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7月11日(金)第5回 新宿繁華街犯罪組織排除協議会総会 [まちづくり]

7月11日(金)、損保ジャパン大会議室において第5回新宿繁華街犯罪組織排除協議会の総会が開催された。この新宿繁華街犯罪組織排除協議会は平成15年7月に設立され、新宿署管内の新宿駅東口・西口、大久保百人町、そして歌舞伎町の各地区の商店街、町会、あるいは企業グループ、同業組合や組織によって形成、管内における暴力団および組織犯罪排除を推進する連絡協議会である。地域合同パトロール、あるいは一昨年から進めているみかじめ料不払い宣言大会などの決起集会を主催するなどの活動を行っている。

総会開催にあたって、協議会顧問でもある新宿警察署長から、そして来賓代表として新宿区長がそれぞれ挨拶を行った。

DSC04427.JPG高松義典新宿警察署長(新宿繁華街犯罪組織排除協議会顧問)

「先日行われました、北海道洞爺湖サミットの警備に際しましては多くの方々から格別なるご理解・ご支援をいただき無事終了することができました。感謝を申し上げます。さて、本協議会、発足いたしまして丸五年を迎えたわけでございますけど、一昨年の11月には京王プラザホテルにおきまして約1,300名の方々が出席くださり、ミカジメ料等の不払い宣言大会を開催いたしまして、まさに皆様が一丸となって暴力団に対するミカジメ料を払わないという宣戦布告をいたしました。また、これまでの間、それぞれの地域、あるいは商店街、そして事業所におかれまして、客引きやキャッチをはじめ、あらゆる撲滅作戦の活動を活発に展開をしていただきまして暴力団の資金源枯渇のために日夜ご活躍をいただいているところであります。こうした今協議会の活動は、地域の活動をあずかる署長といたしましては本当に心強くまた大変たのもしく思う限りであります。」

DSC04397.JPG DSC04396.JPG左写真は、地域防犯活動の一つとして、歌舞伎町でやっている迷惑行為排除パトロールの様子。7月7日~9日の洞爺湖サミット開催期間中は『サミット警備地域協力会』の腕章が警察から配られて警察と合同でのパトロールなども行っている。


■新宿警察署管内の状況について(高松新宿警察署長)

「来日外国人等に関わる犯罪の検挙について、全国で起きてます偽造キャッシュカードの事件をはじめに本日までに237名の検挙をしています。次に、暴力団の検挙状況について、殺人、あるいは恐喝等で現在まで168名検挙しています。昨年と比較しますと、数の上では若干マイナスになっています。ただ、内容を検証してみますと、山口組の構成員に関わる犯罪が若干増えておりまして、昨年に比較をいたしまして総数では減っていますけど、山口組に関わる逮捕者が増えている、これは山口組の活動がやや活発になっているという状況がうかがわれるということになろうかと思います。
次に、組織の排除活動でございますが、皆様から数多く寄せられました情報のおかげで大変成果が上がっているところであります。一例を申し上げますと、今年になりましてから賃貸マンションに入っていた暴力団の事務所を排除することができました。また、多くの事業所、あるいは店舗におかれまして利用約款に暴排条項を明確に投入をしていただきました。おかげで、これらの関係者をその場所から排除することもできたんです。そのため、最近は暴力団が来れば、すぐに目立つような環境が整備されつつあると思っております。ひきつづき、ぜひ我々とともに暴力団の排除意識、このお互いの運動を続けていただければと思います。皆様の力が結集すればするほどその威力は大きなものになります。
犯罪組織を新宿から一掃することは私は可能だと信じております。新宿署員も一丸となってこれまで以上に繁華街におけます環境浄化活動、あるいは犯罪組織の徹底した取り締まりとして、犯罪抑止のもろもろの対策を強力に展開をして、安全で安心な新宿のまちづくりにさらなる努力をしていく所存です。どうか、皆様と警察、そして新宿区役所をはじめとします各行政関係機関、関係団体がこれからもより一層団結をいたしまして犯罪組織に対する排除活動を強力に進めてまいろうではないかと思います。」

DSC04428.JPG中山弘子新宿区長(来賓代表として)

「私は新宿の街を、安全で安心な、そして誰でもが楽しめる街、そして住み続けるすばらしい街、そうした街をみなさんとともに作っていきたい、そう思っています。そうした中で、この暴排の協議会が平成15年に設立され5年経ったということで、大変素晴らしいことであると思います。みなさんとともに、歌舞伎町ルネッサンスという取り組みを進めておりますけれど、これは歌舞伎町の街から犯罪インフラを徹底して除去して、併せてこの街が多くの皆さんに楽しんでいただける、そして繁華街としての活動も活発な街にしていくという、そういった取り組みです。
私は、だれかの弱みに付け込んだり、脅したり、怖がらせたりして、そしてそれで利益を得ている、そういう人たちがいる地域というのは、持続的な発展は決して出来ないと考えています。そうした中で、地元の方々がこのように立ち上がって、みんなで手を組んで排除していく。そして、この新宿は懐の深い歴史を持った街です。そういった素晴らしい街にしていく、という皆さんがこのように多く集まっていつも活動していただいていることを本当に心強く、また嬉しく思っています。
警察署の皆さんはもちろんですけども、地元の皆さんとともに新宿区は関係機関と協力をしながら街がこれからも持続的な発展ができるように、その地域にあった、懐に深い愛すべき街である、皆さんが愛着と誇りを持てる、安全・安心のまちづくりを皆様とともに進めてまいりたいと思います。」

