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2021.6.28 東京コロナパス(仮称)社会実験実施より - 東京都医師会によるコロナウイルス抗原検査陰性証明の社会実験

2021年6月28日、東京都医師会による、顔写真付き新型コロナウイルス抗原検査陰性証明(仮称 東京コロナパス)によるサイレントスプレッダーの入場・入店を防止するという目的でのオペレーション実験が歌舞伎町・大久保公園にて行われました。

この日はメディア向けのデモとしてのプレ開催で、本番(実際のオペレーショへの参加者は事前に協力事業者等に声かけ済とのこと)は6月30日(水)~7月2日(金)各16:30~19:00に実施予定。


メディアの前では医療逼迫と強い自粛の要請の印象が強い東京都医師会の尾崎会長ではあるが、定例で会談を行っているという日本商工会議所会頭の三村氏から「経済が厳しい、医師会として(経済を動かすための)前向きな提案はないか?」という申し入れがあり、これを機に東京都医師会として動き始めた今プロジェクトの最初のデモンストレーションです。


現在すすめられているコロナワクチン接種は、これが国民全般に広がれば確かに新型コロナウイルスの感染をかなり抑制することが可能だろう。しかし、ワクチン先進国といわれるイギリスやイスラエルでも、人口比60%あたりで頭打ちになっている。一定数のワクチンを打てない、あるいは打ちたくない人たちがいるのは当然で、そういう中で医師会としては「(現状)ワクチン接種を第一優先としながらも、経済活動が活性化できるようにするために、抗原検査を普及させていこうと考えている。」と、今プロジェクトの中心でもある東京都医師会理事で新宿区医師会の副会長でもある黒瀬巌氏は話す。


表題のとおり、この検査はサイレントスプレッダーを拾うために行うものとのこと。「PCR検査は皆さんご存じの通り、ウイルスの残骸を拾ってる場合もあるので、必ずしもPCR陽性=他人に感染させる、とならない場合もある。イコールではない。ですのでPCR検査を2日3日前に受けるよりは、当その場で抗原検査を受けてもらったほうが、ほんとうにその人が他人にうつす可能性があるかどうか、症状がないのに他人にうつす方をサイレントスプレッダーというんですが、そういうサイレントスプレッダーを、お店等に入らないよう防止すること感染拡大を防いでいこうというもの。

抗原検査によるサイレントスプレッダーの捕捉率はほぼ100%でPCRに引けをとりません。」(黒瀬氏)

今回行われる"街中"抗原検査の手順は以下の流れ(所要時間はトータルで20分以内):

①最初に受付で提示されたQRコードをスマホで読み込むと、検査のための登録画面が現れ、その場で自分の顔写真を撮り、携帯の電話番号とパスワード(任意)を登録する。名前・住所・性別などの入力不要。登録後、完了のメッセージが届く。


②鼻腔検体採取

今回は大久保公園に設置されたテントにて検体採取を行う。渡された綿棒を使い、自分で鼻に入れて(3cmほど)鼻腔ぬぐい液を採取、指定の検査容器に入れる。採取はこれで終了、鼻の奥まで入れる必要はないので簡便だし、痛くない。ここまでで2~3分。


③抗原定性検査

採取会場に横づけされた医師会が用意したバン("抗原検査カー")の中でその場で卓上検査、約15分で判定結果がでる。結果は即時登録したスマホにメッセージが入る。


④メッセージにはURLがあり、クリックすると、自分の顔写真入りの抗原検査陰性(or 陽性)結果の画像が表示される。ちなみ、検査時刻が表示され、陰性証明として使える時間は12時間を設定、12時間を過ぎると表示が赤くなり陰性証明にはならない旨をわかるようにする。

まず重要なのは精度であるが、抗原定性検査は、無症状者でも感度は約80~100%、特異度もPCRとほぼ同等といわれているが、かつ「サイレントスプレッダー(無症状者であっても他人にうつす程度のウイルス量がある)発見は100%。」とのこと。

約15分(混雑さえなければ受付からトータルでの所要時間も20分程度)で結果判定と迅速、感染性の高い期間を逃すリスクを最小化し、鼻腔からの自己採取と卓上機器での検査により専用設備が不要、オペレーションが簡便っというメリットがある。

すでにアメリカではこうした無症状者へのスクリーニングを目的とする抗原検査活用を推奨している。(CDC,FDA)

