SSブログ

4月17日 第4回歌舞伎町喜兵衛プロジェクト会議 [KIHEI]

 4月17日、新宿区役所庁議室において歌舞伎町喜兵衛プロジェクトの第4回目の会議が行われた。今回の会議から、区役所歌舞伎町対策担当が前任の香西副参事から平井副参事に変わったということで、平井副参事の初出席の喜兵衛プロジェクト会議になった。

まず、歌舞伎町でワークショップ型のミニシアターを事業として立ち上げたいという喜兵衛プロジェクトに対しての問い合わせがあり、これについて申し込まれた希望者からの事業の説明が行われた。日大芸術学部卒で、在学中から映画研究会に所属し、現在もフリーでテレビの情報番組やドキュメンタリー番組を制作しているという方で、仲間数人で、歌舞伎町に映画やドキュメンタリーを作るクリエイターの拠点を作り、且つ、そこをミニシアターとして運営したいといった趣旨のもので30坪程度の物件を探しているということだった。

フィルム上映にこだわるわけではないようで、テレシネしたデジタル素材の上映をプロジェクター等によって考えているとのことで、したがってそれほど広さ、天井高などを求めていない。また、仲間に多くの映画やドキュメンタリー制作関係者がいるので、こういったグループでワークショップとしても機能するようなスペースで賃料の上限は50万程度の範囲で申し込まれた。喜兵衛プロジェクトとしても、こういった事業の誘致はまちづくりのビジョンにも沿い、大いに歓迎ではあるということで会議にも呼ばれたわけだが、現実劇場となると興行法などの関係で、消防設備や環境衛生的な規制が絡んでくるケース、またその他の内装・音響等の条件面などで今後詰めていくことになるだろう。

新年度(18年度)最初の喜兵衛プロジェクトということで、17年度の喜兵衛プロジェクト立ち上げから約半年の成果報告と18年度の課題についてアフタヌーンソサエティの清水社長。

家守事業について、それぞれの方によって捉え方に幅があるようでやや混乱しているように感じる。家守事業は空き室対策事業としての側面、これは確かにコア事業ではあるが、ただし空き室をタダ埋めればいいという問題でもない。たとえば、活性化プロジェクトでやられている歌舞伎町のイメージをイベントなどで変化を伝えて行くというのも非常に関連性が深いし、また歌舞伎町の性風俗産業に変わる新たな都市型産業をどう集積していくのかというのも空き室対策の根本的な課題であるし、再開発も含めてのまちづくりも関係が深いことだと考えている。小さいことから、中程度、大きいことも含めて、街の人たちやビルオーナーの方々が意識を大きく変えてもらって、外部のプロフェッショナルが協働してすすめていくのが家守の事業の全体像であろう。空き室対策もしていくが、それはあくまでごく一部の事業であり、喜兵衛プロジェクトはややおせっかいにでも活性化プロジェクトやまちづくりのプロジェクトと連動して、お互いにのりしろをつくってやっていく、縦割りではうまくいかないと考えている。

大まかに言って、歌舞伎町1・2丁目は大分異なる賃貸状況がある。歌舞伎町一丁目は、白看板が目立つといっても、問題案件・風俗ビル以外でかなりの高家賃水準で仲介が行われている。2丁目の方は、空室ができるとなかなか埋まらない状況が続いている。新宿以外の外部から見ても月坪当たりの家賃水準がかなりリーズナブルな水準になりはじめている。空室状況についての本来的問題は、2丁目の方が深いと思われる。そこで、1・2丁目それぞれ違った対応、対策が必要だろう。

1丁目については、リート、ファンドなどに対抗できるような、志のある地域ファンド組成や、近未来に計画している四葉会の再開発と1丁目の商店街のあり方は密接に関わりあう。将来的にどんな街にしていくのか、エリア全体で志のあるビルオーナーとともに、立場を越えてビジョンを考えていく時期に来ているように思う。問題案件については、通りだけでなんとかという問題ではなく、エリア全体で取りくみ、しっかりとしたエリアマネジメント組織をつくっていくというのが課題となる。2丁目については、林氏の風林会館を実験的に使い始めるということをやり始めた。その中で、CLUB FRからスタートし、稽古場需要が非常に高いということがわかってきた。目下、林氏とも相談しながら風林会館にはそれ以外でも利用度の低い空間が多いので、SOHOなどのいろいろスタディを開始しているところである。歌舞伎町2丁目については、バービルだけでなくオフィスビルの空き室も増加しており、家守型がぴったりはまるようなテーマがでてきているので、空いている場所を有効利用しながら歌舞伎町の新たな産業をになっていく人や企業を呼び込むことを積極的にやっていきたいと考えている。このあたりについては、歌舞伎町商店街振興組合、二丁目町会からニーズをよく伺いながら、この会議で成果を見せられるよう汗を流すことを中心に今年度は進めていきたいと考えている。

都市再生の計画づくりにおいて、敷地のハッキリした四葉会のやり方と、少ない敷地の連帯している歌舞伎町1・2丁目とはやり方は異なる。現在、都内で建て替えが圧倒的に進んでいる繁華街は銀座である。通称銀座方式と呼ばれているが、銀座の場合は地区計画と関係付け、その中で通りをどう作っていくのか、敷地を建物を建てるときに数十センチセットバックし、建物のラインが並ぶようにしましょうとか、ある程度の規模の用地になると駐車場付置義務があるので、それを敷地の中ではなくエリアの中で飛ばしを条件を精査したうえで認める、ただしその場合一台200万円の負担金が発生する、そういったことを含めて1,100%の容積率があって、これが実際に建て替えの促進材料になっている。銀座という街のパワーがあり、ブランドの進出などもあり、といったことが作用してのことであるが、歌舞伎町が魅力的な場所でなければ、いくらそういった措置をとったとしても、今のように、容積があっても結局余ってしまう。四葉会を中心に、これから歌舞伎町をどういう街にしていくのかということをビルオーナーは真剣に考えていかなくてはいけない時期に来ているのではないか。」