DSC04441.JPG暴力団排除功労者の表彰

この協議会総会では毎年、暴力団や組織犯罪排除に貢献した企業・団体等に表彰を行う。今年は歌舞伎町のビジネスホテル白川郷と前田創建(株)が受賞。例年のことではあるが、ホテルの受賞が目立つ。宿泊や大きなホテルだと常住や会合開催などにホテルが暴力団に利用されるケースが多い。新宿繁華街犯罪組織排除協議会は新宿警察署組織犯罪対策課が中心に進めているが、この協議会発足にあたっての一つのきっかけになったのが、ある西口のシティホテルでのことである。山口組系の大物である組織(人権団体)の会長S氏が当時西口のあるホテルに常住していた。彼は実はひっそりとここで仕事(といっても各企業やフロント関係を呼びつけては談合や投資の打ち合わせ場所に利用していた。やがて他の暴力団関係者がこれを知り、挨拶と称してこのホテルに様々な暴力団関係者が集まり始めた。S氏としては望んでいなかったようであるが、結果としてホテルのロビーや喫茶が暴力団関係者で埋め尽くされ、一時は暴力団と警察しかいないような状況になってしまった時期があった。これじゃいけないということで、ホテルから暴力団らを排除し、S氏はある別のホテルに引っ越しをしてもらった、なんていう経緯がある。こうしたことは、比較的大きなホテルには傾向として多く見受けられる。スケールの違いこそあれ、ホテル経営と暴力団利用の関係は常々難しさが存在している。

もうひとつ、高松署長の報告にもあったが、外国人犯罪組織による偽造クレジットカードや偽造パスポート、あるいはクレジットカードの中間決済を利用した暴力団の収益を稼ぎ出すシステムの拠点がやはり新宿警察署管内には多く存在し、これの摘発に力を注いでいるようだ。実際に、歌舞伎町にも拠点があることは自分も把握しており、歌舞伎町のまちづくりの最大の軸でもある暴力団の資金源インフラの除去という意味でも、これの事件化・摘発は求められるところだ。自分の観測では、歌舞伎町におけるクレジットカードのアクワイアラを仮想した犯罪組織の収益は年額で10億を下らないと見ている。

さて、その後、日本弁護士連合会民事介入暴力対策委員会副委員長の疋田淳氏による暴排講演が行われた。

DSC04445.JPG日本弁護士連合会民事介入暴力対策委員会副委員長 疋田淳(ひきたきよし)

【プロフィール】昭和30年7月、奈良生まれ。同53年3月、関西大学法学部法律学科卒業、同54年10月、司法試験合格、同57年4月、弁護士登録(大阪弁護士会)、同62年4月、疋田法律事務所開設。この間、大阪弁護士会等において、財団法人大阪府暴力追放推進センター相談委員、組織犯罪対策立法等検討協議会副座長、民事介入暴力対策委員会副委員長等を歴任。平成18年度、近畿弁護士連合会民事介入暴力対策委員会委員長、同年度、大阪弁護士会民事介入暴力及び弁護士業務妨害対策委員会委員長、同年度、財団法人大阪府暴力追放センター理事。
現在、日本弁護士連合会民事介入暴力対策委員会副委員長、八尾市入札等監視委員会委員長に就任。とくに長年暴力団排除活動の中心として活躍、暴追講演をはじめ数多くの暴力団事務所明渡訴訟、暴力団組長責任追及訴訟に尽力、それらの功績により、本大会において「暴力追放栄誉金賞」を受賞。

■疋田淳氏講演より:

「大阪はキタとミナミとい繁華街を抱えています。とくにミナミというところは、非常に新宿とよく似た街でして、ミナミは在日外国人犯罪も非常に多発しているところです。大阪府警も大変困っている、また住民も困っているところです。街を歩いていても、ハングルのが多い。呼び込みもほとんど韓国訛り、中国訛りで呼び込みされる。若い人たちが中心となった街で、そこに家族ぐるみでみんなが楽しく遊べるような街というにはほどと遠い状況に
なっています。これは、常々言われてるんですけども、『ワルは西から』、つまり我が国最大の暴力団山口組は神戸に本拠を持っている。よく山口組は大阪と思われてますが、兵庫です。我が国の最大といいますが、指定暴力団の半数を占めているのが六代目山口組という、司忍というものが組長をしておりますが、これが一昨年襲名しておりますが、以後、ヤクザは何を求めるか、『利益』を求める、金のあるところを嗅ぎつけてやってくる。したがって、日本最大の首都である東京にやってくる、それが國粋会の吸収ということになったのだろうと思います。
私どもは、國粋会が山口組傘下になったということで、当然これは地元の住吉会、稲川会等々と何かあるのかなぁと心ひそかに期待はしてたんですけど、これ変な言い方ですけど私、本気で言ってるんですが、暴力団同士が抗争します、結構です。やってください。あなたがた同士で。どこか、離島に行って、心行くまで撃ち合いをしてください。殺し合いをしてください。一切関知しませんと。ところが、そんなことはしませんよね。街中で発砲してしまう、こういうことで皆さんが巻き添えになってしまったりする、これを防がなくてはならないわけなんですけど。暴力団は、変貌していっている、変わっていっている。これは、指定暴力団という形ではなくて、反社会的勢力という、これは昨年来警察庁が声を大きくして言っている『反社会的勢力』、こういうものとして捉えなければならないという、その現状についてお話させていただきたい。

