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2023年4月14日 東急歌舞伎町タワー開業! [まちづくり]

話はさかのぼること平成5年(1993)、都立大久保病院跡地に新設された大久保病院と東京都健康プラザハイジアが建設、当時よりCO2排出削減が叫ばれ、このハイジアにも地域熱供給が導入されました。
2002年、歌舞伎町の映画館・劇場等を所有する興行4社(東宝・東急レクリエーション・ヒューマックス・東亜興行、通称「四葉会」)は東京都に呼び出され、すでに昭和30年代より歌舞伎町の中核を担うも老巧化しつつあった各社建物の再開発意向を確認、それをもとにハイジア地下のプラントを拡張、「四葉会」再開発には地域熱供給の導入がセットされた。
これをもって、東京都を中心に国・新宿区の支援もセットされ、2005年には歌舞伎町ルネッサンス推進協議会が発足、歌舞伎町中心街区の再開発が動き始めました。
とは言え、各社のお家・懐事情の差異等により4社共同での再開発は断念、いち早く独自計画で着手したのが東宝で2015年には新宿東宝ビル開業、東亜興行は所有2棟のうち1棟をアパホテルに売却しアパ歌舞伎町タワーとして同じく2015年開業しました。
このあたりで、歌舞伎町の街としての観光拠点化が決定付けされた感があります。
当時、東急レクリエーションは歌舞伎町1丁目中心街区西側の新宿東急文化会館、その並びにはグリーンプラザがありました。東急レクリエーションは当初単独での再開発を思案、まずは資金調達を目論んでの1部上場を模索するも諸事情により頓挫、やや迷走しながらもグループ会社の"ボス"である東急電鉄(現在は東急株式会社)の支援を受ける方向に舵を切りなおし、上場廃止→TOB、東急の完全子会社化を経て、さらに隣接したグリーンプラザの土地を買収、用地面積を4,600平米に拡大し、都市再生特別地区(歌舞伎町1丁目地区)再開発計画として再起動、2019年着工、コロナ禍を挟んで工期がずれた部分もあるが、今年2023年竣工、そして4月、開業を迎えました。
総工費約1,000億、実に新宿東宝ビルの約4倍です。
新宿東宝ビルの場合は、開業当時より大半がテナントで20年で回収完了だからもう一度動けるね、なんて話をしてましたが、東急のこれはちょっと話が違ってくる。テナントというよりも多くがグループ内の企業とは言え自社コンテンツです。もう建て替わらない。50年後、あるいは100年後もここにあるだろう建物です。
最新のものは数年で普通のものになり、10年で古臭いものになる。コンテンツの寿命は短く、すぐ飽きられる。なかなか動きにくいこのタワー、文化だとか伝統だとか、聖地だとか、そういう風に色見を変えていければよいが、果たしてそういうものがここに育っていくのかどうかが試されるわけです。ソフト面ではソニーが乗っかってるのでそこに期待できるかもしれません。
幸か不幸か、ここは歌舞伎町です。歌舞伎町色に染まっていくのか、むしろ歌舞伎町を染め直すのか、はたまた、歌舞伎町とかけ離れて孤高の存在となるか、むしろ"孤高"ほうが作用反作用のような感じで、コントラストが強いほうが街のポテンシャルは上がるような気がしてます。
■目指そうとしたのは「水」の聖地
歌舞伎町が誕生する前、この地は、新宿駅界隈では低地で、元々は池でした。今もその名残として、池のほとりにあった祠のご神体(宇賀神弁財天)を祀った弁財天がゴジラロードとさくら通りの間にある歌舞伎町公園にあります。
そして早稲田・神田川に注ぐ蟹川という川があったそうですが、今は蓋がされ、花道通りとなっています。
水(噴水)があったころの歌舞伎町は元気だったよね、2丁目はホテルに噴水がある、あれが龍の水飲み場になってるのかな、2丁目(ホスト)は元気だね、とか。
もともと低地だったからこそ、本能として人が集まり、繁華街として賑わった面もあったかと思いますが、一方で、低地ゆえに良いも悪いも"気"が滞る。また囲まれた大きな通りに面した建物は容積率が大きく、中は小さく、といった都市の事情もあって、歌舞伎町はあたかも城壁に囲まれたようなつくりになり、故に空気の流れが悪い。
