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トレジャー・シティ-新宿の過去・現在・未来を記述する 12月2日(水)から12月15日(火)開催 [イベント]

トレジャー・シティ-新宿の過去・現在・未来を記述する

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12月2日(水)より15日(火)まで、歌舞伎町シネシティ広場では様々な分野で活躍するアーティスト作品を展示するパブリックアート展として『トレジャー・シティ-新宿の過去・現在・未来を記述する』が開催された。

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◆開催期間
会期:2009年12月2日(水)〜12月15日(火)
時間:10:00〜18:00 (最終日は15:00まで)

◆会場
新宿歌舞伎町のシネシティ広場に輸送用コンテナを設置します。日本を代表する繁華街の真ん中に会場が出現します。この地において参加者が何を感じ、どのように作品に反映させるのでしょうか。

◆主催:トレジャー・シティ展運営委員会/東京工芸大学
ディレクター:野口靖 アシスタントディレクター:大草あき

協力(50音順):歌舞伎町振興組合、歌舞伎町タウン・マネージメント、情報科学芸術大学院大学(IAMAS)、新宿区角筈特別出張所、新宿西口商店街振興組合、新宿歴史博物館、西新宿をよくする会、丸紅情報システムズ株式会社、武蔵野美術大学

◆関連イベント:アーティストトーク
■12/6(日) 16:00〜18:00
都市を読み取るアートの力 – 新宿を舞台として -
関口敦仁、笹口数、末野宏行、笠尾敦司、前田真二郎
野口靖(司会/トレジャー・シティ展ディレクター)

■12/12(土) 18:00〜20:00
10年後の新宿の地図を描く - 街づくりの観点から -
及部克人(武蔵野美術大学名誉教授)、花崎攝、城克(歌舞伎町商店街振興組合)
野口靖(司会/トレジャー・シティ展ディレクター)

▼関口敦仁 [ IAMAS 都市相-SIR プロジェクト]

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▼笹口数+末野宏行『meta-fur』-光と影を被服した街-

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▼笠尾敦司[思い出横丁街並み絵巻つ街並み絵巻プロジェクト]

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▼H.584/IAMAS ロカティブメディア・プロジェクト-羊飼い物語[新宿2009]

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▼武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科 環境デザインチーム『歌舞伎町未来年表』

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「新宿という大都市に様々な手段で深く分け入り、埋没した財宝(トレジャー)を発見するがごとく、そこで体験したものを作品化」、トレジャー・シティ展ディレクターの野口靖氏の挨拶にはこうある。その財宝を、シネシティ広場の突如現れた6基のコンテナに詰め込むという奇抜な展示方法、アートっぽさはあるが、様々な作品の中で最も目を引いたのは、プロフェッショナルのものではなく、武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科 環境デザインチーム『歌舞伎町未来年表』だった。

歌舞伎町が誕生してからコマ劇場閉館まで、ここら辺までが現在までの年表としてあり、これに2015年から2100年までの間にあったこと(あるかもしれないこと)を年表に書きいれていく。2015年から2100年までの5年置きのポイントは歌舞伎町の街の人たち(振興組合事務局選択)の書いたものだが、それに1年おきの部分は来場者らに書いてもらった。

以下、ざっと抜粋

2015 歌舞伎町の中心であるコマ劇場が東急ハンズとして再生する
2020 歌舞伎町健康ランド出現!!
2025 シネシティ広場を中心とした学生・若者が覇を競うスポーツエンターティメントパークになる
2030 歌舞伎町独立宣言
2031 都内で最大・最高の街として繁栄する
2032 巨大銭湯ができる
2033 リキッドルーム復活
2035 新しい若者のプレイタウン エスニック歌舞伎町
2037 歌舞伎町から月へ梯子が届く、宇宙で遊ぼう
2040 世界のカブキ町になってKABUKI-CITYになる
2041 江戸からの歴史を踏まえビルのガラスから太陽光発電しスクエアが大きなアトリウムetc
2042 歌舞伎町に歌舞伎座を建設する(コマ劇跡地)古い様式の建築物で!
2045 世界中の人々がいつでも楽しく過ごせる町
2050 世界で最も安全で美しい街 ユートピア歌舞伎町 世界の食と娯楽が楽しめる街
2051 シネシティ広場がUFOの発着基地になって様々な星から観光客(様々な姿をしている)の集まる施設になっている
2052 学生街になっているといいな
2060 ラスベガスのようなエンターティメント溢れる街
2065 世界一輝く街
2070 宇宙一有名な歓楽街 洗練された歌舞伎町
2075 世界中の憧れの町にまっている
2080 難民受け入れ100万人突破
2095 欲望から羨望の街
2100 日本と言う国の概念が変わっても日本人の心と世界の歌舞伎町は不変

