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新宿警察署の新署長に高松義典氏が就任-3月5日(水)新宿防犯協会総会より- [まちづくり]

3月5日(水)、ハイアットリージェンシー東京(旧センチュリーハイアット)において新宿防犯協会(伊藤会長)の総会が開催された。防犯協会というのは、安全・安心の効果的な推進、公共機関・防犯協力団体等と連携をはかり道路・公園等公共の場所の安全確保のための防犯カメラの設置・促進を図り安全・安心の新宿のまちづくりの推進、少年非行防止および少年の社会活動参加促進、防犯ボランティアに対する活性化対策や長寿社会対策の推進を行う民間組織で地域商店街や町会を横断的につないでいる構造を持っている。古くは、戦後混乱期において、警視庁の人員が6~8,000名程度だったころに地域住民が防犯ボランティアとして活動を始めたところにルーツがある。一時GHQから活動中止命令を受けたといった経緯もあったようだが、のちに認められ、それが今の姿へと継承されているもの。新宿防犯協会の場合だと、年間予算額は約1,100万円、新宿警察署管内における活動にこれが当てられる。予算に対する収入は一部新宿区からの補助金22万5千円が入っているが、概ね会費収入で賄われている。会員数は約560名、平成20年度の会費収入は813万2,600円。現会長は歌舞伎町2丁目花道通り沿いに割烹料理店“車屋”を営む伊藤商店の伊藤正徳会長。

DSC00719.JPG3月5日、新宿防犯協会総会の様子。参加者は約160名程度。

DSC00716.JPG伊藤正徳新宿防犯会長より挨拶

「昨年は都内全域で防犯ボランティア活動が盛り上がりまして侵入犯等が大幅に減少するなど5年間連続で刑法犯が減少しております。また、全国で平成9年より19年の10年間で200万件の犯罪が減少しております。しかし、その一方では高齢者や社会的を狙う卑劣な詐欺事件が横行するなど依然として厳しい犯罪情勢が続いております。私ども新宿管内でも今年に入り5件の振り込め詐欺等が発生しています。その被害額は900万に達している。
私たち住民としては町会長さんをはじめとするボランティアの方々と“自分たちの街は自分たちで守る”を合言葉に一致団結しまして地域に密着した効果的な防犯活動が期待されるところであります。
現在、都内において3,500団体17万5千人の方々が防犯ボランティアとして各種防犯活動を展開されており大変心強い限りです。今後も犯罪のない安全で明るく住みよい新宿のまちづくりを実現のために更なる一層のご尽力を賜りますよう伏してお願いを申し上げる次第でございます。」

DSC00734.JPG上原生安課長(3月3日付で警視に昇進)より“管内情勢について”
「昨年、強盗が38件、ひったくりが42件、空き巣等侵入が167件、猥褻などの性犯罪が37件、トータルで過去三年に比べると-25%ということで発生を抑えることができました。しかし振り込め詐欺は昨年17件発生しまして、今年はすでに5件発生しているところです。とくに最近は税務署等の名前を語った還付金詐欺が非常に多く発生している。歌舞伎町地区対策につきましては、いろんな事件がございますが、本部の協力も得ながら昨年も集中的な取り締まりを2回、7月と12月にやり多大な成果を生んだところです。引き続き歌舞伎町対策についても力を入れてまいる所存ですのでどうかよろしくお願いします。当会会長も常日頃おっしゃっていますが、管内は歌舞伎町だけではない、管内は歌舞伎町をはじめとして高層ビル、オフィス街、それに住宅街、とくに狭い路地街でひったくりや侵入盗が多いわけです。我々も去年から非常に力を入れて管内の方にできるだけ犯罪の発生状況をお知らせして、ともに犯罪を未然に防止するという活動をやってまいりました。今年も引き続きその点をやってまいりますのでよろしくお願いします。
今年は北海道・洞爺湖サミットが開催されます。不審者情報等をお寄せいただければ幸いであります。この機会にビル防犯協力会の協力も得ながらサミットの警備も万全に進めてまいりたい。自分たちの街は自分たちで守るという意識を高めていただきまして、管内治安を守っていきたいと考えています。」