◇暴力団組長への使用者責任訴訟、組員の不祥事は組長の責任

平成4年に、暴対法という法律ができました。これは暴力団に対決するバイブルとわれわれは呼んでいる。平成4年に暴対法が出来たときに、私もそれをきっかけに私も民暴活動にかかわるようになりました。民暴活動をやるようになりますと、ヤクザ用語でいうところの足抜けができないということで、今に至っている。これまでに暴力団の組事務所の明け渡しを約20件近くやっております。いわゆる使用者責任という裁判、街中でドンパチやって巻き添えで一般市民が撃たれてしまう、死んでしまいます。九州で昨年来、同仁会と青道会がドンパチやっております。九州で、非常に激しい暴力団です。
この結果、一般市民が暴力団員と間違えられて殺されましたよね。こういう時に、もちろん犯罪が起こっているわけですから、当然検挙するのが警察の仕事です。捕まえます。しかし、捕まえたところで、鉄砲玉ですよね。暴力団組織でいう一番最末端が、組長あるおは幹部の指示で、それで巻き添えで市民が被害者になる。でも、捕まえた。どうするか、刑事罰、場合によっては死刑ですよね。
しかし、殺された人間の被害はどうやって回復するんでしょうか?これ、損害賠償としてお金を請求するしかないんですよね。でも、捕まえた鉄砲玉は金ありませんよね、当たり前のことですが。裁判やったところで、弁護士費用倒れになってしまうわけですよ。で、これ、おかしい。理不尽だと。ありえない。
ということで、これが暴対法ができるきっかけになったのですが、我々が大阪で、NTTの元の職員で山下さんという方が当時山波抗争という山口組と波谷組の抗争に巻き込まれて、昼に家でお昼寝してるところを撃ち殺された。何で撃ち殺されたか。たまたま、山下さんがその数か月前に引っ越してきた。その引っ越しの時に、実は波谷組の幹部がそこにいたんですよ。そこを知らずに引っ越しをした。で、ヒットマンはそれを確認もせずに家の外から山下さんを射殺してしまった。その時に、我々は考えたんですね。やっぱり、絶対これはおかしい。何かできないかと。そこで考えたのが、使用者責任。
これは何かというと、民法では、事業者が使っている人間、使用者が何か不法行為、何か悪いことをした場合にはその責任を負うという規定があるんです。で、これが適用できないかと考えたんですね。民法715条、使用者責任というんですけれども、これをできないか、我々は当時出来るはずだと考えた。なぜかというと、暴力団組織というのはきれいなピラミッド組織です。山口組でいうと、六代目の司忍こと篠田建市(しのだけんいち)がトップにおりまして、約100人の直参の組長がいる。それぞれの組長がまた3次組織4次組織5次組織というのを持っている。命令一下伝達がすべてに下りる、なんでそういう組織を作るのか、このピラミッドは下から金、上納金を吸い上げるためのシステムになっているんですね。山口組本部に毎月毎月、5日が定例日ですけども、毎月毎月莫大なキャッシュが入るわけです。これ、考えてみれば、皆さんの会社と同じで、社長がいて従業員がいてという会社と同じですよね。
で、従業員が不祥事を起こせばトップが責任を負うというのは当たり前じゃないですか、と考えた。これは山口組のトップの当時渡辺五郎に責任追及できると思うんですけどと大学の先生に相談に行ってお話したところ『それは無理ですよ。』と言われた。で、なんでですか?というと、そもそも民法が考えているというのは、ちゃんとした会社であるとかいわゆる通常の場合を考えているわけで、犯罪組織集団を想定して法律は作ってないと。しかし、民法にそんなことはどこにも書いてない。お金を吸い上げるということは、その責任もとってもらわなくてはいけない。使用者が何で責任をとるかというと、従業員を使ってお金儲けをしてるわけだからじゃないですか。だから、お金を儲けてて、肝心な時に知らんというのはおかしいじゃないかと。だから、私どもは使用者責任を問えると言ってですね、大学の先生はできない、いや我々はやってみますということで、約90人くらいの弁護団を組みまして訴訟をやりました。その結果、最終的には和解しました。和解といっても、我々の請求を全額認めた上に、渡辺はさらに2千万を上乗せして払ってきました。こういう活動がアイディアとなって、暴対法という法律が出来た。
その後、京都でも抗争事件が発生して、私服の警察官が暴力団員と間違えられて射殺された。この時も、我々は弁護団を組んで使用者責任訴訟をやりました。そして、残念ながら一審では山口組の組長までやれなかった。しかし、高裁で逆転判決をした。で、これが最高裁までいき、最高裁判決ではわれわれの主張を全面的に認めてくれました。不合理、不条理は、必ず我が国の法整備のもとでは権利は守られているんだということが最高裁というところでお墨付きを出してくれた。そういう成果があった。