人が集まる場所だから、良いも悪いも混在して流れ込んでくる"気"、しかし滞る。じゃあ、もう少し空気が流れるようにできないかな、そんな発想から、4社の足並みが崩れ、しびれを切らした東宝が単独で動き出そうとした矢先、東宝の足止め策として、東急レクリエーションと東宝に対し、コンセプトとして"水の聖地"の設計プランを"個人的"に提示したことがあります。
プランは、ざっと、地下に地底湖を作り、ほとりに移設した弁財天をおき、地底湖から立ち上がる建物から滝を流し、さらに滝から旧蟹川へと川を流す、気を滞らせるではなく流すためには”流れ”を作る必要があったわけですが、結果的には、このプランは公的には"無視"されたものの(やや困惑され、そりゃそうだが・・)、案外食いついてくれたのが、東急レクリエーションの菅野信三氏(社長)でした。
で、「がんばったんだけどね。」(菅野氏)と。そんなやりとりが光栄にもこのタワーにいくらか生きたのか、"デザインは「水」を外観モチーフに「噴水」としてイメージしています。これは歌舞伎町エリアにかつて川が流れていたことや、現在でも歌舞伎町弁財天が水を司る女神として祀られているため。「水」を同エリアの根源的な要素と捉え、根底に流れる水のエネルギーが噴水のように天に伸びる姿や、水の持つ純粋さ、常に変化する柔軟さ、透明な水と白い水飛沫が多層に重なり合う優雅な姿を表現しています。"— コンセプトはデザインには落とし込まれたものの、"水"そのものは採用されなかったのがちょっと残念。
とは言え、着手から20数年、最初からほぼすべてを見届けてきた私としては、感慨深いものがあります。内装外装にはテクニカルに様々な趣向が凝らされていて面白いが、思想がどこかへ行っちゃった感がないわけでもない、故にコンテンツでそのあたり味を加えていってくれたらいいなと思います。今プロジェクトのプロモーションは素晴らしかった。2年前に歌舞伎町のプロジェクト室長兼TSTエンタティメントの社長として歌舞伎町にやってきた木村知郎氏の手腕なのでしょうが、これからさらに盛り上げてくれると期待してます。
さて、東急歌舞伎町タワー、完成、そしていよいよ開業しました。写真は開業に先立って4月6日に行われた内覧会時のものと、4月14日、開業のテープカットセレモニー~開業の瞬間。
【東急歌舞伎町タワー オープニングテープカットセレモニー入鋏予定者一覧(敬称略)】
東急株式会社 取締役社長 髙橋和夫
株式会社東急レクリエーション 代表取締役社長 菅野信三
新宿 区 長 吉住 健一
歌舞伎町商店街振興組合 理事長 / 杉山 元茂
有限会社永山祐子建築設計 代表 永山 祐子
BELLUSTAR TOKYO, A Pan Pacific Hotel
HOTEL GROOVE SHINJUKU, A PARKROYAL Hotel
109シネマズプレミアム新宿
THEATER MILANO-Za
Zepp Shinjuku (TOKYO) 
ZEROTOKYO 
EXSTION 
THE TOKYO MATRIX 
namco TOKYO 
新宿カブキhall
スターバックスコーヒー
※なお東急歌舞伎町タワープレジェクトの責任者である木村知郎氏(東急株式会社 執行役員 新宿プロジェクト企画開発室長 兼 株式会社TST エンタテイメント 代表取締役社長)はオープン時、自ら2Fエントランスでお客のお出迎えをされてました。
加えてですが、開業に合わせ、街の待望だった東急歌舞伎町タワー~羽田空港線・成田空港線へ、歌舞伎町からの空港アクセスバス運行開始のセレモニーも同日行われたのでその模様も。
すでに予約は3月28日からできるようになってましたが、4月14日、いよいよ運行開始です。歌舞伎町⇔羽田直行は約35分(1300円)。成田へは約1時間半(3200円)だそうです。今や観光拠点・歌舞伎町にとって小さくはない大事なニュースです。
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■概要
施設名称 東急歌舞伎町タワー
事業主体 東急株式会社、株式会社東急レクリエーション
運営:TSTエンタテイメント(社長=木村知郎東急執行役員新宿プロジェクト企画開発室室長)
※TSTエンタテイメントは4月14日開業の「東急歌舞伎町タワー」を運営する。東急と東急レクリエーション、ソニー・ミュージックエンタテイメント(SME)の共同出資会社。
所在 東京都新宿区歌舞伎町一丁目29番1号