たまたま自分が見に行ったときにあったものを抜粋したものだが、それ以外にも概ねコマ劇後の施設に関してのものが多かった。目に付いたのはスポーツ施設、エンターティメント施設、中にはコマ劇場復活(見たことが無いから見てみたい)とか、変わったところで「学校(大学)」「発電所」。実は自分も一つかいているがまぁそれはいいとして。。街について「24時間」「世界中の人が集まる・楽しめる」「ラスベガス」「カジノ」など、やっぱりそこなんだろうなという感想を抱く。2100年「日本と言う国の概念が変わっても日本人の心と世界の歌舞伎町は不変」というのは実は城克氏(歌舞伎町商店街振興組合事務局長)のコメント。長く歌舞伎町にかかわってきたものにはわかる、この街の根っこは変わらない、というもの。これはたぶん真実かと。ただ、ぷらっと寄って書いていってくれた人たち、街の人たち様々ではあるが、やはり歌舞伎町には歌舞伎町が好きな人たちが集まっているなと感じる。

来街者、あるいは歌舞伎町の人たちのコメントである以上、そもそも歌舞伎町に寛容である人たちであることを踏まえて読み解く必要はあるが、いずれにせよおそらくこの内容については学生たちがまとめ、いずれトレジャー・シティのホームページなどで公表されると思うので楽しみである。

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■12/12(土) 18:00〜20:00 10年後の新宿の地図を描く - 街づくりの観点から -のワークショップ風景
及部克人(武蔵野美術大学名誉教授)、花崎攝、城克(歌舞伎町商店街振興組合)野口靖(司会/トレジャー・シティ展ディレクター)

このトレジャー・シティ、パブリック・アート展という形をとっているが、実は武蔵野美術大学と東京工芸大学のそれぞれのゼミ活動(授業)の一環でもある。というか、それが実体。ちなみにイベント実施の予算は東京工芸大学が出している(約900万)。来場者は日によってばらばらだったが、だいたい平均で200人程度、土曜日ともなると400人くらいの来場。来場者数というのはこの企画の成否ではないが。

歌舞伎町が題材、あるいはテーマになって学生たちがやってくるようになったのはここ数年(約4年)くらいかと思われる。かつては(今でも若干あるが)歌舞伎町を題材に使うとは何事か?といった風潮はアカデミーにはあったが、それが今ではだいたい年に10組程度の学生の主に卒論・卒業制作、あるいは大学院の修士論文等々、自分だけでもそのくらいのペースでお手伝いやらインタビューを受けるくらい。城さん(事務局長)の場合はそれ以上だろう。また、こうした大学の授業の座学の場としても度々利用されるような傾向にある。ほぼコマ劇場や劇場街の閉館~再開発によって街がどのように物理的・ソフト的に変化していくのかという部分で関心が高いことに起因すると思われる。この開発が終わるまでの間約10年(もう少し短いとは思うが)はこういう傾向が強いと予想できる。これまで、表の窓が城さん、裏窓が自分という形だったが、まぁそれはそれでもいいが、城氏も言っていたが、こうした学生たちの受け入れ態勢をもう少しシステマティックに、明確な「窓」をたとえばTMOなどに用意していけたらいいのだろう。今二十歳くらいの学生たち、そのまさに今この街が物理的にも変化しようとしているからこそ、学生のコたちになるべくたくさん関わってもらって、学び、交流し、10年後、あるいは20年後、街のどこかに「これは自分が作ったんだ」といえるような何かを残せたら、きっとそのコたちにとって歌舞伎町は愛着の持てる街になれると思う。そうであってほしいと思うからこそ、ボクらは無条件に学生のコたちの様々な活動を支援していけたらと思うし、その想いを街の人たちにひろげていけたらと思う。

思うのは、こういったいわば普通の学生たちとは対照的な思春期・20台を過ごす多くの歌舞伎町で働くコたちもほとんど同世代であること。学生たちがこの歌舞伎町を舞台に学び、あるいは研究し、その一方で、この街でもがくほぼ同世代のコたちの未来について、互いの存在を感じあうことは重要で、また、同時に歌舞伎町で働くホストやキャバのコたちにいい形で『卒業』を迎えさせることも大切なことだと思う。商売のベクトルと従業員の『卒業』はいわば逆のものである。居場所のないコたちに場所を提供し、一生面倒みるんだという経営者もいるが、それは一見正義に見えて大きな間違い。オーナー業に転身できるならばいざ知らず、ホストもキャバ嬢も、あるいは水商売の店員も、一生続けていける職業ではない。つまり、いつかどこかで彼らをいい形で『追い出す』ことも、経営者が考えるべき役割である。人としてどうあるべきか、答えは様々であろうが、少なくとも歌舞伎町はこの街に関わる人たちの人生における一種の節足点になりうる機会が多いということを意識していたい。


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