一方で、私は、個人的には不良債権といわれているところの住専の問題を整理するために整理回収機構というのがつくられたというのをご存知かと思いますが、そこの顧問を約10年間やりました。そこで何をやっていたかというと、主に暴力団に対する貸付の回収をしてました。ここでですね、金融機関がどれだけの莫大なお金が暴力団に流れているか。ある大阪の信用組合の貸付の不良債権のほぼ半数以上が暴力団であるという実態。和歌山のある信用組合に至っては、その7~8割が暴力団への関連融資であるということがわかりました。その時に、その信用組合の理事長が何を言ったかというと、『督促したらあかんで、危ないからやめときや。』それが実態なんですよ。その結果、不良債権が日本中に流れて、国民の税金が数千億投入され、整理回収機構を使って今回収をしているところなんです。
今、広島の指定暴力団共政会という、これは『仁義なき戦い』で有名な非常に過激な暴力団ですが、これが公共事業の解体業のですねピンハネ構造を作ったんですよ。そういう解体業協会を抑えて、そこで『挨拶料はらわんかい』と言って1割を吸い上げるシステムを作った。守屋という組長なんですけれども、この守屋につい先日実刑で懲役6年の判決が出たんですけど、この守屋の対して解体業組合のお金をむしり取られた業者さん、3千数百万ですがこれの請求訴訟を弁護団を組んでやっております。
また、先週強制執行したんですけれども、大阪市、大阪府。まぁ、なんでもありと言われてるか、とんでも公務員とでもいいますか、言うのも恥ずかしいところなんですが、大阪の市有地の上に暴力団の組事務所があるんです。で、市と借地契約している・・・・考えられんでしょ。で、これが新聞にすっぱ抜かれたんですね、おかしいやないかと。これは山口組の三次団体なんですけど、なんで堂々と。その時マスコミに叩かれて、大阪市はどうコメントしたかというと『市の顧問弁護士と協議いたしましたが、借地権があるので契約解除できません。追い出しできません。次の借地契約が終了する平成23年の時に考えます。』と。この公務員、それから市の顧問弁護士、皆さんどう思われます?考えられない。市有地とは、市の財産ですよね。そこに暴力団がある、それだけでおかしいと思わなくては。で、マスコミで叩かれ議会で追及され、結果私どもに依頼が来て、我々はこれはできると。
そもそも市の財産というのは、市民共通の財産です。この財産というのは公共の利益のために使わなくてはいけない。公共の利益に反する使い方をしてはいけない。暴力団組事務所というのは、まさしく公共の利益に最大に反する組織、存在ですから、契約は解除できると。こういうことをやりまして、勝訴判決、高裁でも勝ちまして、で、実はこの建物は組長名義ですから、先週ブルドーザーで壊す作業をしました。痛快ですね。今までは引っ越しさせるだけだったんですが、今回はぶち壊しだったんですね。この費用もまた相手から取ろうと考えてるんですけれども。

関西は、同和問題というのがあります。いわゆる部落問題ですね。国の同和対策基本法は、その後、いろんな名前に変わりまして地対財特法という法律が平成14年に終了しているわけですね。つまり、国家として事業として同和対策はしませんよとこういう風に宣言した。にもかかわらず、関西では無尽蔵のお金が同和対策事業として流れた。その中で、一昨年、飛鳥会の小西という男が捕まりました。まぁ・・・すごいですよ。新大阪という新幹線の駅がありますが、その近くに駐車場があるんですが、この駐車場を大阪市が小西と契約しているんですよ。普通は駐車場収入を報告してそこから一定の1割か2割の管理手数料をもらうというのが普通ですよね。大阪市の場合は違うんですよ。『とにかく一年間、これだけ払ってもらえば結構です、あとはお宅のものです。』と。実際は200台近く停められる駐車場を100台しか停められませんとウソをついて、と言ってもそんなことは市の職員もみんな知ってますよ。で、それを延々30年間やってきた。毎年だいたい1億以上、これだけでだいたい30億の利益がこの組に流れていた。私どもはこの飛鳥会を相手に裁判を行い、小西自体は4年六ヵ月だったかの判決が出ましたが11月に亡くなってしまいました。こういう似非同和の事件とかは、関西では一番大きな問題で、今もやっております。

また、和歌山の山口組の直参の暴力団組長に対して、この「組事務所を競売にかけています。これを競落してびちこわしたろう、そう考えています。組事務所の明け渡しとか、そういう話をしますとね、それは非常に結構なことだと、でも、暴力団自身はどんどん移っていくだけじゃないかと。署長さんも仰るけど、いやぁウチの管内から出て行ってくれるとありがたいんですけどねって。それで、また来ましたってね。いわゆるイタチごっこじゃないかと。確かにそういう面はあります。じゃ、イタチごっこだから何もしないのかというと、それはそんなことはないわけです。
イタチごっこを繰り返していく中で、彼らが疲れていくなり経済的に衰えていくということを我々はしなくてはならない。だから、どんな小さな組事務所であれ、こつこつと追い出していく、防衛活動を地道に続けていくことが大事なわけで、最初からあきらめて、どうせどっかに移るだけって、そんなことはないです。
私どもが先週やった組も、事実上解体しました。そりゃもう、彼らにしてみればメンツ丸つぶれですから。市に裁判で負けて、組事務所を壊されて、そんなもん、看板掛けて代紋をはって歩けないわけですよ。だから、その組事務所は事実上消滅してしまいました。こういうことで、少しづつ成果がでてくる。

先ほどの競売の和歌山の組事務所に関係することなんですが、ある割烹で、ご主人とヤクザが昔からの幼馴染なんですね。このヤクザが、山口組直参の佐々木組という暴力団の若頭なんです。こいつが、田舎だからでしょうけどね、金融通してくれってことから始まって、毎日毎日ツケで飯食わしてくれやと。
ウチの若いもんにちょっと飯くわせてくれやと、言うようなことから始まりまして、6,000万、貸金と飲食代金もになった。そして、断わると、非常に言葉悪いですけど『糞ぶちまけたる』といって実際やりかけたんですよ。で、目の前で、自分の配下の組員の頭にライターで火をつけて、ここ燃やしたるぞと。古典的というか、この若頭。
で、割烹は当然被害届けを出しまして、警察がようやく立件して、これを先ほどから言ってる使用者責任訴訟をやろうと。当初弁護士は若頭だけをやろうとしたんですけども、私はぜひとも組長まで責任を追及すべきだと。組長は、自分の若頭がそういうカツアゲとか無銭飲食やってるなんて知らないわけですよ。たしかにそうだろうし、そういう抗弁をする。しかし、割烹やは何が怖いかというと、その佐々木組という看板、代紋が怖いから、毎日毎日来てもお金を請求できずにカツアゲされてもじっと我慢してた。その責任はやはり、組長がとるべきじゃないかと。で、つい先日、6月17日に和歌山地裁で判決が出ましてこちらの主張、6,714万という請求が全面的に認められた。
この裁判で画期的だったのは、慰謝料というのも請求していたんですが、通常このテの事件の慰謝料は100万程度だったということですが、この裁判では慰謝料も500万ということで画期的な金額も認めてくれました。また、こういうシノギ活動全て、組員の行った不祥事は組長が責任を負うんだということを高らかに宣言した判決が出たわけです。

