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第78回 米アカデミー賞発表!最優秀作品賞は「クラッシュ」 [映画・演劇・ライブ]

アメリカ・ロサンジェルスのコダックシアターで5日(日本時間6日)に開催された映画界最大の祭典、第78回米アカデミー賞の授賞式。日本からも宮崎駿監督作品「ハウルの動く城」が長編アニメーション部門にノミネート、受賞が期待されていたが、今回は賞を採るに至らず。なお、米アカデミー賞は映画関係者等でつくる映画芸術科学アカデミーの会員による投票で決定。

さて、受賞作品を紹介すると、

作品賞/脚本賞/編集賞/ 「クラッシュ」

監督・原案/ポール・ハギス 出演/サンドラ・ブロック ドン・チードル マット・ディロン

脚本/ポール・ハギス ボビー・モレスコ 編集/ヒューズ・ウィンボーン

ロサンジェルスのハイウェイで起こった自動車交通事故をきっかけに、アメリカの黒人・アラブ系ほか複雑な有色人種間の問題を鋭く、しかし淡々と描いた社会派映画。見終わった後、アメリカに巣食う根深い社会問題をつくづく考えさせられる。

日本人の自分でさえ「クラッシュ」を見たときのやるせない気持ち、おそらくアメリカ人にとってはより胸をえぐられる想いがあるのではないか。いい意味にとれば、そんな作品にオスカーを与えるアメリカ映画界の寛容性ともいえるが、一方で今でこそアメリカを代表するセレブ界ともいえるハリウッドも、元はといえばユダヤやイタリア系移民を中心とした被差別側の人たちだからこそ寛容になれるのか、セレブだからこそ高みから寛容な立ち振る舞いを演じられるのか。「じゃぁ、どうすればいいのか?」と問われても答えの出ないやるせなさが映画全体に漂う。「ミリオン・ダラー・ベイビー」もかなり心に痛い映画だったが、その脚本を書いたポール・ハギスの初監督作品である。

2月11日よりシャンテシネ・新宿武蔵野館ほか全国ロードショー:配給/ムービーアイ

 

監督賞/脚色/オリジナル音楽賞/ アン・リー「ブロークバック・マウンテン」

監督・製作総指揮/アン・リー  脚色/ラリー・マクマトリー ダイアナ・オサナ 出演/ヒース・レジャー ジェイク・ギレンホール

ワイオミング州ブロークバック・マウンテンの雄大な景色を背景に、二人のカウボーイの20年にわたる秘められた禁断の愛を描いた作品。

3月4日よりシネマライズ、3月18日より全国ロードショー:配給/ワイズポリシー

 

主演男優賞/フィリップ・シーモア・ホフマン「カポーティ」

監督/ベネット・ミラー 脚本/ダン・ファターマン 出演/フィリップ・シーモア・ホフマン キャサリン・キーナー

「ティファニーで朝食を」で知られる作家トルーマン・カポーティが、犯罪ノンフィクションという新たなるジャンルの開拓した作品「冷血」を書き上げるまでの6年間を描いた伝記的映画作品。

2006年下半期公開予定:配給/ソニー・ピクチャーズ

 

主演女優賞/リーズ・ウィザースプーン「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」

 

監督・共同脚本/ジェームズ・マンゴールド 出演/ホアキン・フェニックス リーズ・ウィザースプーン

1950年代、エルビス・プレスリーとともにロカビリー黄金期を築いたジョニー・キャッシュと、彼の運命の女性ジューン・カーターとの10数年に及ぶ愛の軌跡を描いた作品。

2月18日より銀座テアトルほか全国ロードショウ:20世紀FOX配給

 

助演男優賞/ジョージ・クルーニー「シリアナ」

監督/スティーブン・ギャガン 製作総指揮/ジョージ・クルーニー 出演/ジョージ・クルーニー マット・デイモン ジェフリー・ライト アマンダ・ピート 

映画の基になったのがベストセラーになった大元CIA工作員によって書かれたアメリカ・オイルマネーの内幕を描いた暴露本であるだけに、内容も終始緊張感が漂うサスペンスになっている。石油をめぐるアメリカと中東とテロの本当の関係を描いている。

3月4日より渋谷東急系ほか全国ロードショー:配給ワーナー・ブラザース

 

助演女優賞/レイチェル・ワイズ「ナイロビの蜂」

監督/フェルナンド・メイレレス 原作/ジョン・ル・カレ 出演/レイフ・ファインズ レイチェル・ワイズ

アフリカのケニアを舞台に、弁護士で救援活動家の妻(レイチェル・ワイズ)。彼女は現地での活動のなかで「ある疑惑」を掴むが殺される。イギルスの一等書記官の夫(レイフ・ファインズ)は、やがてそれが製薬会社の陰謀だと気づく。

中東のオイルマネーの闇を描いたのが「シリアナ」なら、アフリカを舞台に製薬会社の闇を描いたのがこの「ナイロビの蜂」。中東は石油が資源だが、いわばアフリカには安く買えてたくさんある「命」が一種の資源、とでもいうかそういった闇を描いている。個人的には、シリアナより何倍も深い作品。

8年くらい前だったか、イギリスでは有名になりかけてたレイチェルが渋谷でのイベントに来たことがあった。そのときも、若くも妖艶な美しさに目を奪われたが、その彼女がついにオスカーですか。^^スゴイ!

