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鈴木喜兵衛氏のひ孫さん、杉山文野(ふみの)クンが「ダブルハッピネス」講談社刊で作家デビュー [その他]

  歌舞伎町名物、すずやの「とんかつ茶漬け」

歌舞伎町劇場通り一番街、おそらっくもっとも「歌舞伎町」のシンボリックな存在である一番街アーチのすぐ横のビルの2階に「すずや」という飲食店がある。この建物のオーナーである杉山元茂氏の経営するとんかつ屋さんなのだが、この店の名物は「とんかつ茶漬け」。店主としては3代目の元茂氏なのだが、この「とんかつ茶漬け」は2代目鈴木華子さんの時代に、のこったとんかつをまかない料理としてお茶漬けにして食べていたものがルーツ。以降、試行錯誤を重ねて、しょうゆ味のヒレカツと乱切りの焼いたキャベツをご飯にのせ、熱いお茶をかけて食べる今のメニューになった。

この2代目の鈴木華子さん、すずやの初代杉山健三郎氏の娘さんであり、そして「歌舞伎町をつくった男」鈴木喜兵衛氏の長男喜一郎氏の奥さん(現在も健在)。(参考:鈴木喜兵衛氏と歌舞伎町について)華子さんから現在の杉山家につながるまでの系譜には、喜兵衛氏の長男、喜一郎氏と華子さんの間に子供が居なかったこと、その後、杉山家の血筋から養子縁組などがあったりとやや複雑な事情もあるようなのだが、現在の杉山元茂氏の次女であり(戸籍上)、また歌舞伎町商店街振興組合の「よくしよう委員会」などにも関わりながら、夜鳥の界に混じってボランティアで歌舞伎町の清掃をしつつ、一方で渋谷区議のハセベケン氏と対談したり、乙武さんと一緒にタイに行ったり、ウチのBlogにも時々コメントをいれてくれたり^^;と忙しい毎日を過ごしているのが杉山文野(すぎやま・ふみの)クン。

で、杉山クンが本を書いたので、それをここで紹介~

「ダブルハッピネス」 杉山文野著 5月18日、講談社より発売(予定)

1981年、東京生まれ。日本女子大学付属の幼・小・中・高を経て、早稲田大学教育学部を卒業。現在は大学院教育学研究課修士課程に在学中。2004年度女子フェンシング日本代表という杉山クン。

で、なんで「クン」なのかというと、文野クンの最大の悩みの原因、彼女は「彼」、つまり性同一性障害であるということにある。体は「女」だけど心は「男」というもやもやした感覚と生まれてきたときからづっとつきあい続けてきた。「自殺を考えるほど苦しい心と体の違和感、家族のこと、友人のこと、セックスのこと、日本における性同一性障害の現状・・・ぜんぶキッパリ書きました。」と、女子フェンシング日本代表にして歌舞伎町を創った喜兵衛氏のひ孫さんが赤裸々なカミングアウトを本にしたのがこの「ダブルハッピネス」、「人の二倍、辛いこと、悲しいこともあったけど、楽しいことも二倍経験した」という杉山君の24年間の話、障害ってなに?きっとそんなことを考えて、やさしい気持ちが沸いてくるかも。


「歌舞伎町にいるとなんかホッとするんですよね。それは単に生まれ育った街というだけじゃなく、懐の深さがこの街にはある。」と杉山クンは言う。それは、おそらく性的にマイノリティであるという部分が、普通の人間関係では不自然さを産むだろうが、この歌舞伎町という街では、違った意味でのマイノリティが多いせいか、違和感なく受け入れてくれる寛容さがあるからなのかもしれない。

「よくしよう委員会」にて発言する杉山クン。

「やくざもホストも、生まれながらにしてやくざでありホストだったわけじゃない。みんな、それぞれいろんな事情、背負うものや苦悩があって、それでほかに居場所がなくてこの街にやくざとして、ホストとしているようになったという人も多いのではないかなんて思う。でも、だからといって、この街は何でもあり、好き勝手やって、ルールを破って、というのではいけない。そういう人たちでも受け入れる街だからこそ、ここでがんばってチャンスをつかんで、まっとうな人生にステップアップできる、そんな懐の深い街だと思っているから歌舞伎町がスキなんです。」と、だから歌舞伎町ルネッサンスのなかで進めている地域の浄化活動にも正義を感じつつ、一方でどこか無機質的な空虚感を抱き心が揺れたりもしている。

杉山クンとは今、共同作業で進めているある企画があり、いろいろ話す機会も多い。よくしよう委員会に顔を出すようになって歌舞伎町に真正面で関わろうと思い立ってから、実はまだ間もない。いろんな人たちと会い、話をし、あるいは聞くなかで考え方もまだまだ変わっていくかもしれないが、それでも真剣に「歌舞伎町をどう良くしていったらいいのか」を真剣に考えている貴重な次の世代の若者である。現実にこれから変わっていこうとしているこの街を受け継ぐ次の世代の人たちの考え方は重要だろう。「次の世代にどうこの街を継いで行くのか」ということを組合の理事長はじめ幹部の方々から聞くことは多いが、では「どんな形でこの街を引き継いでいきたいのか?」、残念ながらそれを声にして聞かせてくれる人たちは少ない。

杉山文野クンのブログは「あばうとSEX」、あと最近新宿放送局とのコラボで「僕の歌舞伎町日記」をスタート。

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ゴールデンウィークを境に、一番街ではいくつかの変化があった。まず、平成13年9月1日に44名の死者を出し、その後訴訟における証拠保全のための仮差し押さえで実質塩漬けになっていた明星56ビル(有限会社久留米興産所有)がいよいよ解体を開始した。工期は5月1日より7月15日。

久留米興産は、歌舞伎町内にも他にビルを所有しているが、そちらは既に売りが出ているようで、こちらの明星56ビルについても更地にした後に売却が検討されているという話だ(坪単価2,000万強かと)。ただし、遺族側から年に一回は慰霊できるようにして欲しいといった要望もあるようで、その後どういったものになるのかやや不透明ではある。今回の解体工事は、平成13年のビル火災におけるビル管理会社としての久留米興産と実質オーナーであった瀬川重雄被告と遺族側の間で概ね和解が成立したことを受け、裁判所の仮差し押さえが解除されたのを受けてのもの。

同じく、一番街であるが昨年の11月に風適法違反(禁止区域内営業)によって逮捕、有罪になった森下景一氏のグループが脱法的にデリヘル受付所・サービスルームに使っていた上高地ビルは、5ヶ月の閉鎖を経て改装され、まんが喫茶「マンボー」として完成、オープン。しかし歌舞伎町には「ぼくらは残党です」という森下のグループの元関係者がまだまだ風俗案内所などを運営している実体があり、また風俗SOHOという形でのデリヘル受付所の集積した店舗も点在している。5月1日に施行された改正風適法は7月一杯まで猶予期間があり、また風俗案内所規制条例が6月1日施行を控えている段階というのもあるだろうが、まだまだこんな状態である。また「お見合いパブ」が規制によって締め出されたデリヘル嬢や援助交際を求める女の子たちのたまり場になっていたりと、課題はまだまだたくさんある。

歌舞伎町内には、簡易宿泊所型のレンタルルームが多数存在し、法が施行されてもそれらが存続しているということが実体を物語っている。簡易宿泊所が実質「ラブホテル」として使用されているというのであれば、これは立派な風適法違反である。また、ビルオーナーにも責任が及ぶ上に、そういった業態を仲介した不動産業者も「幇助」になる。すでに埼玉県警では不動産業者が幇助で摘発を受けた事例がある。


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