そのほか、イギリス(無症状者は抗原定性検査、有症状者はPCR検査と位置づけ、いずれも無償提供。無症状であっても週二回の定期的検査実施が有効)、フランス(活動再開策として、無症状者のスクリーニングを追加、抗原定性検査の活用をすすめている)、ドイツ(3月8日より、国民全員に抗原定性検査を週1回まで無料で提供)、カナダ(学校・職場・共同生活施設を中心にスクリーニング、無症状者への抗原定性検査を推奨)と、先進国では広く推奨されているものだ。

※ニューヨーク州政府は市中での検査環境を提供(6月の時点で70か所程度)、イベントでの陰性証明の義務化をすすめている。スイスでは連邦参事会主導で薬局での自己検査キットを無料配布、シンガポールでは保健省主導で国境やイベント等での検査を実施。

その他、先日英国で行われたG7においても取材陣向けの感染管理として抗原定性検査が活用された。(メディアセンターに入る取材陣は簡易検査キットを使って受信し、検査結果を報告。検査は毎日で、陰性の証明をメールで受け取りメディアセンター入口で警備員に提示し入場を許可)等々

一方で、国内ではプロスポーツイベントにおける選手と一部観客への検査を実施、学校での教職員への検査、空港・バス等での観光客向け検査の実施など、一部団体による自主的・小規模な取り組みにとどまっている。

日本はワクチンで出遅れ、検査体制も残念ながら後進国と言わざるを得ない。今更ながらではあるが「今日のこれを機に、ワクチン接種と並行して抗原検査活用で(検査体制を)充実していきたい。」(黒瀬氏)

東京都医師会として、メリットを整理すると以下のよう。

・無症状者を含め感染性の高い人を早期に特定・隔離に結び付けることで市中感染の拡大を抑制できる可能性がある。

・例えば飲食店やイベント、ホテル等、接触機会の多い(感染リスクの高い)場所では陰性証明を入場条件とすることで感染拡大を抑制できるのであれば、経済活動等事業の再開・拡大を両立できるのではないか。

・集団ベースでの感染状況データがリアルタイムに収集できるようになることで、効果的な政策や医学・科学的研究につながる可能性がある。

東京都医師会としては、このオペレーションを検証し、目指すところは都内各所に"抗原検査カー"を配備、"いつでも" "どこでも" "誰でも"抗原検査が受検可能になる体制を目指したいとのこと。

イベント等、入口に検査スポットを設置し、陰性者のみの入場とすることで感染リスクを抑える。この(仮称)東京コロナパスとワクチン接種促進によるパスポートを併用できれば強い感染抑止効果を期待できる。

黒瀬氏は「ニューヨークに負けず、我々(東京都医師会)としては100か所、いろんな繁華街、駅前、あるいは駅ナカなんかもいいかなと。(どうせやるなら)去年、エピセンターと言われ大変つらい思いをした歌舞伎町から発信していこう、新宿区・新宿区医師会の協力のもと、抗原検査を街中で行い、陰性の方だけイベントに参加する、陰性の方だけ飲食店に入るということになれば、より安心・安全に楽しむことができるようになる。となれば、例えば時短制限をしなくてもいいんじゃないか、酒類提供の制限をしなくてもいいじゃないか、そいうところにつなげていけるのではないか、そういう"可能性"を東京都医師会としてこの歌舞伎町で発信したいと考えている。」と話していた。

「また"歌舞伎町"を舞台に絵作りかよ」という声が聞こえてきそうな面もある。案の定、"歌舞伎町から"はインパクトがあり、メディアも多数集まった。それは兎も角、先にも書いたが、ワクチン接種はある程度の人口比に達すると頭打ちになる。身体的にワクチン接種が危険なケースだけでなく、単によくわからない異物を体内に入れるのはイヤだな~という人たちもわりと散見される。

と考えると、やはりワクチン一辺倒だけでは安全・安心の実現にはちょっと足りないのかもしれない。

東京都医師会の提案する、サイレントスプレッダーを拾えれば感染拡大は抑えられるのではという意味で、今回の手法、つまり街中抗原検査スポット活用による簡易な陰性証明(ただし有効期限あり、東京都医師会は12時間としている)の発行手段は有効な"一手"のように思えます。