実は、平成4年に制定された暴対法、暴力団対策のためのバイブルのような法律ですが、これが今年の5月に改正されまして、その中にいわゆるシノギ活動、ショバ代などもそうですが、そういう威力を利用した資金獲得行為に関しては基本的に暴力団組長は使用者責任を負う、という法律ができたんです。ですから、国家、国、行政も含めてこのように法整備を今着々と、そして裁判所がわれわれの主張を聞いてくれて着々と整備していっている。こういう活動が現状なんです。

◇暴力団のマフィア化、仮想脱退・破門・絶縁等による地下潜行傾向、日本は世界で稀に見る組織犯罪大国という認識を。

この新宿繁華街犯罪組織排除協議会は、全国に先駆けてミカジメ料を一斉排除しようというもので敬服いたしましたが、その活動が、たとえば高知県で、ある小さな街でですが、その街の飲み屋さんとかスナック、割烹とか、非常に小さな街なので10数件ですが、それらから委任状をとりまして、ミカジメ料一斉拒否通知というのを内容証明で町内にある暴力団に一切今後払わないというのを送りつけた。その活動が、今高知を含めて警察庁もそのバックアップをしてどんどん広めている。ただ、新宿はそれは規模的にも物理的にそれはできませんから、一斉拒否というのではなく運動としてやられてる、それはそれで結構なんですけれども、実は小さな街でもそういった活動を去年からはじまっています。


平成4年以降、こういうようにいろんな形で法規制で絞めつけようというと形をしますと、暴力団というものが代紋では飯を食っていけない、つまり暴対法等法律では不当要求行為といいまして暴力団の威力を示すという言い方をします。バッチですね、オレは山口や、稲川や、住吉だっていう、それを背景にたとえば因縁づけをしてお金をゆすったり先ほどの飲食代金を踏み倒したり、こういうことをした場合に中止命令を出すという法構造になっている。となると、要は簡単なことですが『暴力団ではない』と言えばいいわけです。それで、平成4年当時、山口組が組本部から傘下に一斉にファックスを流したんですね。
『これからは、各組長はそれぞれ法人を作りなさい。株式会社を作りなさい。』という通達をだした。で、ある組長はあんまり考えないでそのまま(株)○○組とつけちゃったんですけど。ま、考えられないですけど、そこら辺が所詮暴力団なんでしょう。つまり、暴対法のがれをしようと考えるわけです。これを、私は常々言っているんですけど、暴力団のマフィア化と言う。世界各国の中で、ワシはヤクザやと、街の真ん中に代紋つけた組事務所を構え、街を闊歩している国がどこにあるんですか?これは、非常に恥ずべきことだと思う。大阪ミナミなんていうのは、5m10mおきに組事務所がある場所があります。署長の部屋入るとですね、管内マップがあって、組事務所にピンで止めてあるんですね。まっかっかで見えないんです・・それぐらい集合しているわけです。それをヤツラは昼日中から紋々出して平気で歩いている。さすがに今は減ってきたが、そんな国は、世界で日本だけですよ。
日本には準構成員もいれていわゆる暴力団と言われている人は8万5~6千いますけど、じゃ、アメリカはマフィアがどれくらいいるのか?人口約3億に対して2万人、イタリアは人口5800万に対し1万7千人なんです。アメリカの場合人口1万人に対し0.6人、イタリアは2.9人の暴力団がいる。しかし、日本の場合は1万人に約7人。大変な数字なんですよ。安全・安心なまちづくりって、警察庁が音頭をとって所轄も含めてみんなでやりましょうというのは、実は日本は大変組織犯罪大国であるということを認識しなくてはいけない。組織犯罪者が8万人以上いるという、異常な国であるということをよく理解していただきたい。そして、私がマフィア化と言っているのは、今、代紋を隠すという地下潜行化している。平成18年にはじめて構成員と準構成員の数が入れ替わって、準構成員のほうが増えました。これは、仮想脱退とか破門、絶縁という形でどんどん組の名簿から外していくという形がある。一応ヤクザではない、周辺者とか準構成員とかの数字が統計とってから初めて平成18年に逆転した。

◇山口組集中構造、勝ち組ヤクザと負け組ヤクザ

地下潜行を伴ってマフィア化したというのは、山口組に集中してきた。関西は経済では負けておるけれどもヤクザでは負けてへんで、という状況。この六代目司という男は、愛知を基盤とする。弘道会というところを基盤とする郎党なんですが、愛知万博、中部国際航空、あらゆるシノギにすべて絡んで莫大な金を手に入れて、金で六代目の地位を獲ったという男です。今日、ケンカが強いってことでヤクザは張っていけない。金儲けがうまいヤクザが張っていける。勝ち組ヤクザというのは、まさしくそこにある。紋々入れて頭パンチして肩で風切って繁華街をうろついている人間は負け組ヤクザ、また、九州の方でドンパチやってるヤツラ、負け組ですよ。こんなの勝ち組のヤクザにしたら、アホや、って思ってる。あんなことしたって、警察に捕まったら終わりやないかと、アタマつかえよアタマ、というわけで、勝ち組ヤクザは違う方向に行こうとしている。これがマフィア化なんですよ。

