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『また明日も観てくれるかな?』~So see you again tomorrow, too? ~Chim↑Pomの歌舞伎町商店街振興組合ビルアート展は10月15日より31日まで [イベント]

歌舞伎町1-19-3、昭和39年(1964年)、関係者の所謂ロビー活動で東京都から1,500万円で払い下げられた144㎡(約44坪)に建設された歌舞伎町商店街振興組合ビル。 当時、商店が振興組合法が施行され、東京で最初の《商店街振興組合》が歌舞伎町に誕生、以来、52年間、"民意"の担い手として活動を続けてきた歌舞伎町商店街振興組合の所有するこの建物が、この11月、解体されることになりました。
東宝に売却?そんな交渉もかつてはあったりもしたのですが、そうではなくて、この築52年を迎えた建物の建て替え工事がはじまります。竣工予定は2018年5月ごろ目途に計画が進められています。

そんな話を聞きつけて、それならば、ビル解体丸ごとアート展ができないだろうか?という話を持ち込んだのが、卯城竜太・林靖高・エリイ・岡田将孝・稲岡求・水野俊紀の現代アーティスト集団"Chim↑Pom"。
日頃、歌舞伎町の世代の狭間で、両方の話を聞きながら、時に通訳しながら、街のその時々の誰かの思いを着地させるようなことをやってきた自分ですが、今回は、この役割を、Smappa!Groupのオーナーでインターネット放送『TOCACOCAN』を主宰していた手塚マキ氏(39)が担いました。いわば、『また明日も観てくれるかな?』のオーガナイズを手塚クンがやったわけです。何をどうするのかよくわからない中で、若干紆余曲折もありいの、結局「まあ、どうせ(建物を)壊しちゃうんだから、いいんじゃない?」(商店街)という、ある意味寛大なはからいにより、そのプロジェクトが、こうして着地しました。

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題して、『また明日も観てくれるかな?』~So see you again tomorrow, too? ~
http://chimpomparty.com/
"Chim↑Pomは、解体予定の歌舞伎町振興組合ビル(使用は地上4階から地下1階まで)にて、日本では約3年ぶりとなる大規模な新作個展と、音楽やパフォーマンス、トークなどライブイベントからなるプロジェクト『また明日も観てくれるかな?』~So see you again tomorrow, too? ~を自主開催いたします。展覧会のテーマは「Scrap and Build」。「2020年東京オリンピックまでに」をスローガンに再開発が進む、現在の東京という都市の姿に迫ります。"

タイトルの『また明日も観てくれるかな?』は「笑っていいとも」のお馴染みのキャッチフレーズを引用。2014年3月31日にアルタにて行われた最終回、ラストにも関わらずタモリがその言葉で番組の歴史を締めくくったことに所以とか。

― ビル自体の最終回ともいえよう本展は、廃墟の活用や Scrap のみをフォーカスしたものではなく、あくまで その後の Build、そしてその先に再び来るであろう Scrap and Build をテーマに含む。いわば 必ず訪れる「終わり」、そして途切れることなく来る「明日」の狭間の当事者として、オーディエンスに未来の在り方を問いかけている。― と、ある。

Scrap and Build 。
奇しくも、つい数日前の10月12日、新座の東電地下施設が火災で燃えた。原因は35年間旧式のまま老朽化した高圧ケーブルの漏電。そして東電は、この老朽化したケーブルは今も東京の地下に1千キロ以上あることを明かしたばかりだ。
あれは7月20日のことだった。汚水が溢れ出した歌舞伎町の地下街「サブナード」、これは50年を超えるような朽ちかけた地下インフラの損壊が原因だった。 東電の老巧ケーブル1千キロも、歌舞伎町の地下のインフラも、これまで何度も議論にはでてきている都市の課題だ。知るべき人たちは知っている。でも、手つかず。
これらはあくまで例だが、昭和30年代後半~40年代あたりで、木造都市がコンクリート化し、高度経済成長で高騰した狭小な土地に無理やり詰め込んだインフラとともに、あれから約半世紀が経ち、今の東京であちこちが悲鳴を上げている、これらは一つの示唆だ。 どうにかしないと、って言っても、民有物と、それに接続してる公共物双方を同時に刷新でもしない限り、片方だけ新しくしてももう片方がボトムネックになる。新旧ハードを無理やり共存させると思わぬ負荷もかかろう。
2020年に東京オリンピックはくるようだけど、さて。これを"機"とするのだろうか、"機"としても、石の街に慣れてない、せいぜい40~50年、ひと世代分しか経験のないこの国は、如何なる想像力を以って持続可能な都市に進化させることができるのだろう。 今舞台は、昭和39年竣工、つまり、前の東京オリンピックの年に建ったこの建物の、破壊と創造、の狭間。


今展示で、最も象徴的な作品は「ビルバーガー」だろう。ビルの"4階3階2階のフロアを切り抜き、そのまま真下の1階に積み重ねた巨大彫刻作品。壊すこと、建築すること、という相反する二つのプロセスによって「Scrap and Build」を可視化。"とある。これと、建物4フロアを貫く巨大な切込み穴。まさに「破壊」こそが最強のエンターティメントであることを思い知らされるインパクトだ。

思えば、歌舞伎町商店街振興組合は、永らく歌舞伎町の「秩序」の象徴だった。学生運動華やかな時は警察とともに破壊活動から街を守り、治安維持に努めた側だし、今も、反社や暴力団、詐欺集団に対する抑止力である。という象徴的建物を破壊する、というエンタメ。そこから、いろいろな解釈が生まれるものになりそうだ。たまたまそういうタイミングだったから、とは言っても、そうそう建物を好きなように破壊できるなんてことは、ないだろう。ましてや、5FやB2はいまだ稼働中だ。だが、一つ言えるのは、こうして今も《歌舞伎町は寛大なり》ということのまさに具現化になっているのではないか。そして、その作品が完成する(期間中のイベントや騒ぎ、観客をも含め、全体を通じて一つの作品)ためにも、開催期間中、歌舞伎町が《寛大》でありつづけられるよう、事故なく終わってもらえたらと思う。

 『また明日も観てくれるかな?』~So see you again tomorrow, too? ~
会期は2016年10月15日(土) ~10月31日(月)
Open:13:00-22:00(10/15、28はイベントデイとして翌6時まで)
1,000円(展覧会のみ)または3,000円+別途ドリンク代(イベント+展覧会)。

だいぶ破壊されてしまっているけど、この街の"民意"を担い続けてきた歌舞伎町商店街振興組合のビルを見届ける、という意味でもいいし、無論、それ以上に、Chim↑Pomの展示とイベントはどんなインスピレーションをここで与えるのか。これを見届け、感じて、"次の"(という言葉にはいろいろ意味を込めて)の歌舞伎町に、向かいましょうか。 


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