喜兵衛プロジェクトは、確かに空き室対策がコアな事業であるが、根本的な空き室対策としては性風俗に変わる産業集積をどう進めながら、また街の向かうビジョンを明確に示し、地域ビルオーナーが意識を変え、みんなで志を共有しなければすすまない、ということを強調していた。

一方で、現実的に空き室対策の成果を生む仕掛けとして、喜兵衛プロジェクトの扱う不動産物件のポータルサイトの立ち上げについても議論があった。現実としては、歌舞伎町における不動産業者からの協力はまだまだである。スペーストラストがこのプロジェクトに最初からかかわり、月一回物件ツアーを行っているが、こういった不動産業者の協力体制、あるいは意識改革が今後の課題となっていくのだろう。今回のミニシアターのプランのような、問い合わせ・申し込みは増えつつある。しかし、それらとマッチングできる空き室情報がまだまだすくない。実際には、最近の傾向として事務所・住居も空き物件は増えているようで、そういった情報を集め、店舗以外にも事務所・住居などに分類・整理して応募をかけていくといった手法も検討していくことになる。

喜兵衛プロジェクトに関するお問い合わせ先

  • 新宿区役所企画政策部歌舞伎町担当 平井光雄副参事 ℡03-5273-4235
  • なお、喜兵衛プロジェクト定例会議は毎月第三月曜。空き物件ツアーは毎月第三月曜の17:00区役所ロビー集合にて開催

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

歌舞伎町を見回したとき、白看板は目立つのに、なぜ空き室情報として出てきにくいのか?

これには、一つには歌舞伎町の持つ独特の産業構造がある。歌舞伎町は、言ってみれば昔から水商売や風俗産業の家守をやってきた街。ビルオーナーのテナントに対し、保証金を払って一次賃貸があり、ここで内装した上で、たとえば保証金を下げ、家賃を高めに設定し、二次的な転貸を行う。なかには、バーなら酒屋を紹介したり、風俗なら経営ノウハウの何がしを提供するなど家守的な機能が中間に存在、そんないわゆる「また貸し」が深く根付いた街ということがあげられる。つまり、末端のテナントが居なくても中間のまた貸し業者が存在し、ビルには賃料が払われているというケースも多い。しかし、現実には、単純に暴力団のミカジメ的なサヤ抜きとしてのまた貸しであったり、性風俗店の場合は既得権の利権による莫大な中間マージンがあったり、なかには3重4重構造のまた貸しが存在し、これが家賃水準をなかなか下げ止まらせる原因にもなっていたり、暴力団のインフラにもなっていたりする。末端の賃貸者が居ないことで、転貸者がビルオーナーに物件を返す傾向が出てきているため、徐々に、この問題は解消されつつあるようだが、こういった産業構造にのっかって飯を食べてきた人たちも歌舞伎町には多い上に、ビルオーナーも体力がないときに保証金を返さなくてはならない状況に追い込まれ、結果としてビルを手放さなくてはならないというケースもある。状況は決して甘くない。如何に、まちづくりの方向にコンセンサスを集中させ加速させるかが最大の課題なのではあるが。

    

スペーストラスト(℡ 03-3200-5225)のコーディネートによる歌舞伎町1・2丁目をまわった空き物件ツアーの様子(4月17日実施)。だいたいが20坪前後のクラブ内装物件、賃料単価が2万円/坪くらいの中間階物件が主であったが、中には2丁目のルネッサンスビル(B1は元ホストクラブ、60坪:写真左下)のような大箱や歌舞伎町1丁目のメインストリートであるセントラルロードに面したスケルトン物件(プレーンシティ新宿ビル5F 24坪で賃料63万:写真右下)といった物件もあった。


喜兵衛プロジェクトの会議・物件ツアーのあとに風林会館によってみた。現在、風林会館ではシアターアプルでの東京ギンガ堂公演「夢~歌舞伎町物語」(脚本・演出 品川能正 制作発表記者会見の模様)の舞台稽古が行われている。稽古場需要ということで、このセッティングも喜兵衛プロジェクトと風林会館の林氏の協力で実現した。

鈴木喜兵衛役の江口信さんと耿忠(コウ・チュウ)さんの演技指導をする品川氏(右端)

 

↑舞台イメージの絵コンテ

←若手の役者さん達は、自分の出番以外でも真剣に他の役者さんの稽古を見つめていた。戦後の鈴木喜兵衛氏のおこなったまちづくりを品川解釈で描いているこの演劇であるが、本人達は短い決まった期間だけのことで、おそらくそんな意識はないかもしれないが、いってみればこうして演じている一人ひとりの役者さんやそれを影で支えるスタッフ達みんなが、今の歌舞伎町のまちづくりを実践する担い手なのだ。風俗が主役だった歌舞伎町をブロードウェイのような街にするというのであれば、こういった方たちや企業が地道に活動を重ねてこの街の主役に躍り出られるような環境を作っていかねばならない。

「夢~歌舞伎町物語」は5月17日(公演は21日まで)にシアターアプルにて公演本番を迎える。この稽古は、本番初日前日までここで行われていることになっている。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0