ただ、問題はコストということになるのでしょう。

ざっと、設営から検査、実施の人件費等を考えると、おそらく今回は手弁当ではないかと思うが、これを仕事としてとらえればザクっと30万円とかそのくらいは必要だろうか。イベントごとに主催事業者が個々の負担でやるのはなかなか限界があるだろう。今回のオペレーションで、どの位の人数をどの程度のスタッフでこなせるのか等を図れるかと思うが、それを例えば医師会の言うように都内各所に100か所となれば確かに有効だと思うが、"いつでも"というなら毎日運営するとなると、これは完全に公費が必要のはず。医師会の矛先は国であり都であることは容易に想像がつく。そのための舞台が"歌舞伎町"というのは「ん?」・・というか、まあ、あざとくもあるが、着地できるなら中身はいたって面白い試みだと思う。そして今回、東京都医師会はひと肌脱ごうとしているわけだ。"感染者"をではなく、"サイレントスプレッダー"を拾って隔離できれば経済は回せる、という医師会の考え方は一理あると思う。


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《追記》2021/6/30 西村経済再生担当大臣(新型コロナウイルス感染症対策担当)が「東京コロナパス(仮称)」社会実験 - 東京都医師会によるコロナウイルス抗原検査陰性証明の社会実験実施を視察、医師会と区らと意見交換
28日のデモに引き続き、実際に歌舞伎町の数店舗の協力(区手配)を得て実証実験本番の体で行われた6月30日、やや小雨降る生憎の環境ではありましたが、西村経済再生担当大臣(新型コロナウイルス感染症対策担当)が視察に訪れました。
視察後、今プロジェクトを企画・提案の東京都医師会と、今実証実験に協力した新宿区、および繁華街の実態、声を知るということで一般社団法人日本水商売協会との意見交換が行われました。
意見交換会冒頭、西村大臣より
「思い出せば、去年の今頃は、(吉住)区長と連携して、この歌舞伎町のPCR検査を重点的やろうということで、幅広く声をかけていただき、医師会の協力も得ながらすすめましたが、今回は抗原検査、非常に精度もあがってきましたし、短時間で、しかも人にうつすだけの(ウイルス)量があるときに検知できるということでありますので、これを活用して、繁華街対策を対応しよう、ということで視察をさせていただきました。
ワクチン接種も着実に進んできていると思います。ワクチン接種を進めていくと同時に、若い方々等接種がこれからの方もたくさんおられますので、その間、検査を拡充して、ワクチン接種と検査の拡充、いわば車の両輪で対応していくことは重要だと考えています。
とくに若い世代の感染が増えてきていますので、若い方たちにもぜひ、こうした取り組みに協力いただきながら、また、多くのお店に協力いただけるのであれば、かなり感染拡大を抑えていけるのではないかと期待を持っております。今日はぜひ取り組みの工夫されている点、あるいは今後の課題など契丹のない意見を聞かせていただければと思います。」
意見交換会にて、東京都医師会角田副会長より
「私どもとしては、最終的に最も効果的な方法はワクチン接種だと考えています。現段階では、この迅速(抗原)検査を使うことによって、社会活動・経済活動を再開できる、と思います。リスクをゼロにはできませんが、可能な限り低減して(社会・経済活動を)回復させることは極めて重要だと思いますので、ぜひ今後ともよろしくお願いします。」
意見交換会後、ぶらさがりにて西村大臣
「本日、東京都医師会、新宿区医師会、新宿区が歌舞伎町の店舗の方々のご協力をいただきながら試行的に実施をしています、抗原簡易きっとを活用した感染拡大防止の取り組み、"東京コロナパス"という言い方をされていますけど、それにつきまして、実際に私も検査キットで採取をさせていただきました。私自身は陰性でしたので一安心ですけれども。
お店の方々、働いている従業員の方々もチェックをされ、またお客さんも陰性証明を持っていると。それぞれのスマホを使って、顔写真っと紐づけ、個人情報を守りながら取り組まれていますので、非常に有効な取り組みではないかと。今は19時までのお酒の提供ですけれども、そして20時までですが、お酒を楽しんでおられる姿を拝見しました。
医師会のほうで、こうした取り組みを提案され、さらに都内100か所くらいに広げていきたいという計画を持っておられますし、また、協力いただけるお店が広がっていけば、より安心・安全の、そうした感染拡大防止にむけ、取り組みが広がっていくことを私自身も期待をしています。
意見交換の中でもありましたけれど、一番はやはりワクチン接種を進めること、これは若い世代の方も含めて、幅広く様々なチャンネルでワクチン接種をすすめることで感染拡大を抑えていける、そもそも重症化を抑え、感染予防にもつながる、ということでありますので、(ワクチン接種勧奨を)着実に進めていきたいと思います。
自治体での接種、職域での接種等、精査をしながら、スピードアップしてきたその加速度を維持して、継続して円滑に、そして迅速にワクチン接種が進むように私の立場でもサポートしていきたいと考えています。
ワクチン接種は高齢者を優先し、次は現役世代ですけれども、ワクチン接種が進むまでの間を、この抗原検査キットを活用した取り組みを、さらにはどうしても体質的にワクチンが打てない方もおられますし、打つことに対して慎重な方もおられますので、ワクチン接種が進んでも、抗原検査との組み合わせは引き続き重要だと思っています。
いずれにせよ、重症化を抑え、感染拡大を抑えていくという観点から、ワクチン接種を円滑に進めていくことと、あわせて抗原検査キットの活用を、いわば車の両輪として対応していきたいと考えています。
すでに、医療機関、高齢者施設に800万回分を国のほうから配分を進めております。さらに大学、高等学校、専門学校、日本語学校での検査を行ってもらうべく今調整を急いでいるところです。さらに職場でもこれが使えるとなっておりますので、ぜひ職場で、ちょっとのどに違和感がある人などに極めて有効です。
よく精度の話になりますが、抗原検査キットの精度は非常に上がってきていますので、そして、他人にうつす(ウイルス)量のある方は検知ができますから、感染拡大防止には極めて有効な手段だと思っております。そうした中で、この実証がいい形で結果がさらに報告され広がっていくことを期待したいと考えています。
とくに足元の、東京都で今日700人を超えたと報告がありますけれど、感染者、新規陽性者の数は増加傾向にあります。これは当然、緊急事態宣言を解除したあと人流が増えていますので予測されていることではありますけれど、感染拡大を抑えていくうえでも抗原検査キットの取り組みは非常に有効だと思いますので、参考にしながら私どもさらに広げていければというふうに考えています。」