DSC00739.JPG高松新宿警察署長。2月25日付で人事第二課長から第95第目の新宿警察署長の就任。
「東京の治安も非常にいい方向に向かっています。昨年の1年間を振り返ってみましても非常に従来ない地域の防犯協会の方々から、たとえば新宿区の地域安全の集い、あるいは町会長全員がお集りいただいた会議、町会のパトロール等々幅広い活動をしていただきまして、おかげさまで3年間の新宿署犯罪発生状況と比較しますと昨年は25%以上の減ということで大変な成果をあげることができました。これも単に警察署だけではとても無理でございまして、防犯協会の皆様のご協力、ご尽力いただいた賜物と改めて感謝を申し上げる次第です。

その時々に犯罪の発生状況を見ながら重点を定めて犯罪抑止を強力に推進をしていくところでございますけど、引き続き多角面から皆様方のご協力をいただければと思っているところです。とりわけ、本年は7月7・8・9日と洞爺湖サミットが開かれる予定です。過去にも主催国の例を見ますと、もちろん北海道の方も重要な警備ということになるとは思いますが、やはり首都東京、とりわけ大きな繁華街を持っていますし世界的にも知名度の高い新宿は、警視庁といたしましても非常に大きな警備の重点地区、端的に申し上げれば“戦場”と捉えているところです。警視庁あげてこの大きな
警備を乗り切る所存でございますが、今年はさらに防犯協会の皆様には別の意味でもお願いすることになろうかと思いますが、よろしくお願い申し上げたいと思います。
私ども署長以下新体制のもとで、新宿署管内の安全・安心の街新宿の実現、そして安全な街東京の実現のために精一杯努力する所存でございますけど、引き続きよろしくお願いします。」

DSC00743.JPG高松新宿警察署長と伊藤防犯協会会長。

 

DSC00745.JPG村元新宿警察署副署長
「10件の犯罪が5件になったとしても、もともと発生しなかった5件なのかもしれないし、一生懸命やったから減った5件なのかもしれません。こういう数は非常に難しいと思います。そこに非常に重要性があると思います。10件が5件になったからこの辺でやめようかというわけにも参りません。この戦いは永久に続く戦いであります。
私ども新宿警察署は高松新署長を迎えまして署長のかじ取りによって一生懸命頑張っていきます。そして皆様方のご支援ご協力が車で言うところの両輪でありまして、我々だけが一方的に取り締まってもこの街が良くなるわけではありません。我々ももっともっと情報を発信していこうと思います。ともに歩んで、この街から一件でも犯罪が少なくなればと思っております。」

実は村元副署長ももうすぐ転出。歌舞伎町対策においては本当にご尽力いただいた方。組対出身ということもあってか、歌舞伎町の実態をよく把握されていたのがさまざまな局面で機能してきたといえる。警察幹部でわりと本音で議論できる人の一人だった。もっとも移動先が東京都青少年・治安対策本部(久我本部長)のところだと聞いているので、これからも都の立場から歌舞伎町対策に引き続きかかわることにはなる。


自分が歌舞伎町にかかわるようになって、原署長から柗木氏・鹿森氏、そして今回の高松署長と4人目ということになる。思うに署長がどういった舵をとるのか、なんだかんだ言っても歌舞伎町対策においてはもっとも大きな影響力になるのは確かだ。だが、一方で、最近よく警察内部で聞こえてくる話としては、署長と所轄幹部(課長)との関係性が昔ほどリーダーシップが取りにくい状況にもあるという。場合によっては課長の独走を署長が抑えられないというケースもあるのだそうだ。言わんとしていることは伝わると思うが、だからこそ常に人事異動を繰り返す官において、やはり長の正しいリーダーシップを期待したいと思う。

今年は折にふれ、7月の北海道・洞爺湖サミット開催に関連する警備の話が出てくる。北海道での開催で何で東京?と思うかもしれないが、重要な国際会議・行政会議はほとんど東京で開催され、すべてを終えて北海道・洞爺湖サミットがそれを締めくくるからである。とくにアメリカからの会議参加者に対する警備には警視庁は非常に神経をとがらせている。福田内閣の唯一で最後の政治成果の場であろうから、当然内閣からの特命としてサミットの成功は警察への最大命題となっているのは想像に難くない。したがって、歌舞伎町でもサミット以前までのイベント開催についてはやや自粛要請的な空気もある関係で、6月まではイベント開催はほとんどないと思われる。