昔は企業舎弟という言い方をしてたが、今はカッコよくフロント企業といいますけど、勝ち組ヤクザがまず考えるのは、正常な企業活動を仮想するというやりかた。だから、フロント企業を作って、で、肝心なことがあると実は・・・という本性を現す。フロント企業というのは昔からあるんですけれど、暴力団の典型的な資金源、つまりショバ代とか麻薬、売春、こういうようなところをやっている負け組ヤクザと違って、目の付けどころが違うのが勝ち組ヤクザ。

どこにヤクザが眼をつけたかというと、まぁ小泉さんを悪く言うわけではないが、構造改革、規制緩和という名のもとに参入の壁を低くする、たとえば株の上場では、今までは一部二部、あるいは店頭とかなかなか上場はできなかった。これがマザーズとかジャスダック、ヘラクレスとかいくつもあるが、それらも上場企業。で、上場企業になりますと、これらは自由に資金調達ができるんですね。ITバブルのような、地に足のついていない実体のない男どもがわが世の春を謳歌した、それが一気に崩壊し、その時、ITの経営者たちは何を考えたかというと、金をどうにかして調達しなくてはいけないんですね。この調達をし、あるいはするために上場したい、または上場を維持したいわけですよね。そこで、ヤクザマネーが投入される。その時にいわゆる協力者としてファンドマネージャーが登場する。彼らの証券のあらゆる知識を利用してヤクザと経営者を結びつける。会社に担保は何もありません、何を担保にするかというとその会社の株なんです。それによってそのITの会社をヤクザマネーによって支配することができる。そのIT企業がジャスダックやマザーズの上場企業であった場合、この企業をヤクザが抑えたことによってまた上の会社を呑んでいく、企業の統合をどんどんやっていく、そしてそこで売り逃げてしまう。そういう手法をやっていく。

そこで流れているお金は、それこそ考えられないほどの額が動いている。もちろんインサイダーな取引もできます。会社を支配しているわけですから。また、ファンドという形で、これは匿名組合という、つまり誰がお金を出しているか分からないようにやってる。それにタックスヘブンという形で海外を迂回させ金を流していく。また株価操作もやります。昨年梁山泊という大阪のパチンコ情報雑誌の会社が株価操作で大阪府警四課が立件した事件なんですけども、四課長に話を聞くと、専任捜査官を10名以上1年間張り付けてようやく立件した。警察も株のことをさっぱりわからない、株のことを一から勉強して、それでようやく立件した。最後のところで、その金が具体的にどの暴力団に流れたかまでは残念ながら今のところまだ判明していないと仰っているわけですけども、
こういう形で莫大なヤクザマネーが流れていく。一方で、ヤクザが資金を利用してこれを資金洗浄、マネーロンダリングという、つまり麻薬や博打などのダーティなお金を綺麗にするわけです。これにも、このようなファンドを使った形をしている。

我々は、証券業界に対して、やはり暴排をやってくれと。もし、暴力団が上場企業と関係していることがわかった時点で上場廃止にする、そうしないと一般投資家が被害をこうむるわけですから、で、昨年ようやく警察庁として証券保安連合会というところでそういう取り組みをして暴排要項を決めている。そして、暴力団を締め出すことをようやく昨年来開始した。暴力団は共生者といいますか、ファンドマネージャーやトレーダーと組んでやるわけですよね。そういうトレーダーやファンドマネージャーはお金を動かしているだけ、悪いことをしてるわけじゃないということで非常に罪の意識が薄い。被害者も暴力団も関係ないと。

こういう形で、一般社会に暴力団が深く根を張ろうとしているわけです。昨年、政府の犯罪対策閣僚会議が、企業に対する暴力団排除の指針というのを出した。これからは、企業が暴力団と取引をしているということが分かった場合、その企業は命を失ってしまう。最近の事例で申しますと、スルガコーポレーションが都内の地上げを大阪の光誉実業というところを使った。これは私が顧問をしている自治体にも出入りしていた業者なんですが、大阪では札付きのワルだったんですけど、知らぬ間に東京にきてそんな利益を上げてた。スルガコーポレーションはその後、やめますと言いましたが、それがどうですか?つぶれましたね。民事再生入りましたね。スルガコーポレーションは、暴力団と分かっている、また、簡単に注意すれば分かるような会社を頼って平気で取引するような会社は経済社会から消えていただいて結構です、ということだったんです。会長さんは、『知らなかったんです』と、しかし知らないはずないじゃないですか。そんなの、どうような形で地上げしているかぐらいすぐ情報入りますよ、知らないはずないじゃないですか。それじゃなかったら、誰が簡単に地上げなんかできますか?はっきり言ってグルじゃないですか。だから金融機関が一斉に金を引き揚げました。その結果つぶれました。これが、暴力団と関係を持った企業のなれの果てです。
ですから、企業経営者としていわゆるコンプライアンスが出来ていない企業は今後社会で生きていけない、国の指針、証券市場はそう言う形でどんどんやってくるわけですから、もし経営者の方がおられたら暴力団との関係が出た場合はその企業の企業生命は終わってしまうという風に考えていただければいいのかなと思う。