5月中旬より丸の内プラゼール系ほか全国松竹・東急系にてロードショー:配給/GAGA USEN

 

長編アニメーション賞/「ウォレスとグルミット/野菜畑で大ピンチ!」

3月18日よりシネカノン有楽町・アミューズCQNほか全国ロードショー(配給/アスミック・エース)

衣装デザイン賞・美術賞・撮影賞/「SAYURI」

監督/ロブ・マーシャル 出演/チャン・ツィイー 渡辺謙 ミシェル・ヨー 

 

録音/音響編集/視覚効果賞/「キング・コング」

監督/ピーター・ジャクソン 出演/ナオミ・ワッツ ジャック・ブラック 

2005年12月17日より全国ロードショー:配給/UIP

 

外国語映画賞/「ツォツィ(原題)」(南アフリカ)

長編ドキュメンタリー賞/「皇帝ペンギン」

2005年7月23日より全国ロードショー:配給/GAGA USEN

 

短編ドキュメンタリー賞/「ア・ノート・オブ・トライアンフ(原題)」

短編アニメーション賞/「ザ・ムーン&ザ・サン(原題)」

短編実写映画賞/「シックス・シューター(原題)」

 

受賞作のメインが「クラッシュ」「シリアナ」「ブロークバック・マウンテン」とアメリカに潜む問題をストレートにとりあげるやや社会派的な作品が目立ったのは、やっぱり時代背景なんでしょうかね。歌舞伎町の問題をとりあげてきてるが、とても比較にはならないがアメリカに内在する問題は本当に複雑で根深いなぁと。

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映画つながりってことで、新宿松竹会館の再開発のニュースがリリースされた。

ソース:松竹株式会社ホームページより引用

新宿松竹会館(所在地:東京都新宿区新宿3-15)も築後47年以上が経過いたしました。 弊社はグループのフラッグシップシアターとして、設備面をはじめバリアフリーなどお客様に優しく楽しんでいただける劇場作りを目指し、最新鋭の設備を誇るマルチプレックスシアターに建て替えることと致しました。弊社シネコン開発事業は長期的視野に立った戦略投資であり、この新宿松竹会館を始め今後も積極的に行ってゆく方針です。なお、再開発の概要は下記の通りです。

新宿松竹会館(仮称)再開発概要

【所在地】 東京都新宿区新宿3-15
【敷地面積】 1,611.13㎡(487.36坪)
【投資額】 60億円
【計画規模】 地上12F、地下2F
【スケジュール】 平成18年6月解体開始、平成20年9月竣工(予定)
【スクリーン数】 10スクリーン(予定)
【座席数】 2,260席(予定)
【駐車台数・駐輪台数】 56台・80台(予定)

※ マルチプレックスシアター使用フロアーは3F~12Fとなり、その他フロアーは貸し店舗となります。

←新宿区役所側から見た新宿松竹会館

現在、ピカデリー1~4で席数が約1400程度なので、客席数は約1.5倍、スクリーン数は倍以上になるということ。東京メトロの新宿3丁目駅が来年できることに連動して靖国通り沿いは今後もさらに整備・再開発が続くと思われ、それの一つといえる。歌舞伎町シネシティ周辺の四葉会再開発についてはおそらく今年中には計画概要・スケジュールが見えてくるだろう(発表できるかどうかはわからないが)。地下街建設による地域再生・建て替え促進は効果があるといわれている。四葉会再開発においてもサブナード地下からつなげていく構想もありうるようなので、地域全体におけるエンタメ産業のインフラ整備は徐々に進んでいくと思われる。ただ、地下街を作った場合、地上の回遊性はどうなるかとか、またコストの問題も含めて課題は多いのだが。

数年前まで、都心型映画館7に対し地方が3といわれていた観客動員数が、いまやその逆、都心型が3、地方が7。一つはスクリーンの小さな映画館をまとめたシネコンが大量に郊外に建設されたことによるわけだが、その郊外型シネコンもいまや飽和状態。興行各社はこぞって都心回帰に向かっているといわれている。コスト的には郊外型シネコンの方が利益率は高いといわれるが、それでも都心回帰に向かう理由はチェーンブランド力向上のためのようで、今後建設の進む都新型シネコンはそれなりにシンボリックな劇場を作ることをどこも考えているようだ。


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