人たちが通る道であり、TOHOシネマズの劇場に来る人たちの大半が通る道でもあるセントラルロード、実際の状況は、一般の歌舞伎町に慣れていない女性には、とても一人で歩けるものではないのは明らかで、東宝も藤田観光も非常に懸念はしているところ。仮称ワシントンホテルのユーティリティ面において、歌舞伎町の環境とその影響下に当然おかれる客層の見込みによっては、例えば料金設定は安価なのか高級感のあるものを考えるのか、サービス面での質的な部分でも、あくまでシングルルーム的なホテルになるか、あるいは、単なるビジネスホテルなのか、或いは、シングルとはいえダブルベッドのある2名でゆったり泊まれてというもう少しラグジュアリー面の充実したものにしていくか、今後の歌舞伎町の在り方とホテルの方向性や仕様が「深くかかわってくると思う。」と八丁地氏。

中川氏の言う「歌舞伎町へ通ずる、セントラルロードの環境美化に関しても、積極的に取り組んでいただける機運も生まれている」と、しかし、この言葉は会見場の社交辞令であることは明白で、これは例えばこの4月にスタートしたセントラルロード入口の青灯交番(関連記事)をさしてものだが、会見後、中川氏も二丁地氏も、その客引き対策が、まだまだ“形だけ”であることを認識しており、それが、今後、街との協力の中で、如何に、形だけではないものに変えていけるか、ここがビジネス面でのリスクヘッジにおいて重要なポイントとなる。

以前書いた“新宿コマ劇場・新宿東宝会館解体工事、3月10日より開始”でも触れたが、“これからの歌舞伎町・50年先を見据えた、『新生』歌舞伎町"RE:BORN"のignition【導火線】”となりえるように、というのは事実であり、いずれにせよ、街の人たちからは「これで一つの目安ができた。」と言う声も聞かれ、ひとまず、街が動き出す大きなきっかけにはなると思われる。という反面、地下1階から地上2階部分は「飲食等」となってはいるものの、実際の入居等はまだまだ先で不透明であると同時に思わぬ方針変化もあり得る気がするし、それも一つの自由度である上に、今回の計画の予算(所要資金)は232億円(前出記事にて自分の予想は250億以下)というのは、やはり20年焼却を目標とした投資規模に落ち着いたということであり、その背景は、つまり東宝は、歌舞伎町中心区域の再生において、まず先に走り始めた風に見えて、ある部分では、今後の歌舞伎町の変化具合や、近く閉館も予想される東急レクリエーションの新宿TOKYU MILANOの計画はどうなるのか、HUMAXは、或いは西武鉄道のプリンスホテルやPePeの行方、パチンコ店出店の噂(第一東亜ビルをマルハンが購入気配)などの動き次第では、次の手を20年以内に、または竣工に至る前にであっても、もう一度打てる策を抱える“したたかさ”があるようにも思える、そんな今回の発表だった。

DSC_8032.JPGなお、今回の、東宝㈱および藤田観光㈱による“新宿東宝ビル開発計画”会見について、新宿区長・中山弘子氏は以下コメントを寄せている。「本日、東宝株式会社より、旧新宿コマ劇場・新宿東宝会館跡地の開発構想が発表され、新宿・歌舞伎町のランドマークとなる施設建設が緒についたことを大変嬉しく思います。平成20年末の新宿コマ劇場閉館以来、区は、東宝株式会社に対し、大衆文化の創造や発信、賑わいづくりに寄与する施設の建設を要請してまいりました。今回、東宝株式会社より発表された開発構想には、シネマ・コンプレックス形式の映画館、ホテル、飲食店などが予定されており、区の目指すまちづくりに十分配慮いただいたと考えております。今後、区は、この計画に対して地元・事業者、歌舞伎町タウン・マネージメント、関係行政機関等とともに連携・協力し、事業が円滑に進められるよう努めてまいります。そして、引き続き、来て、見て、楽しい「エンターテイメントシティ・歌舞伎町」を実現していきたいと考えております。」(中山区長)


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