話は変わるが、伊藤防犯協会会長に「歌舞伎町はどうなんだ?」と聞かれてこんな話をした。

歌舞伎町は、まだまだいろんな未解決の課題を抱えている。だが、本当に難しいのは来年以降である。それはなぜか?やはり、東宝会館とコマ劇場が年内で閉鎖されることから始まる。新宿は現在2016年をゴールに駅周辺の再開発を進めていく。当然歌舞伎町も、映画館街の再構築はこの時期を目指して進んでいく。結果として、コマ・東宝会館と新宿TOKYU MILANOビルの個別建て替えにとどまる公算は可能性が高いが、それでも工期3~4年とみると、最も早くて2013年、遅ければ2016年までシネシティ周辺の工事、あるいは塩漬け期間もありうるということを我々は想定しなくてはいけない。

最短でも4年、長ければ8年、少なくともコマ劇場と東宝会館のエリアが塀で囲まれ光を失う。果たしてこの期間、歌舞伎町はどうなるのか?ということを考えなくてはいけない。「実はそう楽観的には考えていない。むしろ悲観的予想のが強い。」と伊藤会長も言う。伊藤氏は、まさに東宝会館裏手、花道通りを隔てて真向かいにある車屋の経営者である。街全体のこともさることながら、車屋自体の経営についてもマイナスの予測を立てざるを得ない。

個別の経済活動以上に、地域の文字通り“コマ”の軸が失われる。これは地まずイメージとして地域のポテンシャルを失わせる。そして塀で囲まれた暗い場所がいつまでその状態であるのか?

すでに自分らはセントラルロードからコマ周辺のパトロールを継続的に行っているが、たとえば客引きにしても、明らかに彼らはシャッターの閉じた場所前が最も活動しやすい。つまり、これはコマ周辺の治安が極めて悪くなる可能性を示している。このことを想定し、いまから徐々にでもこういったことに手を打てる体制を起こしていく必要性を話した。また、自分らがやっている迷惑行為等撲滅のパトロールはそういった意味合いをすでに持って行動しているということも。

ただ、現実には、歌舞伎町はおおむねグレーな街である。多くが摘発は受けないにしても、どこかしこに違法性をはらんだ経済活動が主力にある。これを法律で徹底的にしばると、地域の経済はなお苦しくなる。苦しくなれば、街の人は、おそらく去っていく。地主なら売ってサヨナラってことになる。はたしてそれが“まちづくり”と言えるのだろうか?誰のためなのか意味のわからないものになってしまう。

確かに、行政や警察は法律を守る義務がある。したがって、行政や警察が関与すればするほど歌舞伎町の“法化”は進む。そして街は死んでいく。2016年にはきっといい町になるのかもしれないが、そのころこの街には、今いる人達は誰もいなかった・・・なんてことになりかねない。

そこで、やはり重要なのは民間ということになる。法化社会の行き過ぎを抑えつつ、警察や行政が手を出しにくいグレーな部分に対し民間が自ら手をつっこんで、つまりグレーの中でも白に向かうよう支えながら、時間をかけて不時着させる。このとき、白に向かうグレーに梯子をかける必要がある。されに、この梯子を警察や行政がバックアップするといった構造にしていかないといけない。白に向かおうとしたグレーも、梯子を外せばいつでも黒になってしまう危険があるからこそ時間と戦略が必要なのだ。まず民間がグレーに手を入れてこれを地域経済とマッチングするよう適正化しながら、あくまで行政と警察が黒子に徹する必要があるという話をした。

しかし現実は、区は区で「オレたちがやっている」「私が!」と言いたがるし、警察の課によっては他の課がかけた梯子を外しに行ってみたりと、やはり構造ではなく人の問題でいろんな課題解決が滞っている。悪く言えば行政と街の内部で足の引っ張り合いをしているようなものだ。そんなんで街が良くなるはずもなく、ほっとけばどう見たって失敗に向かっているのは明らかである。でも、それをすべて知っている自分としては、見過ごすわけにはやはり行かない。結局はやるしかないんだろうけど。今、歌舞伎町で、白に向かおうとするグレーと、白に向かうふりをしているグレー、そしてグレーのふりをしている本物の黒をある程度正確に見極められるのはたぶん自分しかいないのだから・・・。


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