用途 ホテル、劇場、映画館、店舗、駐車場など
敷地面積 4603.74㎡
延床面積 約87,400㎡
階数 地上48階、地下5階、塔屋1階
高さ 約225m
設計者 久米設計・東急設計コンサルタント設計共同企業体
外装デザイン 永山祐子建築設計
企画・プロデュース 株式会社POD
施工者 清水・東急建設共同企業体
竣工 2023年1月11日
開業 2023年4月14日 ※ホテルは5月19日開業
☆☆フロア構成
■39-47F BELLUSTAR TOKYO, A Pan Pacific Hotel
277㎡の「sora 天」(宿泊料金300万超)をはじめ5室のペントハウス、通常の客室も42~82㎡(92室客)を持つハイグレードラクジュアリーホテル。幅約7mの窓から東京を一望できる客室、最上階は3層吹き抜けのレストランや、スパ等もあり。客室数は97室、宿泊料金は9万円〜(ダイナミックプライシング)。個人的には泊まるなら「ジュニア コーナー スイート キング」(59㎡)がいいなと思った。東急ホテルズ最上級ホテル。
■18-38F HOTEL GROOVE SHINJUKU, A PARKROYAL Hotel
各エンターテインメント施設や新宿のまちと呼応した”高揚感”に包まれるよう、魅力ある音楽を意味する「GROOVE」という新しいブランドのミドルグレードホテル。客室(538室)、宿泊料金は1泊3~5万円(ダイナミックプライシング)。
/18F 両ホテル共有フロア(フロント機能)/ 17F JAM17(ホテル直営のダイニング&バー、DJイベントなどもあり)
■ 9-10F 109シネマズプレミアム新宿(8スクリーン、シアター6は、正面スクリーンに加え、左右の壁面にも映像が投影される3面ワイドビューシアター「ScreenX」を採用)
東急レクリエーションが展開するシネコン「109シネマズ」の新ブランド「109シネマズプレミアム」。2,000席を設置可能なスペースに752席しかおかないという全席プレミアムシート、坂本龍一氏監修の音響設備「SAION」等"これまでの映画館の常識を覆す、上質な鑑賞環境とおもてなしで、こころゆくまで映画の世界に没入頂けます。"
■ 6-8F THEATER MiLANO-Za 新宿ミラノ座の名前を継承するライブエンターテインメントシアター。約900席。
■ 1-5F ENTERTAINMENT & RESTAURANTS エンタメ・飲食等テナントフロア
1F 花・植物専門店 ex.flower shop & laboratory SHINJUKU / 和牛バーガー&ワールドタコス KABUKI BURGER&TACOS / 観光案内所(ヤマト運輸運営) / スターバックスコーヒー / チケット販売 tkts / 北海道プレミアムフード&ドリンク BON LUMIERE VIVA HOKKAIDO PROJECT / 宅配サービス ヤマト運輸 / ビーフダイニング 和牛特区
2F フードホール 新宿カブキhall~歌舞伎町横丁
3F アミューズメントコンプレックス(ゲームセンター) namco TOKYO
4F 新宿ダンジョン攻略体験施設(株式会社ソニー・ミュージックソリューションズ×株式会社スクラップ) THE TOKYO MATRIX
5F ウェルネスクラブ EXSTION(エキジション)「美と健康」をテーマにしたラグジュアリーな会員制ウェルネスクラブとレストランを併設。ホテル宿泊者・会員+ビジター用途等についてはまだ検討段階の様子。
Lunch : 点心HOLIC / PutON Café(営業時間:11:00~ 16:30) Dinner:Italian Dining 薫 KABUKI( 営業時間:17:00~ 23:00)
■ B1-B4F Zepp Shinjuku(TOKYO), ZERO TOKYO
エリア最大級1,500名(スタンディング、シーティングだと約500名)のキャパシティをもつライブホールのZepp Shinjuku(SME)。「ENTERTAINMENT JUNCTION」をコンセプトにしたクラブZERO TOKYO(TST)。



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