◇反社会勢力への対抗、基本は警察力。警察にもっと捜査上の武器を、暴力団には人権はない。

こういう反社会勢力に対し、何が基本かと申しますと、やはり警察なんです。警察力。これは恒常的なんです。警察力こそが反社会勢力に対する最大の武器であるわけです。で、大変ありがたいことに警察力は無料です。暴力団とか反社会勢力の人間というのは、それなりにいろんな形で巧妙にやっている。でも、彼らは刑務所に入りたくない人間ですから、私は彼らは塀の上を歩いている人間だと思う。だから、因縁つけにせよ不当要求にせよ、生の暴力で、また生の恐喝行為でそういうことをやってきません。非常に湾曲な形で、巧妙に皆さんにアクセスしながらじわじわと実はそういう人間なんだと思わせる形でやってくる。彼らは刑務所の塀の上を歩いている人間だから、決してひるむ必要はない。そういう人間は常にリスクを抱えていますから、みなさんに対する不当要求に対し毅然と対応した場合は必ず引きます。それはなぜかというと、次のターゲットを探した方がてっとり早いんです。常々申し上げているように、初期対応、最初の段階で、たとえばめんどくさいなぁ。。金払お。ということがあると相手は、あ、コイツは組みしやすいなと、この会社は金取れるなということがインプットされる。払った方も、払ったという後ろめたさがある。そうすると、彼らは中にどんどん入り込んでくる。最初の段階で遮絶をする、毅然と対応する、警察に通報する、こういうことをすれば、相手もコイツはちょっとまずいなぁ、ほなほか行こかとなる。これが、皆さんの身を守る最善の方法なんです。そして、何よりも初期の段階で警察にご相談をいただく、その時に洗いざらい警察に言っていただく、そうじゃないと協力してくれませんよ。自分に必要な時だけ利用する、ガードマンじゃないんですからそういう形であってはいけない。もし自分に不適切な対応があったらそれはその時で弁護士に頼んで弁護士を介して交渉する、あるいは刑事告訴すればいい。たとえ従業員がミスをした、不始末があったとしても、それは謝罪して賠償すればいい。それをこれだけ持って行ってくださいとかやると、『ほなまた来るわ』ということになる。

こうした組織犯罪、反社会勢力が眼に見えない形でどんどん皆さんの社会に入っていこうとする中でやはり警察も私は武器を与えてあげなくてはいけないと思うんですよ。市民の生活を守るということは、警察も弁護士も同じ視点に立っている。もちろん警察の行き過ぎがあれば、我々もそれを批難するけれども市民の対暴力団、対反社会勢力と考えた場合には私は一緒に手を携えて私どもは警察と常に一緒に活動をしている。そういう警察に、もっと力を与えてあげるべきではないかと思う。

実際問題、警察の捜査手法として、たとえば刑事免責という制度、つまり雑魚をどんどん口を割らせる、そのかわり雑魚は無罪放免、組長のことを言ったら無罪放免だというような刑事免責の制度を導入する。また、有罪を認めたらそれと取引してこれを認めたら刑を軽くするとか、こういうやり方とかおとり捜査をするとか、潜入捜査をするとか、またわが国でも通信傍受法案という口の悪いマスコミは盗聴法なんてバカなことを言ってますけど、実際全然使われていない。非常に手続きが煩雑で、効率が悪い。せっかくの武器なんですけどほとんど使われていない。それは日弁連が反対するからですよ・・バカな団体で申し訳ありません・・・^^;

しかし市民の皆さんが声を大きくして、暴力がない、また暴力のない市民社会を作るというのは誰が反対するんですか?共産党だって反対しない。私は常々あちこちでお話をするときに、暴力団に人権はないということを申し上げます。あたりまえじゃないですか、人の人権を踏みにじる人間にどうして人権が与えられるんですか?暴力団をやめて、正業に就けば人権が与えられるわけじゃないですか。ですから、暴力団に人権が無いのは当たり前のことなんです。その当たり前の社会を作っていくためには、まだまだ法規制や法体制、そして捜査手法をもっとみんなで英知を集め、たとえばアメリカの法律で、犯罪組織をつくること自体何も犯罪を謀議しなくてもその段階で罪に問うとか、たとえば今ある暴力団に対して解散命令を出して、解散に従わなければそれで有罪にするとか、そういう知恵を出してやっていく。

◇エコ、環境より犯罪のない社会を作ることが優先

これは国、国家の問題なんですよ。福田さんが、サミットでエコが大事エコが大事というのを、エコよりも犯罪のない社会を作るのが私はサミットの皆さんで話し合って、今は国境をまたいでマフィアや日本の暴力団が手を繋いでいるわけじゃないですか。マネーロンダリング、タックスヘブンの問題もあります。国際的に協力しながらやっていくのが本来のサミットであるべきじゃないのかなあと。エコばっかりやってても、足元、本当に安全な街をつくるというあたりまえのことをやらなければいけないのがこれからの政治の課題だと思うし、市民の皆さんも声を出してどんどんやっていく。そして非常に小さな活動かもしれませんが、一つの組事務所を追い出す、勇気を出してショバ代を断る、ミカジメ料を断る、その積み重ねが大きな流れとなって、世界に稀に見る組織犯罪者が存在する我が国からそれをなくすことができる。暴力団や反社会勢力は、決して他人事ではありません。いつ皆さんが被害にあわれるかわからない。そのためにも警察をはじめ、法整備はじめ、そして皆さんが勇気を持ってやっていく、こういう活動を続けていただくことが大事だと思います。」


今回の暴排のポイントは、なんといっても今年改正された暴対法で、組員の不祥事は組長、あるいはさらに上部団体のトップの賠償責任拡大が行われたことにある。平成16年の改正では対立抗争時において生命・財産に損害を与えた場合であったが、これが今改正では恐喝やみかじめ料などの取り立てにおいてもすべて組長・上部組織トップに至ってその賠償責任を明確にしたことにある。そのほか、中止命令や防止命令の拡大などもあり、今や「暴力団員」を名乗ってしのぎをすることはもはや時代遅れというか不可能に近い状態になってきた。先ごろ、闇金には元金も含め借りた金を返す必要はないという警察庁指針もでて、いよいよ暴力団は資金獲得に代紋・看板を使う時代は終わった。一方で、行政対象暴力によく見受けられる人権擁護を仮想した暴力団の資金源獲得手段はまだまだ多い。よく言う福祉ゴロなんていうのは、関西ほどひどくはないものの新宿区にも知ってる範囲でもザラにいる。区につっこむと認識はあるものの、手を打つ意欲はほとんど無い。そもそも論として新宿区の暴力団に対する及び腰を感じざるを得ない。