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「東京コロナパス(仮称)」、簡単に言えば、サイレントスプレッダー(無症状だけど他人を感染させる可能性がある程度のウイルスを持ってる人)を簡便迅速な抗原検査で見つけて隔離すれば、ワクチン接種を進めつつが前提だが、これなら社会をまわせるんじゃないか?という東京医師会の提案。
抗原定性検査陰性証明の有効期限を12時間とし、その間は通常の社会活動、あるいはイベント、呑みに行って騒いでもダイジョウブ、なぜなら他人の感染はさせないから。ワクチン接種を進めつつ、有症状者はPCRで確定隔離済、社会活動にはいないという前提であれば、一理ある。社会実験でオペレーションやコストをはじき出して、都医師会曰く、都内100か所以上、いつでもどこでも検査ができるという体制を目指すと。となれば、そこは財源が・・・というわけで、西村さん、だったんだろうね。最終的には厚労省なのかもしれないが。
座組は、東京都医師会角田副会長、黒瀬理事(←プロジェクトの中心)、新宿区医師会平澤会長、吉住新宿区長、寺田副区長、日本水商売協会の甲賀代表理事。西村大臣チームは西村大臣と井上内閣審議官(新型コロナウイルス感染症対策推進室次長)。
医師会からは西村さんは10分くらいでさくっと帰っちゃうと思うと聞いていたが、到着から結局1時間くらいはいたか。撮書き手と裏方の両方の立場で現場にいたのですが、個人的に思ってるのは、コロナ禍後のナイトエコノミー復活に向け(風営法、再設計できないもんかな~みたいなのも含め)、それを"希望"に掲げて(無論規制緩和だけでなく「秩序」という意味でも再調整は必要と思う)繁華街対策を考えてはどう?とか、大臣にはちらっと話したけども。さて、どうするんだろうね、オリパラ・・無観客かな?オリを無観客で耐えてコロナ頑張って抑えて準備して、パラでこういうのを組み込んで観客入れるくらいのがマシなような気がする。それこそ、今回の医師会のアイディア、オリパラでやってみればいいのに、とか思う。

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