疋田氏の講演を聞いてて、先だってヤクザマネーのことをNHKが特集して番組にしていたが、そのことになぞらえる話が多く、特に証券業界を中心としたヤクザマネーの流入は今や社会問題化している。すでに最近のマザーズやジャスダック、ヘラクレスなどの下落原因がこのヤクザマネーへの締め付けによるものという声もある。実際資金量の実に3~4割がこうしたヤクザマネーであるという指摘もあるほどだ。ヤクザマネーはこうした市場に入り込み、洗浄され膨張しているということである。

疋田氏の話、とくに警察の捜査手法に関してもっと武器をという意図はよくわかる。現実に違法とは言えおとり捜査があるのはもはや実体でもあるし、とはいえ、ここには根本的な危惧もないわけではない。とりわけ公務員や警察、政治の不祥事が日常茶飯事に暴露され、構造以前に『人』のモラル感が崩壊している日本。モラルや正義が失われていく社会において、たしかに法規制は人の行動を縛り、また抑止力にはなっていくが、一方で、そういった規制強化、コンプライアンス遵守という言葉が社会をもっともっと息苦しいストレスの強いものへと変質させ、しかしながら弱者に対するハザードが欠落しているがゆえに、それらがいわば反社会思考へと結びついていく、犯罪を助長し、さらに治安を悪くさせていく。すでに、この国は悪循環からのスパイラルから抜け出せなくなっているような気すらする。本来モラルハザードの牙城である『教育』ですら、教員採用に伴う贈収賄発覚は大分を震源として全国に波及し用としている中、もはや教育すら信用できない国家ってなんなんだろうかと思う。話は変わるが、東京都で石原都知事が支援を強行した新銀行東京にしても、破綻原因の貸し倒れの5割は実は都議の斡旋によるもので、それがさらに暴力団にも流れているという話をある筋から聞いた。都議斡旋の案件は審査なし、催促なしのある時払い、ホントにありえない・・・住専と一緒、それじゃぁ都議会の追及も甘くなるよ。。。。

国家、あるいは政府、議会、行政、こうした公共に対する国民の信頼が失われていく中で、何の方策もなく規制を強化し市民の自由度まどもが奪われていく、あるいはなんでもかんでも法令遵守を掲げさせるそういったものは、一方で法益の確保、すなわち既得権に居座りつづける少数派の多数による民主主義の独占を意味しているように感じてしまうのは自分だけではないのではないか。疋田氏は暴力団の実態が変化していることを効果として、あるいは対症療法的にとらえるが、個人的に思うのは実態は変化してても本質は変わっていない。戦後60年、革命なくして似非の民主主義を手に入れたこの国家のあり様はまったく変わっていないのではないか、もっと本質的な課題が深く深く内在していると思う。だから、暴力団対策、犯罪組織対策において警察力をもっと機能できるようにというのはわかるが、一方で『人』として政府や政府の政策の道具でもある警察にこれ以上力を与えていいものだろうかとも思うのだ。警察には正義がある、とは思いたい。しかし、正義とコンプライアンス遵守とはまるで違う。だが、正義よりコンプライアンスにプライオリティを見出さざるを得ない警察官もいる、そこが危惧。

つくづく思うのは、歌舞伎町ほど安全な街はないということだ。それは警察力の背景もあるが、現実は眠らない街であるからこそ、衆人環視が効いていて抑止力が働いているということで、たしかに客引きだのキャッチだのとうっとうしい軽微な犯罪は山ほどあるが、とはいえ凶悪犯罪は非常に起こりにくいある種の防犯インフラがきっちり出来上がっている。歌舞伎町には水面下には犯罪組織の拠点などがあり、これはこれで粛々と取り締まりをすすめていけばいい。しかし、これほど若干不快感はあっても体感治安の高い街に、なんでこうまで警察や行政は干渉しつづけるのか。それは、そもそもこの街の持つ発信力に起因する。いわば警察にとっても行政にとってもステージなのだろう。だから、本質的な問題よりも、点数稼ぎや表面的なPRに繋がることのほうにむしろプライオリティが高い。もっと構造的に複雑な犯罪組織の資金源インフラは内在しているにもかかわらず、政治も警察も行政もなかなか手を出さないし、腰が引けているのが実態。そこをなんとかしてこその繁華街対策のはずなんだが・・・。そう言った姿を見続けてきたからこそ、なかなか警察、とりわけ生安や行政に街は信頼を置きにくいという状況を生み出してしまっている。信頼できる課長や代理がいると、そこにはもっと力を持ってほしいと思う時もあるし、逆に頭が固くて法令遵守以外どうしようもない課長の時は、ああ、これじゃダメだ・・・と思うし、結局まちづくりは常に人依存。歌舞伎町ルネッサンス推進協議会にしても7月10日に発足したTMOも同じ、構造は悪くない。しかし、そこに立つ『人』がどうなのか。構造や法をいじってもそれは常に限界があり、そもそも『人』なんだよなぁ・・・というのを痛感している今日この頃です。

なお、今年もみかじめ料不払い宣言大会が行われる。10月9日、場所は「コマ劇場」。2000人規模で、「みかじめ料を払わないぞ!」「オー!!」と恒例の鬨の声を上げる。一つひとつ、こうした活動もそれぞれ意味はある。だが、決して過大評価をしてはいけない。もっと大事な課題が山積みになっていて、場合によっては気づいていながら手をつけないままになっていることもあるということを。


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